【第68回臨床検査技師国家試験】PM20, 29-36の問題をわかりやすく解説

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国試かけこみ寺です!

令和4年2月16日(水)に実施された

第68回臨床検査技師国家試験問題について

一部の分野をわかりやすく解説しています!

問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています

※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp220421-07.html)で公開している問題を引用しています。

問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。

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MT68-PM20 動脈血ガス分析の所見を示す。誤っているのはどれか。

pH 7.36
PaO2 58 Torr
PaCO2 56 Torr
HCO3- 31 mEq/L


1.呼吸不全である。
2.腎性代償である。
3.アシデミアである。
4.肺胞低換気である。
5.呼吸性アシドーシスである。

血液ガスは苦手意識の強い人も多いかもしれませんが、まずは基準値を覚えることが重要です

血ガス基準値の覚え方、おすすめの記事はこちらです→【血液pHから始まる】電解質・血ガス 基準値のざっくりとした覚え方【国試対応】

データの方を見ていきます

pH 7.36(基準7.35-7.45)→基準範囲内
PaO2 58 Torr(基準100)→低下
PaCO2 56 Torr(基準35~45)→増加
HCO3 31 mEq/L(基準22-26)
→増加

酸素が明らかに足りていません、そして二酸化炭素が体内に増加

これは呼吸不全を意味しています、これらが呼吸の影響

ではHCO3はなにかというと、代謝の影響ですHCO3は代謝性の塩基性因子だと思ってください

つまり、このデータの状況は呼吸不全でCO2増加で体内が酸性に傾き、それを元に戻そうと代謝の塩基性因子であるHCO3が増加した状態と解釈できます。ここで改めて選択肢を見ると、

1.呼吸不全である。
2.腎性代償である。○→呼吸の影響を、代謝で元に戻そうとしている
3.アシデミアである。✕→アシデミアとはpHが7.35未満という意味である
4.肺胞低換気である。
5.呼吸性アシドーシスである。→腎性代償が起きているが、呼吸で血液が酸性に傾いているため、基本的な病態は呼吸性アシドーシスと言える

ということで答えは3になります

ちなみに、血液pH7.45を超えるとアルカレミアといいます

MT68-PM29 水溶性ビタミンはどれか。2つ選べ。

1.ビタミン A
2.ビタミン C
3.ビタミン E
4.ビタミン K
5.葉 酸

水溶性ビタミンはB群とC

脂溶性ビタミンはDAKE(脂だけ)です

なので答えは2,5、サービス問題でした

葉酸はビタミンBの仲間です

参考記事はこちら→「水溶性ビタミンと脂溶性ビタミン」

MT68-PM30 尿を検体として測定するのはどれか。

1.オステオカルシン(OC)
2.骨型アルカリホスファターゼ(BAP)
3.Ⅰ型コラーゲン架橋 C テロペプチド(CTX)
4.Ⅰ型プロコラーゲン C プロペプチド(PICP)
5.Ⅰ型プロコラーゲン N プロペプチド(PINP)

この問題は、知っていなければどうにもならないという問題です

尿で測定ができるのは 3.Ⅰ型コラーゲン架橋 C テロペプチド(CTX) になります

これは骨吸収マーカーになります

そしてもう一つ、尿で測定する骨吸収マーカーデオキシピリジノリンがあります

この2つを覚えてしまいましょう

骨形成・骨代謝のマーカーについては以下の記事で詳しく解説しています!

MT68-PM31 過酸化水素・ペルオキシダーゼ系呈色反応に必要な試薬はどれか。2つ選べ。

1.ADP
2.NAD(P)H
3.フェノール
4.4-ニトロフェノール
5.4-アミノアンチピリン

酵素の測定原理は大きく分けて2つあります

  • NADHの増加 or 減少を340nmで測定する方法(紫外部測定)
  • 過酸化水素をペルオキシダーゼで分解し、4-AA(アミノアンチピリン)と反応させた呈色反応(可視部測定)

ここでは細かい説明は省きますが、酵素の測定原理でペルオキシダーゼと過酸化水素が出てくれば、4-アミノアンチピリンもセットで登場する、と覚えておきましょう

そして具体的に、このペルオキシダーゼと4-AAの登場する測定には

フェノール系とアニリン系の試薬があります

フェノールとアニリンは、ペルオキシダーゼと4-AAの反応によって、それぞれ

ニトロフェノールとニトロアニリンという物質になります

なので、ここの答えは3,5になります(4のニトロフェノールは反応後の物質なので、試薬に含まれてはいません

 

具体的に酵素の測定を簡単にまとめると

340nmの増加を測定:LD, CK

340nmの現象を測定:AST, ALT, ChE

フェノール系(ALP、AMY)

アニリン系(γ-GT, LAP)

