医療系国家試験の解説サイト
国試かけこみ寺です!
令和3年2月17日(水)に実施された
臨床検査技師国家試験問題について
一部の分野をわかりやすく解説していきます!
問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています
※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp210416-07.html)で公開している問題を引用しています。
問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。
MT67-AM2 尿試験紙法による検査でビタミン C 内服の影響が小さいのはどれか。
1.糖
2.潜 血
3.蛋 白
4.亜硝酸塩
5.ビリルビン
まずは尿試験紙法であることをしっかり意識しましょう
選択肢にある項目の試験紙法の原理を確認します
1.糖:GOD・POD法(グルコースオキシダーゼ・ペルオキシダーゼ)
尿糖(グルコース)にGODを作用させ、発生した過酸化水素(H2O2)をPODで分解することによって呈色する、酸化法です
2.潜 血:POD様作用
ヘモグロビンにはPODの様な作用があります
このことから、試薬の過酸化物を分解して発生した酸素によって呈色させる酸化法となります
3.蛋 白:蛋白誤差法
尿蛋白の原理は、pH指示薬を利用した蛋白誤差法です
蛋白質が含まれていると、pHの変化に誤差が生じることを利用しています
4.亜硝酸塩:ジアゾカップリング
5.ビリルビン:ジアゾカップリング
亜硝酸塩やビリルビンが反応し、アゾ色素というものを生成して呈色します
詳細は化学の知識のため省きますが、酸化還元剤の影響を受けます
ビタミンCの別名はアスコルビン酸です
アスコルビン酸には抗酸化作用、すなわち還元作用があります
このことから、酸化法である尿糖・尿潜血を偽陰性にする可能性があります
ジアゾカップリングも阻害されるため、亜硝酸塩・ビリルビンも偽陰性の可能性があります
ということで、答えは3になります
ビタミンC=アスコルビン酸は糖、潜血、ビリルビン、亜硝酸塩が偽陰性の可能性あり
とシンプルに覚えてしまってもOKです!
ちなみに、酸化作用のある物質としてよく出てくるのが、
酸化剤である、さらし粉(=カルキ)、次亜塩素酸です
これらは酸化作用があるため、尿糖・尿潜血を偽陽性にします
また、ビリルビンは酸化されることでビリベルジンとなってしまいますので、尿放置や酸化剤でやはり陰性化してしまいます
MT67-AM7 採血中に患者の顔面が蒼白になり、気分不快を訴えた。この採血合併症について誤っているのはどれか。
1.徐脈になる。
2.高齢者に多い。
3.血圧が低下する。
4.緊張が誘因となる。
5.直ちに採血を中止する。
問題文から、採血時の血管迷走神経反射であることがわかります
ストレスや痛みによる迷走神経の刺激により、心拍数低下・低血圧を起こします
誤っているのは2ですね、年齢は関係ありません
MT67-AM8 空気感染予防策を必要とするのはどれか。2つ選べ。
1.結 核
2.水 痘
3.風 疹
4.百日咳
5.流行性耳下腺炎
答えは、1,2になります
空気感染は絶対に覚えるべきものが3つあります
- 麻疹(ウイルス)
- 水痘(ウイルス)
- 結核(菌)
この3つを覚えましょう!
MT67-AM9 ピンク色泡沫状で漿液性の喀痰が得られた。考えられる疾患はどれか。
1.肺 癌
2.肺梗塞
3.肺水腫
4.気管支炎
5.気管支拡張症
喀痰の性状の問題ということですが、
ピンク色泡沫状で漿液性(サラサラ)というのは、3.肺水腫の特徴です
肺水腫では血液と空気が混ざりピンク色・泡沫上となります
漿液性:気管支喘息,気管支拡張症
粘液性:COPD、急性気管支炎
などが考えられます
喀血(赤~暗赤色)を伴う疾患としては、肺癌、肺梗塞、気管支拡張症などが考えられます
MT67-AM10 黄色のバイオハザードマークが貼付されている容器に廃棄するのはどれか。
1.開封した注射針
2.血液が入った採血管
3.痰が入った採取容器
4.血液が付着したガーゼ
5.採血時に用いた酒精綿
バイオハザードマークの色には3つあります
赤:血液・体液(の入った採血管、袋なども含む)
黄:鋭利なもの=注射針、メスなど
橙:血液・体液のついた、ガーゼやチューブなど
上記からまとめると
1.開封した注射針:黄
2.血液が入った採血管:赤
3.痰が入った採取容器:赤
4.血液が付着したガーゼ:橙
5.採血時に用いた酒精綿:橙
赤と黄色がわかりやすいのでこれらを判別できるように覚えておきましょう。
67回 のMT国試解説のまとめは以下のリンクからどうぞ!
【第67回 臨床検査技師国家試験】問題解説まとめリンク(最新)
こつこつと一緒に勉強していきましょう!
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