【過去問あり】国試に出る【GVHD, TRALI, TACO】をわかりやすく解説!

免疫

臨床検査技師をメインとした国家試験の解説サイト

国試かけこみ寺です!

今回は、免疫や輸血分野で出てくる専門用語

  • GVHD(移植片対宿主病)
  • TRALI(輸血関連急性肺障害)
  • TACO(輸血関連循環過負荷)

についてわかりやすく解説していきます!

 

また、臨床検査技師国家試験に関連する過去問へのリンクもありますので、国家試験では実際にどのような問題が出ているのかを確認するのにも是非お役立てください!

 

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GVHD

GVHD;graft versus host diseaseとは

移植片 対 宿主 病つまり、移植片(ドナー組織) が 患者を攻撃する病態で

移植後、数ヶ月~数年後に発症することが多く、4型(遅延型)アレルギーでもあります

GVHDを引き起こすのは、ドナー(提供者)由来のリンパ球で、造血幹細胞移植の際に起こり得ます

ドナーのリンパ球にとっては、移植された患者の細胞が非自己になってしまい、炎症性サイトカインの放出などが起こってしまうというわけです

 

いわゆる移植拒絶反応とは逆の反応です

移植拒絶は、患者さんの免疫が移植された組織(ドナー組織)を攻撃する反応です

 

輸血後GVHDについて

輸血後GVHDは、輸血用血液に含まれるドナーリンパ球が、輸血を受けた人の組織を攻撃する病態です

こちらは輸血後1週間程度で発症し、急性に進行します

輸血後GVHDを防ぐために輸血用血液には放射線照射を行います

リンパ組織・リンパ球は放射線感受性が高いため、リンパ球を死滅させた上で輸血を行います

(赤血球や血小板には影響のない範囲で行われています)

TRALI

輸血関連急性肺障害 (TRALI)とは

TRALIは非溶血性の輸血副作用で、輸血後6時間以内に起こる非心原性の急性呼吸不全症です 

(※ 非心原性=心臓に異常がない、心臓が原因ではない)

 

その原因は製剤中に含まれる白血球抗体(HLA抗体、好中球抗体)といわれています

患者側の白血球や肺の毛細血管内皮細胞が、製剤中の抗体と反応して、好中球が活性化され、肺の毛細血管に損傷を与えることでTRALIが発症すると推測されています

(AABB Press,Bethesda, 2012, pp191-215.より)

 

TACO

TACO(輸⾎関連循環過負荷)とは

こちらも非溶血性の輸血副作用で、輸血後6時間以内に発症する急性の呼吸困難を伴う合併症です

 

TACOの原因は、輸血による循環血液量の増加による過負荷です

すなわち、体液量が急激に増え、心肺に負担がかかり起こる症状です

単純な体液量の増加であり、免疫は関係ありません

高齢者や、心機能低下、腎機能低下などがリスクファクターとなります

 

重要ポイントまとめ

GVHD(移植片対宿主病)

  • 造血幹細胞移植で起こる、ドナーリンパ球が患者を攻撃
  • 移植後、数ヶ月~数年後に発症することが多い
  • 4型(遅延型)アレルギーである

輸血後GVHD

  • 幹細胞移植よりも発症が早い
  • 製剤中ドナーリンパ球が原因→放射線照射で予防可能

 

TRALI(輸血関連急性肺障害)

  • 非溶血性の輸血副作用で、非心原性の急性呼吸器不全
  • 白血球抗体(抗HLA抗体、抗好中球抗体)が原因の一つとされる

 

TACO(輸血関連循環過負荷)

  • 非溶血性の輸血副作用で、急性の呼吸困難を伴う合併症
  • その原因は、輸血による急激な体液の増加
  • 免疫は関係ない

 

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臨床検査技師国試 過去問リンク

今回紹介した用語が出てきている問題のリンクです(リンクをクリック・タップすると別のタブが開きます)

MT64-AM88 輸血副作用と原因の組合せで正しいのはどれか。

MT64-AM89 移植について正しいのはどれか

MT65-AM89 免疫学的機序による輸血副作用はどれか。2つ選べ。

MT65-PM87 血液製剤の細菌汚染対策のために重要なのはどれか。

MT66-PM89 抗 HLA 抗体が原因となるのはどれか。2つ選べ。

MT67-PM80 輸血副反応のうち最も遅く発症するのはどれか。

 

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