【第68回臨床検査技師国家試験】PM54, 58, 60, 61, 63, 65, 69の問題をわかりやすく解説

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国試かけこみ寺です!

令和4年2月16日(水)に実施された

第68回臨床検査技師国家試験問題について

一部の分野をわかりやすく解説しています!

問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています

※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp220421-07.html)で公開している問題を引用しています。

問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。

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MT68-PM54 外胚葉から発生するのはどれか。2つ選べ。

1.気 管
2.結 腸
3.脾 臓
4.中枢神経
5.副腎髄質

外胚葉のキーワードは皮膚と神経です

正解は4と5です、中枢神経とは脳と脊髄のことです

副腎髄質は神経伝達物質であるノルアドレナリンの分泌に関わっているので外胚葉由来、と覚えましょう!副腎髄質は特に国試で狙われやすい部分です。ちなみに副腎皮質は中胚葉です。

楽してざっくり三胚葉分類を覚えたい方はこちらの記事をご参考ください!→【解剖基礎】超簡単! ゴロのいらない三胚葉の分類 ー 苦手ならこれだけ覚える!

MT68-PM58 ミトコンドリアが存在しないのはどれか。

1.好中球
2.赤血球
3.形質細胞
4.リンパ球
5.マクロファージ

正解は2の赤血球です。

赤血球には核とミトコンドリアが存在しません

正確にいうと、網状赤血球→赤血球に成長する過程で脱核し、ミトコンドリアも排除されます

MT68-PM60 血栓性血小板減少性紫斑病で認められるのはどれか。2つ選べ

1.網赤血球減少
2.ハプトグロビン高値
3.ADAMTS 13 活性低下
4.超高分子量 VWF マルチマー出現
5.ループスアンチコアグラント陽性

答えからいうと3,4になります

病気について問われる場合は、どんな病気か説明できることが重要です

血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)とは

一次止血に重要なVWF(フォンヴィレブランド因子)の処理に必要な酵素であるADAMTS13の活性が低下することで、VWFマルチマーが出現し、血小板を激しく凝集させ血栓を作ってしまう病気。血小板が消費され減少し、出血傾向を引き起こす。

この問題は結局、血栓性血小板減少性紫斑病がどのような病気なのか、登場するキーワードを押さえておくべきという問題です。

1.網赤血球減少、は赤血球の産生に問題はないので✕
2.ハプトグロビン高値 ✕ → 感染症などの急性炎症で上昇するタンパクです

ちなみに、似たような病気に特発性(免疫性)血小板減少性紫斑病(ITP)というのがあるのでそちらも簡単な説明をしておきます

特発性(免疫性)血小板減少性紫斑病(ITP)とは

血小板の糖タンパクであるGPⅡb/Ⅲaに対する自己抗体によって血小板が減少し、出血傾向を引き起こす病気(Ⅱ型アレルギーに分類される自己免疫疾患である)。他に、血小板関連IgG(PAIgG)が高値となる。ヘリコバクター・ピロリの除菌がITPの治療に有効であるとされる。

 

ちなみに、5.ループスアンチコアグラントは抗リン脂質抗体のひとつであり、抗リン脂質抗体症候群や、SLEなどの自己免疫疾患で陽性となる可能性があります

MT68-PM61 鉄欠乏性貧血および慢性炎症に伴う貧血で共通するのはどれか。2つ選べ。

1.小球性貧血である。
2.血清鉄が低値である。
3.鉄の利用障害を認める。
4.血清フェリチンが低値である。
5.総鉄結合能(TIBC)が高値である。

鉄欠乏性貧血はその名前の通り、鉄が不足し、赤血球を作る材料がないために貧血になる状態です。貧血の中では最も多く、女性がなりやすいです。体内の貯蔵鉄は使われるのでフェリチン低下、TIBC、UIBCは増加します(機序は後述)

では、慢性炎症に伴う貧血はどのような状態でしょうか、こちらは慢性的な炎症によって貯蔵鉄の利用が阻害されると考えればOKです。フェリチン=貯蔵鉄は正常~増加TIBCは低下するというのが違いのポイントです。

