臨床検査技師をメインとした国家試験の解説サイト
国試かけこみ寺です!
今回は、血液型判定のカラム凝集法の過去問を見ていきたいと思います!
学校の実習などで、血液型検査は試験管法で行ってきたと思いますが、現場では自動機器によるカラム凝集法の判定もよく見られます
このことから、国家試験問題にも5,6年前からカラム凝集法の写真問題が出るようになりました
カラム凝集法は判定の仕方さえわかってしまえば、基本に忠実な問題が多いです
確実な1点をゲットするためにも、ぜひこの記事を読んでチェックしてみてください!
(過去問および画像は全て厚生労働省ホームページで公開されているものを引用しています。また、あくまで私的利用の個人研究のため作成したものですので、情報の取り扱いは自己責任でお願いいたします。)
カラム凝集法の判定方法
これは確実に覚えましょう!
上に溜まると凝集4+
下に溜まると陰性
これを覚えておけば、国試レベルの判定に関しては十分です!
後は実際に問題を見て慣れていきましょう!
MT61-PM87 カラム凝集法による血液型検査の結果を示す。正しい判定はどれか。
1.A型RhD陽性
2.B型RhD陽性
3.O型RhD陰性
4.AB型RhD陰性
5.判定保留
最もシンプルなタイプの問題です
ちなみにカラムの向かって左のカラー付きの部分がオモテ検査、右側がウラ検査で、CONTROLは陰性対照です
- オモテ:A0, B4+, D4+
- ウラ:A3~4+, B0
ということで、シンプルにB型RhD+ ですね
MT63-PM88 カラム法による血液型検査の結果を示す。判定として正しいのはどれか。
1.オモテ検査AB型,ウラ検査AB型,Rh陽性
2.オモテ検査AB型,ウラ検査 O 型, Rh陰性
3.オモテ検査 O 型,ウラ検査AB型,Rh陰性
4.オモテ検査 O 型,ウラ検査 O 型,Rh陰性
5.オモテ検査 O 型,ウラ検査 O 型,Rh陽性
カラムの判定が全て0(陰性)になっています
オモテウラ不一致で何らかの原因があるはずですが現時点では不明です
この問題の正解としては、3.になります
MT65-AM84 判定として正しいのはどれか。
1.オモテ検査O型,ウラ検査A型,Rh陽性
2.オモテ検査O型,ウラ検査B型,Rh陽性
3.オモテ検査AB型,ウラ検査A型,Rh陽性
4.オモテ検査AB型,ウラ検査A型,Rh陰性
5.オモテ検査AB型,ウラ検査B型,Rh陽性
- オモテ:A0, B0, D4+
- ウラ:A4+, B0
答えは2.ですね
MT65-AM85 このような判定結果となった原因として考えられるのはどれか。2つ選べ。
1.亜 型
2.連銭形成
3.免疫不全患者
4.過去の骨髄移植
5.不規則抗体保有患者
判定に加えて、オモテ・ウラ不一致の原因を考える問題が続いています
ひとつひとつの選択肢を、オモテが正しいとするなら、ウラが正しいとするなら、と考えなくてはならず問題の難易度が上がっています
答えと詳しい解説はこちらから →MT65-AM85解説
MT66-PM85 カラム凝集法の結果を示す。最も考えられるのはどれか。
1.Ax型
2.汎血球凝集反応
3.不規則抗体保有患者
4.O型赤血球の異型適合血輸血後
5.直接抗グロブリン試h験陽性患者
- オモテ:A0, B0, D0 →AB Rh+
- ウラ:A2+, B2+ →O型?
ウラ検査は2+と弱い凝集になっています、普通のO型とすれば強い4+の凝集になるはずです
この問題は結局はオモテウラ不一致の原因を探る問題となっています
ウラ検査のA血球B血球が2+となっており、患者血清に原因がありそうと考えられます
このことから答えは 3.不規則抗体保有患者 になっています
他の選択肢の解説についてはこちら →MT66-PM85の解説
MT67-PM85 抗体同定検査の抗原表(別冊No. 13A)及びカラム凝集法の間接抗グロブリン試験の結果(別冊No. 13B)を別に示す。可能性の高い抗体はどれか。
1.抗 c
2.抗 C
3.抗 E
4.抗 Fyb
5.抗 Jkb
ついに不規則抗体の問題がカラム凝集法で出てきました。判定はおまけみたいなもので、実質不規則抗体のスクリーニング判定ができるかどうかの問題です。
判定としては、1,3,6が凝集しています。表に○をつけます
1,3,6で全て+となっているのは、cとEだとわかります
しかし、c は5の赤血球でも+となっていますが、5は凝集していません
すなわち、凝集の原因となっている抗体は3.抗E の可能性が最も高いと言えます
まとめ
こうして61~67回までの問題を見てみると、
初期の頃は、カラムの判定ができればOKという感じでしたが、近年ではカラムの判定はできて当然、結局はその後の解釈が重要、という感じに変化しています
その後の解釈とは具体的には以下のようになります
・オモテウラ不一致の原因→オモテ検査は患者血球、ウラ検査は患者血清をベースに理由を探る(試薬血球・血清の問題の可能性もあります)
・不規則抗体スクリーニング→カラム法に限らず定番問題。凝集しているパネル血球に印をつけて、全てでプラス+になっている抗原を探す
とはいえ、カラム凝集法のシンプルな判定問題が出ることは十分あり得ます。
どっちだっけ?となって、せっかくの1点を取り逃がさないよう、しっかり判定しましょう!
コメント