ファロー四徴症( Fallot 四徴症)は
先天性の心疾患であり、覚えるべき重要性が高いです
(※国家試験では知識を問われやすい疾患といえます)
今回は、ファロー四徴症の4つの症状と
起こる理由や仕組みについて解説します
ファロー四徴症【国試で問われる知識】
結論から書いてしまいます
国試的には以下のポイントを押さえておけばOK!
- 心室中隔欠損
- 大動脈騎乗
- 肺動脈狭窄
- 右室肥大
そしてもう一つ
- チアノーゼの頻度が最も高い心疾患である
※チアノーゼとは唇や手足など皮膚が紫色になる症状
血液中の酸素濃度が低下した状態である
還元ヘモグロビン濃度(酸素と結合していないHb)が5 g/dL以上で発生する
心臓を描いてファロー四徴症を理解しよう
※心臓の基本的な構造は教科書で確認しましょう
まずは体循環と肺循環のおさらいです
全身に酸素を送ると血液は心臓に戻ってきますね
この酸素濃度の低い血液を 静脈血といい
大静脈→右房→右室→肺動脈
このように循環していきますね
そして、肺に送られ酸素を補充された
酸素濃度の高い血液を動脈血といい
肺静脈→左房→左室→大動脈
このように全身に酸素を送りこんでいくわけですね
もちろんここで大活躍するのは赤血球です
さて、ファロー四徴症の四つの特徴
- 心室中隔欠損
- 大動脈騎乗
- 肺動脈狭窄
- 右室肥大
もちろんこれらをゴロなどで覚えてしまっても良いですが
- 心室中隔欠損(絵の赤丸部分)
さえ覚えておけばあとは自ずと他の3つが導けます
先天性の疾患で、心室中隔の壁が一部なくなってしまう
これでまず何が起こるのか
- 大動脈騎乗
大動脈騎乗とは
大動脈が左右の心室にまたがって乗っている状態のことです
心室中隔の壁がないので
イラストからも見て取れますね
心室中隔に穴が空くと何が起こるのか
右室から左室への血液の流入です
つまり、静脈血が大動脈に混ざるということですね
(右室から左室へ血液が流れ込む、これを右左シャントといいます)
チアノーゼが起こる原因はここにあります
そして、大動脈が騎乗することで
肺動脈が狭くなります
これが肺動脈狭窄です
肺動脈が狭くなるということは
右室に負荷がかかりますね
こうして右室肥大(負荷で右室の壁が厚くなる)が起こります
※通常の心室中隔欠損はもう少し赤丸が下にさがった部分のため、大動脈騎乗は起こりにくいとされます。また、そのような心室中隔欠損は多くの場合自然に塞がるケースも多いです。
ファロー四徴症のまとめ
- 心室中隔欠損で大動脈が左右の心室に騎乗する
- 心室中隔欠損で 静脈血が大動脈へ流れ込みチアノーゼになりやすい
- 大動脈騎乗により肺動脈が狭くなる(狭窄)
- 肺動脈狭窄により右室の負担が増大し、右室肥大
このように心臓のイラストを描くことで
ここに原因があるから、これが起こる
というように段階的に考えやすい部分でもあります
このように段階を踏んで理論的に考えられる知識は
非常に定着しやすいというのもポイントです!
最後に実際の国試問題です
Fallot 四徴症について誤っているのはどれか【国試例題】
- 右室肥大
- 大動脈騎乗
- 肺動脈狭窄
- 心室中隔欠損
- Bottalo管開存
ファロー四徴症に含まれないのは
答えは5になります
5のBottalo管というのは
別名を動脈管ともいい
胎児期の循環に非常に重要な役割を担っています
動脈管は肺動脈と大動脈を繋ぐ管になります
※胎児の詳しい循環についての説明は省略します
この動脈管が上手く塞がらず残ってしまう疾患を
動脈管開存症といい、こちらも先天性心疾患です
Fallot四徴症で起こる血管異常はどれか【PT国試】
- 大動脈騎乗
- 大動脈狭窄
- 冠動脈狭窄
- 肺静脈閉塞
- 肺動脈弁逆流
迷ったらまずは心臓の絵です
心室中隔欠損からスタート
中隔欠損で大動脈騎乗が起こることがわかります
正解は1番ですね
今回は何でもゴロで覚えるよりは
やっぱりしくみを理解したほうが病気の理解にも繋がり
医学への興味が深まるよ!ということを紹介したい記事でした。
国家試験勉強に繋げていきましょう!
ではでは!
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