【第68回臨床検査技師国家試験】AM3, 6, 9, 11-15の問題をわかりやすく解説

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国試かけこみ寺です!

令和4年2月16日(水)に実施された

第68回臨床検査技師国家試験問題について

一部の分野をわかりやすく解説しています!

問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています

※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp220421-07.html)で公開している問題を引用しています。

問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。

 

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MT68-AM3 採血した全血検体をそのまま室温で一晩放置した。値の低下が予想されるのはどれか。

1.カリウム
2.無機リン
3.アンモニア
4.グルコース
5.クレアチニン

情報を整理します、「全血室温で一晩放置」すると「値が低下」する

各選択肢を見ていきましょう

1.カリウム→赤血球内からの流出増加します

2.無機リン

無機リンと有機リンは意味合いが違うので注意しましょう。

・無機リンは、リン酸塩などの無機質と結合したリン

・有機リンは、生体内の蛋白質や脂質などと結合したリン

全血室温保存では有機リンが加水分解され無機リン上昇します

3.アンモニア

全血放置の影響で大きいものといえばアンモニア上昇で、赤血球の代謝によります

室温はもちろん、冷蔵でも上昇しますので、運送する場合は氷冷が必要です

4.グルコース

正解は4番。全血放置は赤血球の代謝が維持されているのがポイントです

解糖系が動くため、グルコースは低下し、乳酸は増加します

5.クレアチニン

クレアチニンは放置の影響は受けないものと考えられます

MT68-AM6 化膿性髄膜炎を疑う髄液所見として誤っているのはどれか。

1.混濁
2.LD の上昇
3.蛋白濃度の上昇
4.多形核球比率の上昇
5.髄液糖/血糖比の上昇

化膿性髄膜炎とは、細菌性髄膜炎と同じと解釈してOKです

細菌性髄膜炎の特徴は以下です

  • 細菌の増殖で混濁
  • 細菌由来の蛋白質上昇
  • 細菌貪食のため好中球(多核球)増加
  • 細菌が糖を消費するため、髄液糖低下

これらのことから、誤りは5番です。

髄液糖が低下する(小さくなる)、ということは

髄液/血糖 は低下するということになります

MT68-AM9 慢性骨髄性白血病で高頻度にみられる染色体の構造異常はどれか。

1.逆位
2.欠失
3.挿入
4.重複
5.転座

CMLの発症原因といえば

フィラデルフィア(Ph)染色体BCR-ABL遺伝子であり、

これはt(9;22) 9番と22番染色体の転座が原因です。

よって答えは5番。

この問題は、慢性骨髄性白血病(CML)で見られる

  • 染色体はどれか
  • 遺伝子はどれか
  • 染色体異常はどれか

を知っているか、ということになります。

MT68-AM11 一次救命措置において、胸骨圧迫前に行うべきこととして誤っているのはどれか。

1.119 番通報
2.安全の確認
3.意識の確認
4.呼吸の確認
5.対光反射の確認

一次救命措置とは、一般人でも行える、と解釈するとわかりやすいです

5が不適切となります。

一般人の救急救命処置を行う手順を想像すれば1~4が適切であることは明らかです。

MT68-AM12 B型急性肝炎におけるHBs抗原、HBs抗体、HBe抗原、HBe 抗体、HBc 抗体の推移(別冊No. 2)を別に示す。HBc 抗体はどれか。

第68回臨床検査技師国家試験 別冊より引用

 B型肝炎の抗体に関する問題です

B型肝炎ウイルスに対する抗体は、HBs・HBc・HBeの3種類がありそれぞれ意義が異なります

それぞれの意義については以下のブログ記事でしっかり解説していますので、わからない方はこちらから御覧ください!

さて、ここでは抗体の出現順についてを解説します

前提として、抗体が陽性になるのが早い順に

C>E>S

これを覚えてしまいましょう

改めて図を見てみます

第68回臨床検査技師国家試験 別冊より引用

HBs抗原、HBs抗体、HBe抗原、HBe 抗体、HBc 抗体

と書いてありますが、抗体は抗原に対してできますから、抗原の方が先に検出されるはずです

この時点で図のA、Bが抗原であるとわかります。

ということは、図のC、D、Eが抗体で、 HBc>HBe>HBs の順に検出されるので、

HBc抗体はCである、というのが答えになります

MT68-AM13 腎前性急性腎不全の原因になるのはどれか。

1.敗血症
2.尿管結石
3.前立腺肥大
4.急速進行性糸球体腎炎
5.全身性エリテマトーデス(SLE)

腎不全の原因は、

  • 腎前性
  • 腎性
  • 腎後性

の3つに分けられます。それぞれ選択肢を見ていきましょう

1.敗血症

敗血症は細菌感染が血液中にまで及ぶ病態です、血液内にまで細菌感染が及ぶと身体中の臓器がダメージを受けます

血液の細菌感染によって腎機能もダメージを受けますが、これは腎臓の前段階の血液中の感染が原因ですので腎前性になります

2.尿管結石

尿管は腎臓→膀胱の間の管です、ここに結石ができるため腎後性といえます

3.前立腺肥大

前立腺肥大は尿管を圧迫し、尿を出しにくくなったり、腎炎に発展することもあります

これも腎臓の後の尿管の原因なので、腎後性になります

4.急速進行性糸球体腎炎

糸球体腎炎は腎臓の糸球体に原因がありますから、すなおに腎性腎不全となります

5.全身性エリテマトーデス(SLE)

SLEは自己抗体による全身性の炎症が起こる病態ですが、特に自己抗体が腎臓に沈着して起こる腎炎ループス腎炎といいます

腎臓への抗体沈着が原因なので腎性です

MT68-AM14 サルコイドーシスの診断に最も有用なのはどれか。

1.アンギオテンシン変換酵素(ACE)
2.CRP
3.IL-6
4.KL-6
5.SP-D

答えからいうと 1.アンギオテンシン変換酵素(ACE) です

サルコイドーシスは全身性炎症疾患ですが、特に肺への影響が大きく、拘束性肺疾患としても問題に出てくることがあります(ちなみにACEは肺で産生される酵素です)

ちなみにサルコイドーシスはカルシウム高値を示すことも重要なので覚えておきましょう

ちなみにKL-6、SP-Dは、間質性肺炎のマーカーです

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MT68-AM15 ビタミン欠乏症について正しいのはどれか。

1.ビタミンA欠乏で白内障になる。
2.ビタミンB12欠乏で巨赤芽球性貧血になる。
3.ビタミンC欠乏で溶血性貧血になる。
4.ビタミンD欠乏で尿管結石になる。
5.ビタミンE欠乏でWernicke 脳症になる。

ビタミンと欠乏症については以下の記事で完全解説していますので、チェックしてみてください!

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