今回は肺疾患についてです!
肺機能検査のお話が出てきますので
読んでない方はこちらを先に見ておくとよいでしょう
閉塞性と拘束性の違いを一発で見分ける
見分け方は簡単です!
- 閉塞性:気道・気管支の空気の通り道が狭くなる
- 拘束性:肺が固くなる
疾患で代表的なものとしては
- 閉塞性:COPD、気管支喘息、気管支炎、肺気腫
※ 肺気腫は肺の組織が壊れる病気で、空気の通り道が狭くなります
- 拘束性:間質性肺炎、肺線維症、肺癌
※拘束性の肺疾患は簡単にいうと、肺が固くなる状態
呼吸機能検査による違いは
- 閉塞性:1秒率が70%未満
※1秒率は1秒で肺活量の何%の空気を吐く力があるかということ
気道が塞がれていると、勢いよく空気を出せないため低くなる
- 拘束性:%肺活量が80%未満
※ %肺活量(パーセントはいかつりょう)とは
身長体重などから計算上の肺活量の何%かということ
健常者は80%以上となる
%肺活量を調べるために、患者さんには最大の呼吸を頑張ってもらう必要がある
拘束性肺疾患では肺が固くなり、本来入るはずの空気量が入らなくなる
1秒率 70%未満 かつ %肺活量80% 未満の場合
混合性換気障害といいます
※進行した肺気腫などがこれにあたり、長期の喫煙でリスクが高まります
閉塞性肺疾患:COPDとは?
Chronic Obstructive Pulmonary Disease
日本語では慢性閉塞性肺疾患といいます
Chronic :慢性
この単語は病気でよく出てくるので覚えておきましょう
原因のほとんどがタバコの煙です
喫煙者のリスクは非常に高いことを覚えておきましょう
そしてCOPDの恐ろしいのは
進行性であり、不(非)可逆性であるということです
これはすなわち、
・症状は原因を取り除かない限り進行し
・元の肺には戻らない
ということです
喫煙者であれば禁煙をし、
これ以上の悪化を防ぐ(ただし肺組織は元通りにはならない)
ということになります
例えば、気管支喘息などは可逆性です
薬で炎症を抑えてあげれば症状は回復しますし
改善し完治する可能性は十分にあります
間質性肺炎の原因とは
間質性肺炎は肺胞の壁が厚くなって変形したり
肺の線維化が進んで、固くなり弾力が失われるため
本来の肺よりも空気が入らなくなり、%肺活量が低下します
原因がわからないものもありますが、
二次性に起こるものとして、自己免疫疾患があります
(関節リウマチ、強皮症、シェーグレン症候群など)
それでは国家試験の問題を見ていきましょう
慢性閉塞性肺疾患について正しいのはどれか【看護】
1. 残気量は減少する。
2. %肺活量の低下が著明である。
3. 可逆性の気流閉塞が特徴である。
4. 肺コンプライアンスは上昇する。
選択肢を見ていきましょう
1. 残気量は減少増加する。
COPDでは空気を吐ききることが難しくなります
そのため、肺に残る残気量は増える
2. %肺活量の低下が著明である。
%肺活量が低下するのは、拘束性肺疾患です
COPDでは%肺活量は正常範囲内です
COPDでは1秒率が70%未満ですね
3. 不(非)可逆性の気流閉塞が特徴である。
慢性閉塞性肺疾患は、不可逆性の疾患です
気管支喘息などは薬によって可逆的に回復できます
4. 肺コンプライアンスは上昇する。
4が正しい文章になります
肺コンプライアンス=肺のふくらみやすさ
といえます
肺のやわらかさ と言い換えても良いでしょう
このことから肺が固くなる、拘束性肺疾患では
肺コンプライアンスは低下する といえます
COPDのような閉塞性肺疾患では
拘束性とは逆に、肺コンプライアンスは上昇する
と覚えましょう
肺気量分画で正しいのはどれか【臨床検査技師】
1.全肺気量は予備吸気量と機能的残気量の和に等しい
2.機能的残気量は一回換気量と残気量の和に等しい
3.慢性閉塞性肺疾患では機能的残気量が増加する
4.気管支喘息では肺活量が増加する
5.肺線維症では残気量が増加する
肺気量や残気量など言葉で言われてもわかりにくいですね
こういった問題ではざっくりと図を書いてしまうのが得策です
1.全肺気量は予備吸気量と機能的残気量の和に等しい
2.機能的残気量は一回換気量と残気量の和に等しい
どちらも誤りであることがわかります
この図は必ず自分で書いて覚えましょう
ゴロ合わせもそうですが
基本的に書かれているものを眺めているだけでは頭に入りません
本気で覚えようとするのであれば必ず一度は書きましょう
3.慢性閉塞性肺疾患では機能的残気量が増加する
正しい文章です
COPDでは肺コンプライアンスは上昇する、と先程の問題にありました
肺コンプライアンス=肺のやわらかさ
COPDでは肺の残気量自体は少し増えますので
機能的残気量も増えるといえます
4.気管支喘息では肺活量が増加低下する
喘息で肺活量が増加する、というのはそもそもおかしな話ですね
気管支喘息は程度にもよりますが、肺活量も正常よりは低下します
5.肺線維症では残気量が増加低下する
肺線維症は、肺が固くなる病気でした
こうなると肺は上手く膨らみませんから
残気量は低下します
この問題は、1,2,4,5の選択肢がわかりやすいため
消去法で3番を選ぶというのも一つの手です
【文章題 臨床検査技師 国試】
64歳の男性。進行性の労作時息切れを訴えている。喫煙歴40本/日、40年。スパイロメトリーで%肺活量(%VC)81%、1秒率59%であった。考えられるのはどれか。
- 慢性肺血栓塞栓症
- 肺線維症
- 過換気症候群
- 慢性閉塞性肺疾患
- 肺結核
これはノータイムで4番を選べる問題ですね!
かなりの長期喫煙者で、このままでは%肺活量も低下し
混合性換気障害になりそうな事例ですね
意外と出てくる呼吸器系疾患の問題でした!
肺気量分画の図は書けるようにしましょう!
ではでは!
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