【第68回臨床検査技師国家試験】PM11-15の問題をわかりやすく解説

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国試かけこみ寺です!

令和4年2月16日(水)に実施された

第68回臨床検査技師国家試験問題について

一部の分野をわかりやすく解説しています!

問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています

※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp220421-07.html)で公開している問題を引用しています。

問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。

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MT68-PM11 末梢神経障害を呈するのはどれか。

1.Alzheimer 病
2.Creutzfeldt-Jakob 病
3.Guillain-Barré症候群
4.Parkinson 病
5.Wilson 病

医学総論の問題のポイントは「病気の説明ができるかどうか」です

こればかりは病名と原因や症状などを覚えなくてはいけませんので、覚えていないとどうしようもないというのは事実です

各選択肢の病気を簡単に説明しますが、病気の概要についてはご自身で臨床医学総論の教科書などで調べていくのが良いと思います

1.Alzheimer 病ーアルツハイマー病は有名です。大脳の神経原線維変化、老人斑なども伴い、認知症を来す疾患

2.Creutzfeldt-Jakob 病ークロイツフェルト・ヤコブ病。プリオン蛋白の脳への蓄積による神経細胞障害

上記の2つは脳の疾患ですので、中枢神経の疾患ということができます。末梢神経障害というと、手足などに現れる障害をいいます

3.Guillain-Barré症候群ー英語で書かれるとわかりづらいですが、ギラン・バレー症候群です。ギラン・バレー症候群は、ウイルスやカンピロバクターなどの細菌感染を発端として発症する一過性の末梢神経障害(手足の痺れなど)を引き起こす疾患です。

ということで正解は3になります

4.Parkinson 病ー脳に存在する黒質ー線条帯のドパミン神経細胞の変性によって、振戦や小刻み歩行などを特徴とする疾患です。こちらも脳なので中枢神経障害となります。

5.Wilson 病ーWilson病は銅の代謝異常症です

MT68-PM12 染色体検査が診断に有用なのはどれか。

1.血友病 A
2.サラセミア
3.Gaucher 病
4.Turner 症候群
5.フェニルケトン尿症

こちらも医学総論的な問題で、病気の「原因」を問うている問題です

まず理解しておく必要があるのは、

染色体検査で診断できるのは、染色体そのものの欠失・逆意・転座など、染色体の変化を観察できる場合です。一方で、遺伝子疾患とは、染色体上のとある塩基配列の異常ですから、染色体を見てもわかりません。これらはPCRを始めとした遺伝子検査を用います。

こちらも各選択肢を見ていきます

1.血友病 Aー血液凝固第8因子の質・量的以上による凝固異常疾患です。原因は遺伝子にあります。ちなみに血友病Bは第9因子です。

2.サラセミアーヘモグロビンのポリペプチド鎖(パーツのようなもの)の異常による異常ヘモグロビン症です。原因は遺伝子です。

3.Gaucher 病ーゴーシェ病と読みます。ライソゾーム病(リソソーム内の酵素の異常)であり、原因は遺伝子です。

4.Turner 症候群ーこちらが正解。XX染色体(女性)の1本のX染色体の欠失(または部分欠失)を起こします、これは染色体の観察で見分けられるため染色体検査が有効といえます。

5.フェニルケトン尿症ーアミノ酸代謝異常であり、フェニルアラニンをチロシンに変換するための酵素の遺伝子異常が原因です。

MT68-PM13 ROC 曲線の縦軸と横軸の組合せで正しいのはどれか。

  縦軸 ー横軸
1.感 度 ー特異度
2.特異度 ー感 度
3.感 度 ー偽陽性率
4.偽陽性率 ー感 度
5.偽陽性率 ー特異度

正解は3です。ROC曲線を図示すると以下のようになります

ROC曲線(例)

上記はあくまで例ですが、感度が高く、偽陽性率が低いほど正確に陽性を捉えられる検査であるといえます

MT68-PM14 関節リウマチの診断に用いられるのはどれか。

1.抗 CCP 抗体
2.抗 GAD 抗体
3.抗 SS-A 抗体
4.抗サイログロブリン抗体
5.抗アセチルコリン受容体抗体

正解からいうと1の抗CCP抗体になります

関節リウマチといえばRF(リウマトイド因子)ですが、RFは健常人でも5%ほどは検出の可能性もあり、他疾患でも陽性となるため特異性が低いです

そのため、関節リウマチに対する自己抗体としては、感度特異度が共に優れる抗CCP抗体の測定が有効です。

他の選択肢も軽く解説していきます

2.抗 GAD 抗体ー1型糖尿病で見られる自己抗体です

3.抗 SS-A 抗体ーシェーグレン症候群に見られる抗体です。Sjogren syndromeなので覚えやすいです。SS-B抗体の方は陽性率は低いですが、特異性が高いです。

4.抗サイログロブリン抗体ー橋本病で主に見られますが、バセドウ病でも出現する自己抗体です

5.抗アセチルコリン受容体抗体ー重症筋無力症の原因抗体です。筋肉のアセチルコリン受容体に対する抗体で、筋肉の神経伝達障害が起きます。

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MT68-PM15 分子標的薬投与の決定に ERBB2(HER2)増幅の検索を行うのはどれか。

1.乳 癌
2.卵巣癌
3.子宮頸癌
4.子宮体癌
5.前立腺癌

分子標的薬:HER2とくれば、乳癌です

実際には乳がんの15〜20%で陽性になると言われており(参考:日本乳癌学会(編) 患者さんのための乳がん診療ガイドライン2019年版)、陽性率は高くはありませんが、陽性の場合はこのHER2を標的とした抗体治療薬が有効になるというわけです(トラスツズマブ(商品名ハーセプチン)が有名)

このように分子標的薬の投薬の有効性確認などを目的とした検査をコンパニオン検査といいますので覚えておきましょう

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