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国試かけこみ寺です!
令和4年2月16日(水)に実施された
第68回臨床検査技師国家試験問題について
一部の分野をわかりやすく解説しています!
問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています
※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp220421-07.html)で公開している問題を引用しています。
問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。
- MT68-PM37 レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼLCATを活性化するのはどれか。
- MT68-PM38 ビウレット法でキレート呈色反応を示すのはどれか。
- MT68-PM39 血中半減期が最も短いのはどれか。
- MT68-PM40 血中薬物濃度モニタリングの対象にならないのはどれか。
- MT68-PM41 インスリンの分泌を抑制するのはどれか。
- MT68-PM42 酸化還元酵素はどれか。
- MT68-PM43 Lambert-Beer の法則が成り立つ条件で、15 μmol の物質 A を X mL のイオン交換水に溶解し、光路長 10 mm のセルで吸光度を測定したところ 0.945 であった。A のモル吸光度係数を 6.3×103 L・mol-1・cm-1 とすると X はどれか。
- MT68-PM44 炭化水素鎖中に1つの二重結合を持つ脂肪酸はどれか。
MT68-PM37 レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼLCATを活性化するのはどれか。
1.アポ A1
2.アポ A2
3.アポ B100
4.アポ C3
5.アポ E
アポタンパクの役割についての定番問題です
以下の役割を理解しておく必要があります
アポAⅠ:LCAT活性化。HDLに豊富
アポAⅡ:LCAT抑制。HDLに豊富
アポB48:小腸からの吸収に必要。カイロミクロンがもつ
アポB100:LDL受容体への結合。LDL, IDL, VLDLがもつ
アポCⅠ:LCAT活性化。LDLだけもたない。
アポCⅡ:LPL活性化。LDLだけもたない。
アポCⅢ:LPL抑制。LDLだけもたない。
アポE:レムナント受容体&LDL受容体 への結合(リガンド)。LDLだけもたない。
LCATの活性化は、アポA1とアポC1があります。答えは1です
リポ蛋白についてよくわかっていない!という人は是非こちらの記事を御覧ください
MT68-PM38 ビウレット法でキレート呈色反応を示すのはどれか。
1.鉄イオン
2.銅イオン
3.亜鉛イオン
4.カルシウムイオン
5.マグネシウムイオン
ビウレット法は総蛋白の測定法として国家試験に出題される定番知識です
国試に出やすいチェックポイントを以下に箇条書きでまとめます
ビウレット法 チェックポイント
・pH条件は強アルカリ性である
・原理はペプチド結合と銅イオン(Cu2+)のキレート呈色である(試薬に硫酸銅を含む)
・ペプチド結合の数が増えると呈色は大きくなる、ただしジペプチドには反応しない(トリペプチド以上と反応)
・545 nm で測定する
このことから今回の問題の答えは2になります
ちなみに銅イオンが溶解しているため溶液の色は青色です
MT68-PM39 血中半減期が最も短いのはどれか。
1.ALT
2.AMY
3.AST
4.CK
5.LD5
難問です。
正解からいうと2.AMYで、半減期は3~6時間程度と教科書的には書かれています
ただ5.LD5も5~10時間であり、この微妙な差を知っておくべきかは微妙なところです
以上のことからマニアックな問題ではあると思います
酵素の半減期について覚えておくべきなのは、むしろ以下のような項目になります
・ASTとALTではASTの方が半減期が短い(AST:short で覚えよう)
・心筋梗塞で上昇する酵素の半減期は
CK-MB(12時間)<AST(20-30時間)<LD1(70-80時間)
最低限でいえば、上記をチェックしておけば十分と思います
MT68-PM40 血中薬物濃度モニタリングの対象にならないのはどれか。
