【臨床検査技師国試】心筋梗塞と心不全の違いとは? 病態とマーカーをわかりやすく解説!

臨床化学

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国試かけこみ寺です!

 

臨床検査技師に必要な病気について、病態と検査を絡めてわかりやすく解説します!

今回は、国試出現頻度の高い心疾患

  • 心筋梗塞
  • 心不全

についてです!

 

この2つの心疾患はよく耳にすると思いますが、その違いについてしっかり説明できるでしょうか?

 

この記事では以下のことについて学ぶことができます

心筋梗塞と心不全の

  • 病態の違い
  • 検査マーカーの違い

特に、勉強を始めたての初心者の方向けにわかりやすく解説していきます

 

それではいってみましょう!

 

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心筋梗塞と心不全の病態の違いは?

違いを一言で表すと

心筋梗塞:虚血(≒酸素不足)による心筋細胞の壊死

心不全:心臓のポンプ機能低下による症候群

(参考文献:ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン2013年改訂版、急性・慢性心不全診療ガイドライン2017年改訂版)

 

心筋梗塞は、心筋細胞の壊死とありますから、病理的な意味合いが強いことがわかります

心不全は心ポンプ機能低下による症候群、とありますから、症状全体を指すことがわかります

 

心筋梗塞で虚血(≒酸素不足)が起こる主な原因は、動脈硬化による冠動脈の閉塞です

※ 冠動脈は心臓の栄養血管です

ちなみに、心筋梗塞にいかないまでも、心筋虚血となり胸部の不快感や、圧迫感を感じるようになる症状が狭心症です

 

心不全の原因は様々で、心ポンプ機能低下によって血液が滞留(うっ血)を伴うため、うっ血性心不全とも呼ばれます

血液の流れが悪くなる原因は、左心室か右心室のどちらに負担がかかっているかによって、左心不全と右心不全に分けられます

 

心筋梗塞の国試重要ポイント

心筋梗塞マーカー(出現が早い順)

H-FABP≒ミオグロビン>トロポニンT>CK-MB, AST, LD

国試出現頻度も高いため、必ず覚えましょう!

 

H-FABP(心臓由来脂肪酸結合蛋白)は心臓特異性が高く、心筋梗塞が起こると最も早く上昇します(※ ただし、他の心疾患でも上昇の可能性あり)

ミオグロビンは、筋破壊によってすぐ上昇しますが、骨格筋でも起こりうるため特異性は低めです

トロポニンT(心筋構成タンパクの1つ)も心臓特異性が高く、上記2つに次いで上昇します

 

CK-MB(心筋型のクレアチンキナーゼ)、AST、LD(特にLDアイソザイム1,2)、これら酵素系は上記よりも遅れて上昇すると覚えておきましょう

これらは細胞内に多く含まれる逸脱酵素です、また、筋細胞が壊れると当然カリウムも上昇します

 

参考問題

 

心筋梗塞の心電図(簡易)

心筋梗塞を捉える非常に有効な方法の一つが心電図です

心電図にも出現順番がありますので併せて覚えましょう

ST上昇 → 異常Q波 → 冠性T波

異常Q波は通常よりも深いQ波、冠性T波とは左右対称の下向きのT波のことです

 

また、詳細は今回は省略しますが

心筋梗塞における十二誘導の心電図問題は生理分野でチェックしておきたいところです

冠動脈のイラスト

心臓のどの部分に梗塞があるかによって、十二誘導の影響の出る部分が変わってきます

この問題では、心電図の電極がどこについているか、と梗塞部位をリンクさせることが重要です

例えば、前壁中隔であれば心臓の前壁部分にかかる、V1, V2, V3, V4あたりでST上昇が見られます。暗記するのではなく、心臓の壁の位置と、心電図を付けている位置をリンクさせてイメージするとある程度わかりやすくなります。

※ 後壁はやや特殊で、V1でR波増高が見られます 

心不全の国試重要ポイント

心不全マーカー

心不全のマーカーは

  • BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)
  • NT-proBNP

の2つがあります

脳性と名前がついていますが、心室から分泌されます

(初めて見つかったのが豚の脳からであったため、ややこしい名前がつきました)

役割は名前の通り、利尿作用があり、心不全で心室に負担がかかると貯留した水分を外に出すため分泌されるというわけです

 

BNPはproBNPという前駆体から生成されるのですが、BNPができる時の片割れ(いらない方)がNT-proBNPです

BNPは血漿での測定、NT-proBNPは血漿でも血清でも測定可能、という特徴があります

 

ちなみにANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)というのもあります

こちらも役割は同様で心不全で上昇しますが、全身の体液量に左右されます

 

右心不全と左心不全

心臓の断面のイラスト

右室に負担がかかると右心不全

左室に負担がかかると左心不全です

 

右室に負担がかかるということは、肺に血液が貯留して流れが悪くなっているということです

すなわち肺塞栓などによる肺高血圧症が代表的です

肺動脈弁の閉鎖不全なども考えられます、こうして右室に負担がかかると右室が肥大します

こうして右心不全が起こると、大静脈も流れが悪くなり、肝臓に血液が溜まり負荷がかかります

これが右心不全に伴う、うっ血性肝障害です

 

心臓の断面のイラスト

続いて左室不全ですが、左室に血液が溜まってしまうということは

肺の血液貯留(肺うっ血症、肺水腫)、心拍出量の低下(大動脈弁や僧帽弁閉鎖不全、心室中隔欠損など)

こういったことが挙げられます

左心不全が起こると、結局それに伴って右心にも負担がかかっていきます

 

まとめ

心筋梗塞と心不全の違いは以下のことが言える

  • 心筋梗塞:虚血(≒酸素不足)による心筋細胞の壊死
  • 心不全:心臓のポンプ機能低下による症候群

 

・心筋梗塞マーカーは上昇する順番が大事!

H-FABP≒ミオグロビン>トロポニンT>CK-MB, AST, LD

 

心不全マーカーはBNPとNT-proBNP

 

右心不全と左心不全は、心臓と大血管の状態をイメージして、どちらに負担がかかるかを考えよう!

  

 

心筋梗塞と心不全は国家試験でも高頻度で出てくる疾患ですから、この記事の内容は是非覚えておきましょう!

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参考記事

心筋梗塞マーカーの酵素についてはこちらで詳しく解説しています

心疾患繋がりでファロー四徴症についてわかりやすく解説しています

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