【第71回臨床検査技師国家試験】PM37-44の問題をわかりやすく解説

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国試かけこみ寺です!

令和7年2月19日(水)に実施された

第71回臨床検査技師国家試験問題について

一部の分野をわかりやすく解説しています!

問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています

※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-07.html
で公開している問題を引用しています。

問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。

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MT71-PM37 分子量で分離するのはどれか。

1. 逆相クロマトグラフィ 

2. 吸着クロマトグラフィ 

3. 分配クロマトグラフィ 

4. ゲルろ過クロマトグラフィ 

5. アフィニティクロマトグラフィ 

 

 

クロマトグラフィは物質を分離するための分析機ですが、カラムの種類によって分離するための性質が異なります。問題を解くためには、これを覚えてしまうしかありません。

1. 逆相クロマトグラフィ  →疎水性

2. 吸着クロマトグラフィ  →吸着性

3. 分配クロマトグラフィ  →親水性または疎水性

分配クロマトのうち、親水性のものを順相、疎水性のものを逆走という

4. ゲルろ過クロマトグラフィ  →分子量(分子ふるい効果によって分離)

5. アフィニティクロマトグラフィ  →親和性(抗体の精製などにも用いられる)

MT71-PM38 必須脂肪酸はどれか。 

1. オレイン酸 

2. リノール酸 

3. ステアリン酸 

4. パルミチン酸 

5. ドコサヘキサエン酸 

  

ドコサヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)は魚に多く含まれる油として有名で、広義の必須脂肪酸、と言われることもありますが、実はヒトの体内でもわずかながら合成されます。

体内で合成されない狭義の必須脂肪酸としてリノール酸・リノレン酸・アラキドン酸などがありますので、答えは②となります。

 

脂肪酸の問題は、たった一つのゴロで完封できます!下記記事を参照してみてください

MT71-PM39 尿酸で正しいのはどれか。

1. 腫瘍崩壊症候群で低下する。

2. 蛋白結合型として存在する。 

3 ウレアーゼを用いた酵素法で測定する。 

4. 高尿酸血症の臨床判断値に性差はない。

5. ピリミジン塩基の最終代謝産物である。

 

 

尿酸ピンポイントの問題です、尿素に関する知識との勘違いに注意しましょう!

 

1. 腫瘍崩壊症候群で低下する。✕→増加

腫瘍崩壊症候群

とは抗がん剤治療や放射線治療において、がん細胞が短時間に大量死滅した際に悪影響を及ぼす症候群のことです。特に細胞の大量破壊によって、高尿酸血症、高カリウム血症などを引き起こします。

2. 蛋白結合型として存在する。 

尿酸は一定量は血液中に溶解して存在していますが、飽和濃度を超えると結晶が析出し痛風発作を引き起こします。

3 ウレアーゼを用いた酵素法で測定する。 

ウレアーゼは尿素に作用する酵素であり、尿酸に作用するのはウリカーゼです。酵素法による測定に、ウリカーゼ・POD法があります。

4. 高尿酸血症の臨床判断値に性差はない。正しい

臨床判断値として7.0 mg/dLを超える場合を高尿酸血症と定義しており、この判断値に性差はない。ただし、基準範囲としては男性が女性よりも高く性差がある

5. ピリミジン塩基の最終代謝産物である。

プリン塩基(アデニン、グアニンなど)の代謝産物です

MT71-PM40 水溶性ビタミンはどれか。 2つ選べ。

1. 葉酸

2. レチノール

3. ピリドキシン

4. トコフェロール

5. カルシフェロール

 

ボーナス問題といえますが、ビタミンの別名をうろ覚えではいけませんよ

別名もしっかり覚えておきましょう。

水溶性ビタミンは、CとB群ですので、葉酸とピリドキシン(B6)が正解です。

 

MT71-PM41 eGFR の計算に使用するのはどれか。2つ選べ。

1. 身長 

2 性別 

3. 体重 

4. 年齢 

5. 尿中クレアチニン濃度 

 

eGFR(推算糸球体濾過量)の問題も非常に簡単で、計算式に用いる項目を覚えてしまえばOK

式に用いるのは、年齢・血清クレアチニン濃度・性別の3つです。

MT71-PM42 疾患とホルモン異常の組合せで誤っているのはどれか。

1. 尿崩症 ―― オキシトシン 

2. 橋本病 ―― サイロキシン

3. 褐色細胞腫 ―― ノルアドレナリン 

4. 慢性腎不全 ―― PTH 

5. 腎血管性高血圧症 ―― レニン

 