以上のことから、各選択肢を判断していきます

1.小球性貧血である。 どちらも赤血球に鉄が足りない状態なので、小球性貧血です。


2.血清鉄が低値である。◯ 血清鉄は鉄と結合しているトランスフェリンのことです、鉄が不足するとトランスフェリンと結合する鉄が減るので、血清鉄は低下します。鉄欠乏では単純に鉄が足りないこと、慢性炎症では貯蔵鉄からの鉄補充ができないことが要因としてあげられます。


3.鉄の利用障害を認める。✕ これは慢性炎症による貧血の特徴です

4.血清フェリチンが低値である。✕ 鉄欠乏性貧血ではフェリチンは低下しますが、慢性炎症による貧血では正常~増加します。

5.総鉄結合能(TIBC)が高値である。✕ 

TIBCは血清鉄+UIBCで表され、血清鉄は鉄と結合したトランスフェリンUIBCは鉄と結合していないトランスフェリンです。

つまりTIBCはトランスフェリンの総量を表しています。

鉄欠乏性貧血になると、鉄が不足して血清鉄は低下します。そうすると、肝臓では鉄を集めようとトランスフェリンの合成が促進されます。しかし、肝心の鉄がないので、トランスフェリンのみが増加します。結果、UIBCが通常よりも増加。結果的に鉄欠乏性貧血ではTIBCが増加するというわけです。

一方で、慢性炎症による貧血では上記のようなトランスフェリンの増加は起きないため、血清鉄だけが低下→結果的にTIBC正常~低下と言われています。

MT68-PM63 肝臓で合成されないのはどれか。

1.D ダイマー
2.フィブリノゲン
3.プラスミノゲン
4.アンチトロンビン
5.プラスミンインヒビター

各選択肢がどんなものであるかを簡単に説明できるようにしておく必要があります

正解は1のDダイマーです、Dダイマーはフィブリンの分解産物です。これさえわかっていれば、フィブリンが分解したものであるから、肝臓で合成されるものではない、ということがわかります。

他、2~5はすべて肝臓で合成されるタンパク質です。

3.プラスミノゲンは、線溶に働くプラスミンの前駆物質です

4.アンチトロンビンは凝固因子であるトロンビンを抑える、抗凝固因子です

5.プラスミンインヒビターはプラスミンを阻害する物質です

血液の凝固と線溶は、どちらかに傾きすぎないように、どちらかを抑制する物質もまた存在しているということを覚えておきましょう

MT68-PM65 リン脂質依存性凝固反応に関与するのはどれか。

1.第Ⅷ因子
2.第Ⅺ因子
3.第Ⅻ因子
4.フィブリノゲン
5.プレカリクレイン

血液凝固反応の中でリン脂質を必要とするのは1.第Ⅷ因子が正解です

他には、第Ⅹ因子、第Ⅴ因子が該当すると考えられます

プレカリクレイン・第Ⅻ因子、第Ⅺ因子は内因系の始めに登場する因子であり、リン脂質は関与していないと考えられます

フィブリノゲンは直接リン脂質が必要な反応というわけではありません

教科書などの凝固カスケードを見直すと、リン脂質が必要な部分が図に載っていますのでご自分で一度調べてみることをおすすめします

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MT68-PM69 エンベロープを持つのはどれか。

1.ノロウイルス
2.ロタウイルス
3.アデノウイルス
4.ポリオウイルス
5.インフルエンザウイルス

エンベロープを持つウイルス=エタノール消毒が有効と考えましょう

この考え方であれば、5.インフルエンザウイルスが正解であることがすぐにわかります

逆に言うと、1~4はエタノール消毒では不十分ということです。これらのウイルスの消毒には次亜塩素酸ナトリウムを用いるのが一般的です。

エンベロープは脂質でできていますから、アルコールで溶けやすい、と考えるとエンベロープにアルコールが有効である。とイメージしやすいと思います。

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