医療系国試にはワクチンやウイルスの知識も必要です
結論は2つ
医療系国試受験者がインフルエンザワクチンを受けるべき理由
その理由はこの2つです
・国家試験勉強中にインフルにかかると時間を大幅に削られる
・ワクチンとウイルスの知識を国試で問われる
勉強期間にインフルにかかることは大きな損失です
当たり前のことですが、とても重要なことですよね
インフルエンザにかかると
寒気・だるさ・発熱
これらの症状から勉強どころではありません
身体も免疫系にエネルギーを使いますので
脳に知識を詰める余裕などありません
少なくとも2日は回復に専念することになります
国試勉強全盛期であれば
1日8時間は勉強するとして
インフルにかかると
最低16時間以上の勉強時間を削られると考えていいでしょう
16時間あれば
国家試験200~400問ほどを解いて
知識をまとめることも可能でしょう
インフルエンザウイルスとは
・ウイルスの基本構造
主にウイルスは2つのパーツを持っています
- 核酸(DNAかRNA、ウイルスの本体)
- カプシド(核酸を包んでいる殻、タンパク質でできている)
ウイルスの情報が入った遺伝子である
核酸と
それを守るための外殻タンパク質である
カプシド
これらを合わせてヌクレオカプシドと呼びます
そしてもう一つ重要なパーツがあります
それがエンベロープです
これはカプシドを更に守る
バリアのようなものです
エンベロープは主に脂質でできています
外側のバリアがエンベロープ
中央の外殻がカプシドで
その中には核酸が含まれる
もう一つ重要なのは
エンベロープが
あるウイルスと
ないウイルスがいる
ということです
エンベロープがあるウイルス
エンベロープをもつ代表的なウイルスが
インフルエンザウイルスです
エンベロープは脂質でできています
つまり、アルコールで溶ける
(油汚れはアルコールでよく落ちます)
エンベロープをアルコールで溶かせば
ヌクレオカプシドは壊れやすいため
ウイルスをやっつけることができるわけです
これがインフルエンザウイルスを
アルコール消毒する大きな意義です
※B型肝炎ウイルスはエンベロープがあってもアルコール消毒が効かないとされています
エンベロープのないウイルス
一方でエンベロープのない代表的なウイルスが
ノロウイルスです
ノロウイルスはエンベロープを持たず
頑丈なカプシドを持っています
そのため、アルコールが効きません
※全くの無意味というわけではありません
ノロウイルスの消毒には
次亜塩素酸ナトリウム
いわゆるハイターなどの塩素系が有効です
ただし、この消毒法はトイレや床などにはできますが
手指は皮膚が荒れてしまうため使用できません
シンプルですが1番の予防は手洗いです
介護保険施設においてノロウイルス感染症が発生した。感染を拡大させないための対応として適切なのはどれか。【Ns国試より】
- 感染者の居室はアルコールで拭く。
- 感染者の吐物は乾燥してから処理する。
- 感染者が使用したリネンは60℃の加熱処理を行う。
- 感染者が使用した食器は次亜塩素酸ナトリウムで消毒する。
1.感染者の居室はアルコールで拭く。
前述の通りアルコールの消毒では不十分です
2. 感染者の吐物は乾燥してから処理する。
乾燥してしまうとウイルスが飛び散る感染があるので
速やかに次亜塩素酸ナトリウムで殺菌、雑巾で拭き取るなどします
3. 感染者が使用したリネンは60℃の加熱処理を行う。
ノロウイルスのカプシドはさらに高熱でなければ壊れません
4. 感染者が使用した食器は次亜塩素酸ナトリウムで消毒する。
食器に限らず、吐物なども次亜塩素酸ナトリウムの消毒が有効です
結局、インフルエンザワクチンは必要なのか?
インフルエンザワクチンは必要だと考えます
理由は簡単で
費用に対する効果が高いからです
一言でいうと、コスパがいい
でもワクチンって本当に効くの?
そもそもワクチンでなんで予防できるの?
これを知ることは、国試勉強にもなるのでしっかり整理しましょう!
インフルエンザのカプシド蛋白質
インフルエンザのカプシドは2つの蛋白質をもっています
- ヘマグルチニン(H) 16種類
- ノイラミニダーゼ(N)9種類
インフルエンザウイルスの
H1N1型
鳥インフルエンザの
H5N1型
とかニュースで見かけたことはないでしょうか?
このヘマグルチニンとノイラミニダーゼの
番号の組み合わせを変えながら
インフルエンザはその感染性を高めているのです
タミフルはノイラミニダーゼの阻害薬
みなさんも名前が聞いたことのある薬だと思いますが
タミフルはインフルエンザウイルスのノイラミニダーゼ(N)阻害薬です
蛋白質を阻害し、ウイルスの増殖・感染力を弱めます
あとは自分の免疫細胞が貪食なりなんなりで処理をしてくれるわけです
ちなみに、イナビルという吸入薬も、効果は同様です
吸入薬なので咽頭や、気管の粘膜に直接薬が作用しやすいです
インフルエンザワクチンは不活化ワクチン
インフルエンザワクチンは
インフルエンザウイルスのもつ
ヘマグルチニンを不活化(感染性をなくす)させ
この蛋白質を元に、身体の免疫細胞に
抗体を作らせ
感染時にウイルスを破壊する
そのような予防システムになっています
インフルエンザワクチンは時季によって
毎年ウイルスの型をある程度予測し
複数の型に対応できるよう作られているのです
インフルエンザワクチンの相場
2019年11月現在では
3000~4000円の間が平均的な値段です
予防ワクチンは自由診療のため
病院によって値段は違います
4000円程度の値段で、
インフルエンザを高い確率で予防できるのは
とてもコスパが良いと思います
ウイルスの構造がどうなっていて
ワクチンはどこに対する抗体を作っているのか
それがわかっていれば
本当に効くのか?という疑問もなくなり
インフルエンザワクチンのコスパが良いことが
わかるのではないかと思います!
まとめ
- ウイルスは核酸と、外殻のカプシドをもつ
- 脂質でできたエンベロープがあるものとないものがある
- エンベロープのあるインフルエンザウイルスはアルコールで破壊できる
- エンベロープのないノロウイルスには次亜塩素酸ナトリウム
- インフルエンザの型は、ヘマグルチニン(H)とノイラミニダーゼ(N)で決まる
予防の結論としては
- 手洗い・うがいはウイルスを洗い流すために必要!
- インフルエンザワクチンはコスパが高い!
インフルだけでなく、風邪にも気をつけるため
手洗いうがいはやっぱり大事です!
体調に気をつけて勉強に励みましょう!ではでは!!
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