ホルモン異常による疾患を理解し、説明できることが大切ですので、一つずつ丁寧に見ていきましょう。

 

1. 尿崩症 ―― バゾプレシン 

尿崩症は下垂体後葉から分泌されるバゾプレシン(抗利尿ホルモン)の分泌低下(不全)によって、水の再吸収が抑制され多尿となる病気です。オキシトシンは下垂体後葉から分泌されますが、主な働きは母乳分泌などがあり、国家試験レベルでは疾患と関係することはあまり出てきません。

この問題は1番が明らかに間違いであるため、答えに行き着くことは容易です。

ただ、他の選択肢の病気も仕組みを理解することが大切ですので見ていきましょう。

 

2. 橋本病 ―― サイロキシン

橋本病は慢性甲状腺炎とも呼ばれ、甲状腺の機能が低下しサイロキシンなどの甲状腺ホルモンが低下します。

3. 褐色細胞腫 ―― ノルアドレナリン 

褐色細胞腫は主に副腎髄質にできる腫瘍で、カテコラミンを産生します。カテコラミンとはアドレナリンやノルアドレナリン、ドーパミンといったホルモンを指します。

4. 慢性腎不全 ―― PTH 

慢性腎不全ではCaの再吸収が抑制され、低Ca血症を伴う場合があります。そうなると、血中Ca濃度を高めようと、副甲状腺ホルモンであるPTHの分泌が増加する場合があります。そのような場合を二次性(続発性)副甲状腺機能亢進症と言います。

5. 腎血管性高血圧症 ―― レニン

腎血管性高血圧症とは、腎臓の血流不全によって腎の血圧が低下し、レニンが過剰に分泌されることで、全身の高血圧を引き起こす病気です。腎血管の狭窄などの根本的な原因を取り除かなければ、腎血流が改善されず、レニン過剰分泌による高血圧を引き起こすという病態です。

MT71-PM43 LD アイソザイムで正しいのはどれか。

1. 2量体である。 

2. LD4 は冷蔵で安定である。 

3. LD5 は肝疾患で上昇する。 

4. LD1の半減期は約8時間である。 

5. 5種類のサブユニットからなる。 

LDは酵素の中でも過去に出題された問題数が最も多く、基本知識を押さえておくべきです

1. 2量体である。 ✕→4量体

2. LD4 は冷蔵で安定である。 ✕→LD4とLD5は室温よりも、冷蔵・冷凍で不安定である

3. LD5 は肝疾患で上昇する。正しい 

LD5は健常では最も活性が低く、肝硬変や急性肝炎などで増加する

4. LD1の半減期は約8時間である。 ✕→LD1は80時間程度、そのあと順に短くなりLD5は8時間程度

5. 5種類のサブユニットからなる。 →2種類のサブユニットであり、M型とH型の2種類から成る

 

LDの基礎知識問題は下記の記事も参考にしてみてください!

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MT71-PM44 飛行時間型質量分析〈TOF-MS〉 法で誤っているのはどれか。

1. イオン化物質は大気圧中を飛行する。 

2. イオン化物質の電荷は飛行時間に影響する。

3. イオン化物質の飛行速度はエネルギー保存の法則から算出される。 

4. イオン化物質はレーザーの熱エネルギーへの変換により引き出される。 

5. イオン化にはマトリックス支援レーザー脱離イオン化 〈MALDI〉法が汎用される。 

 

TOF-MSの原理の問題は過去にも何度か出ていますが、聞かれることは大体決まっているのでポイントを押さえていきましょう。

 

1. イオン化物質は大気圧中を飛行する。 ×→超高真空中

これが明らかな誤りですので問題としては簡単でした。限りなく真空に近い、超高真空中でイオン化物質の飛行時間を測定し物質量を分析するのがTOF-MSです。

2. イオン化物質の電荷は飛行時間に影響する。正しい

質量電荷比であるm/z値によって、飛行時間が異なります。質量が小さいほど飛行速度は速くなります。

3. イオン化物質の飛行速度はエネルギー保存の法則から算出される。 正しい

4. イオン化物質はレーザーの熱エネルギーへの変換により引き出される。 正しい

よくある間違いとして、レーザーの衝撃波でイオン化する、などの文章がありますが、正確にはレーザーによって熱エネルギーを与えるとイオン化する、となります。

5. イオン化にはマトリックス支援レーザー脱離イオン化 〈MALDI〉法が汎用される。 

MALDI-TOF-MSは、検査においては特に微生物の同定に最も利用されています。

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