1.ジゴキシン
2.バルプロ酸
3.テオフィリン
4.ワルファリン
5.バンコマイシン
血中薬物濃度モニタリング=TDMの問題は国試の定番です
これに関してはゴロ合わせで覚えてしまうことを推奨します
答えは4のワルファリンです
ワルファリンは抗凝固薬であり、その機序はビタミンKの阻害による、ビタミンK依存の凝固因子(2,9,7,10因子)の阻害です。
ゴロ合わせを見たい方はこちらの記事をタップ!→【臨床検査技師】国試に出るTDM(血中薬物濃度測定)の必要な薬剤【ゴロ合わせ】
MT68-PM41 インスリンの分泌を抑制するのはどれか。
1.アミノ酸
2.グルカゴン
3.グルコース
4.インクレチン
5.ソマトスタチン
正解から言ってしまうと
インスリンの分泌を抑制するのは5.ソマトスタチンです
ソマトスタチンは
- 視床下部
- 膵臓(δ細胞)
- 消化管(胃・十二指腸)
と、分泌場所が複数存在するホルモンですが、その基本の役割は、分泌場所のホルモンの抑制です
すなわち、ソマトスタチンは
- 視床下部→成長ホルモンの抑制
- 膵臓(δ細胞)→インスリン・グルカゴンの抑制
- 消化管(胃・十二指腸)→ガストリン・セクレチンの抑制
と各分泌場所で分泌されるホルモンを抑制するために働きます
一応他の選択肢も見ていくと、
2.グルカゴンは血糖値を上げるホルモンですが、インスリンの分泌抑制をするのではなく、肝臓でグリコーゲンの分解を促進します
3.グルコースは増加すると、インスリンの分泌を促進するといえます
4.インクレチンは間接的にインスリンを分泌するホルモンであるため、インスリン分泌促進的に働きます
MT68-PM42 酸化還元酵素はどれか。
1.CK
2.LD
3.ALT
4.AST
5.γ-GT
酵素の分類の問題ですね
国試で出てくるメジャーな酵素は、大きく3つに分けられます
- 酸化還元酵素
- 転移酵素
- 加水分解酵素
酵素の分類は、名前の特徴を覚えれば非常にわかりやすくなります
酸化還元酵素→デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ
転移酵素→トランスフェラーゼ、キナーゼ
加水分解酵素→基本上記以外、消化酵素など
そして、国家試験の定番である8大酵素をこれらに従って分類すると
酸化還元酵素→LD
転移酵素→AST, ALT, CK, γ-GT
加水分解酵素→AMY, ALP, ChE
これらだけでも押さえておくとよいでしょう
問題の正解は2でした
MT68-PM43 Lambert-Beer の法則が成り立つ条件で、15 μmol の物質 A を X mL のイオン交換水に溶解し、光路長 10 mm のセルで吸光度を測定したところ 0.945 であった。A のモル吸光度係数を 6.3×103 L・mol-1・cm-1 とすると X はどれか。
1. 2
2. 10
3. 50
4.100
5.200
問題文からLambert-Beer の法則、A=εcl を使うことは明らかです
- ε:モル吸光係数
- c:モル濃度(mol/L)
- l :光路長(cm)
問題文をよく読むと、l=10mm=1cm、ε=6.3×103
が与えられているため、後は濃度の単位調整をすればOKです
15μmolがX mLに溶解しているということで
15μmol/X mL となりますが、これを1L(=1000mL)の時の濃度(c)に直します
15μmol:X=c:1000 mL の比が成り立つので
cX=15000 μmol→molに変換する
15000μmol=15mmol=15×10-3mol
ということで、
c=15×10-3/X となり、これをA=εclに代入していくと
0.945=6.3×103 × 15×10-3/X
0.945X=6.3×15
X=94.5/0.945=100
∴答えは4
※文章のみでの説明のため、分かりづらくて申し訳ありません
MT68-PM44 炭化水素鎖中に1つの二重結合を持つ脂肪酸はどれか。
1.オレイン酸
2.リノール酸
3.ステアリン酸
4.パルミチン酸
5.α-リノレン酸
こちらは定番の脂肪酸の問題です!
このパターンの問題を完全に攻略できるゴロ合わせを以下の記事で解説していますのでぜひご覧ください!!(ちなみに答えは1)
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