となります。

NADHの測定に関してまとめた記事はこちらをご参考ください!→【臨床検査技師】NADH(340nm)の増加 or 減少を測定する酵素反応の覚え方・勉強法

MT68-PM32 放射線に関する物理量と単位の組合せで正しいのはどれか。

1.放射能 eV
2.吸収線量 C・kg-1
3.照射線量 Gy
4.線量当量 Sv
5.放射線のエネルギー Bq

近年、放射線に関する問題は減少傾向にありますのでスルーしてもいいと個人的には思いますが選択肢の正誤判定をしておきましょう

1.放射能 Bq(ベクレル)
2.吸収線量 Gy(グレイ)
3.照射線量 C・kg-1 (C/kg, クーロン毎キログラム)
4.線量当量 Sv(シーベルト)
5.放射線のエネルギー eV(エレクトロンボルト)

MT68-PM33 直接ビリルビンが高値を示すのはどれか。

1.新生児黄疸
2.溶血性貧血
3.Gilbert 症候群
4.Crigler-Najjar 症候群
5.Dubin-Johnson 症候群

これはビリルビンの定番問題と言えます(答えは5です)

1.新生児黄疸
2.溶血性貧血

これらは肝臓で抱合される前の間接ビリルビンが上昇する定番の疾患です

ビリルビンが高値を示す疾患で、非常にややこしいのが4つの症候群で、これらは体質性黄疸と言われることもあります。以下に覚え方を示します!

直接ビリルビン上昇Dubin-Johnson症候群とRotor症候群

直接DiRect と覚えましょう!

間接ビリルビン上昇Gilbert症候群とCrigler-Najjar症候群

これらの症候群は国試対策として割り切って覚えてしまうしかないでしょう

ビリルビンについての基礎知識はこちらの記事からどうぞ!→絶対に理解できるビリルビン講座【直接ビリルビンと間接ビリルビンの違い】

MT68-PM34 CK-MB が著しく上昇する疾患はどれか。

1.心筋炎
2.皮膚筋炎
3.重症筋無力症
4.筋萎縮性側索硬化症
5.Duchenne 型筋ジストロフィー

CKのアイソザイムは3種類ありますが、臨床的意義があるのはCK-MMCK-MBです

CK-MMは骨格筋CK-MBは心筋に多く含まれており、CK-MBの上昇する疾患といえば心筋梗塞が定番です

しかし今回選択肢に心筋梗塞はありませんが、心臓ということで、1.心筋炎が正解になります

CKに関する基礎知識はこちらの記事で勉強しましょう!→【臨床検査技師国試】LDの次に覚える酵素!過去問徹底解説【CK・AST/ALT】

MT68-PM35 アミラーゼについて誤っているのはどれか。

1.α1,4-グリコシド結合を分解する。
2.活性化にはクロールイオンが必要である。
3.カルシウムイオンを含有する酵素である。
4.膵臓型は唾液腺型よりも分子量が大きい。
5.日本臨床化学会(JSCC)勧告法では共役酵素を用いる。

アミラーゼの基本問題であり、網羅的な知識が必要になります

1.α1,4-グリコシド結合を分解する。→α1,4結合を持つ糖にはアミロースなどがあります

2.活性化にはクロールイオンが必要である。→活性化に必要なのはCl

3.カルシウムイオンを含有する酵素である。→活性中心にCa2+を含有している

4.膵臓型は唾液腺型よりも分子量が大きい

これが誤りです。膵臓型(P型)は唾液腺型(S型)よりも小さいが正解です。分子量が小さいということは、糸球体をすり抜け尿中に漏出することを意味します。すなわち、急性膵炎などのマーカーとして尿中のP型アミラーゼを測定することができるというわけです。

5.日本臨床化学会(JSCC)勧告法では共役酵素を用いる。→AMY測定の共役酵素はαグルコシダーゼです

AMYについての基礎知識はこちらの記事で勉強できます!→【臨床検査技師国試】意外と見落としがちな酵素!過去問解説【ALP・AMY】

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MT68-PM36 eGFR の計算に使用するのはどれか。2つ選べ。

1.身 長
2.体 重
3.年 齢
4.血清クレアチニン濃度
5.尿中クレアチニン濃度

eGFRとは日本語では推算糸球体濾過量といいます。これは本来、糸球体濾過量を評価するクレアチニンクリアランス(Ccr)は尿を採取する必要がありますが、実際に外来で行うことが難しいことから、eGFRでは血清クレアチニンと年齢のみで糸球体濾過量を推定できるというものです。

すなわち、採血のみで糸球体濾過量を評価するために生み出された評価法です

実際の計算式は以下ですが、数字は覚える必要はありません(国試で過去に数字は問われていないため)

eGFRの計算式
194×血清Cr-1.094×年齢-0.287 (×0.739※女性の場合)

答えは3、4になります

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