分野として苦手とする人が多いと思われる
免疫について
国家試験に必要な知識を整理していきましょう!
※本記事の解説は国家試験に必要な基礎レベルについて書いており
免疫の詳細については簡略化して説明していますので、その点ご了承ください
免疫とは
免疫とは一言でいうならば
自己と非自己の認識
となります。
非自己=自分でないものは基本的に危険
だから攻撃して排除する
生物が進化の過程で敵から身を守るために
獲得してきた能力なんですね
とまぁ、難しい話はおいておいて
風邪をひいたり、傷口からバイ菌が入っても
免疫機能によって、ある程度は自力で治せるという
素晴らしい能力なわけです
ということで国家試験で問われる
免疫の基礎部分について問題を見ていきましょう!
※基本的に全ての医療系国家資格で必須の知識です
免疫系に関与しない組織はどれか【PT】
- 骨髄
- 胸腺
- 扁桃腺
- 脾臓
- 膵臓
答えは5の膵臓です
膵臓の役割としては
- 膵液の分泌(リパーゼ、トリプシンなどの消化酵素)
- インスリンやグルカゴンの分泌(血糖値に関連するホルモン)
が絶対に押さえておくべきところですね
消化については以下のような記事も書いています
今、重要なのは、免疫に関与している組織の役割ですね
役割を一言で解説するならば
- 骨髄 → 造血幹細胞(全ての血球の元になる)を生み出す
- 胸腺 → T細胞の分化(大きく分けてヘルパーTとキラーTのどちらかに教育する)
- 扁桃腺 → 免疫細胞がたくさん集まりやすい場所、炎症も起こしやすく摘出することもある
- 脾臓 → 古い赤血球を壊すことはよく知られるが、リンパ球の成熟、免疫機能も持つ
膵臓、胃、などは基本的に免疫に直接関わっているとはいえません
(免疫細胞がいないという意味ではありません
免疫に直接関わる細胞を生み出したりはないということです)
腸管については、腸管免疫という独自の免疫系があったりもします
基本は先程の選択肢の4つを押さえておけばよいでしょう
免疫応答に関与しない細胞はどれか【PT】
- 好中球
- リンパ球
- 形質細胞
- 食細胞
- 血小板
答えは5の血小板ですね
血小板は出血時の止血を行う細胞ですね
答え自体はわかった方が多いかと思います
この問題から学ぶべきは、
選択肢にある免疫に関わる細胞の役割です
1~4は大きなくくりでは全て白血球といえます
持っている役割の特徴は違うため、それを覚えましょう
- 好中球→菌の貪食と殺菌、炎症が起きた場所に集まる(遊走という)
- リンパ球→主にT細胞とB細胞に分類され、主に2種類の免疫を担う(後で説明)
- 形質細胞→B細胞の分化系、抗体産生に特化している
- 食細胞→マクロファージのこと、食作用により好中球の後処理を行う
ざっくりですが各種の細胞を解説します
好中球
好中球・好酸球・好塩基球
これら3つを顆粒球といい、その名の通り顆粒を含んでいます
この顆粒にはサイトカインという生理活性物質などがあります
好中球やこのあとに出てくるマクロファージの
貪食・食作用は
自然免疫
を担っています
マクロファージ
マクロファージは
血液中に存在する単球が、組織へ移動し
食作用に特化した姿です
場所によってはオリジナルの名前がついています
例えば、肺では「肺胞マクロファージ」という名で働いています
肝臓では「クッパー細胞」という名ですが、これもマクロファージです
以上のように、
食作用を主として、異物を排除する仕組みを
自然免疫といいます
リンパ球
リンパ球はT細胞 (キラーTとヘルパーT)とB細胞(とNK細胞)が主です
ここで覚えてほしい用語があります
T細胞やB細胞というのは
獲得免疫
を担っています
獲得免疫には2種類あり、細胞性免疫と液性免疫です
- キラーT細胞 :細胞性免疫に関与
- B細胞 :液性免疫(抗体産生)に関与
形質細胞
形質細胞はB細胞が分化(より専門に特化するような意味)したもので
抗体の産生と分泌に特化しています
抗体=免疫グロブリンについてはこちらの記事で詳しく解説しています
さて、ややこしくなってきたと思うので
免疫の種類について一度まとめましょう
免疫の種類 まとめ
1.自然免疫 – 食作用を主として異物を排除 – 好中球やマクロファージ
2.獲得免疫 – 菌やウイルスが感染し、一度情報を得てから行われる免疫
2-1. 細胞性免疫 – 菌やウイルスに感染した細胞を攻撃する – キラーT細胞やマクロファージも
2-2. 液性免疫 – 抗体を使って異物を攻撃する – B細胞や形質細胞
これらの用語は整理しておきましょう
ここで例題です
自然免疫に関係するのはどれか
- 赤血球
- 好中球
- 形質細胞
- 血小板
自然免疫は貪食 でしたね
答えは好中球です
形質細胞は抗体産生 = 獲得免疫の中の液性免疫
といった考え方になります
免疫は本当に難しいけど
知れば知るほど、ヒトの身体の仕組みがわかるようになりますよ!
一度はノートなどにまとめて整理することをおすすめします!
ではでは今回はこの辺で!
液性免疫:B細胞や形質細胞、免疫グロブリン=抗体 について はこちらの記事で解説しています
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