【第67回臨床検査技師国家試験】AM65, 66, 68, 70, 72, 73の問題をわかりやすく解説

MT国家試験

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国試かけこみ寺です!

令和3年2月17日(水)に実施された

臨床検査技師国家試験問題について

一部の分野をわかりやすく解説していきます!

問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています

※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp210416-07.html)で公開している問題を引用しています。

問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。

 

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MT67-AM65 自己免疫性溶血性貧血で高値を示すのはどれか。2つ選べ。

1.フェリチン
2.網赤血球数
3.間接ビリルビン
4.ハプトグロビン
5.総鉄結合能(TIBC)

自己免疫性溶血性貧血とは、自己抗体によって赤血球が壊れ溶血を起こしてしまう病態の総称です

寒冷凝集素症や寒冷ヘモグロビン尿症などがこれにあたります

さて、溶血が起こると赤血球が減りますから、赤血球の生成が増加します

このことから、2.網赤血球数 が増加します

また、溶血が起こるとヘモグロビンが代謝され、3.間接ビリルビンが増加します

 

1.フェリチンは貯蔵鉄ですから、赤血球が作られ鉄が消費されると減少します

4.ハプトグロビンは溶血の際、ヘモグロビンと結合し脾臓へ運ばれ、ヘモグロビンと共に破壊されます。そのため溶血で減少します。

5.TIBCとはトランスフェリン(Tf)の総量で、血清鉄(鉄を運んでいるTf)+UIBC(鉄を運んでいないTf)で表されます。赤血球が作られるとTfによる鉄の運搬も盛んになりますが、トータルのTIBCには変動はあまりないと考えられます。

 

↓上記知識の関連記事はこちらからどうぞ!

MT67-AM66 広範な皮下出血と APTT 延長が認められたので APTT の交差混合試験を実施した。考えられるのはどれか。

第67回臨床検査技師国家試験 別冊より引用


1.後天性血友病 A
2.ビタミン K 欠乏症
3.von Willebrand 病
4.アレルギー性紫斑病
5.播種性血管内凝固(DIC)

交差混合試験(クロスミキシングテスト)の問題です

クロスミキシングは、患者のAPTT延長が「インヒビターによるもの」か「凝固因子欠損によるもの」かを判定するためのテストです

この問題の一番のポイントは、混和直後と2時間後の両方の影響を調べているところです

表を見てみると、患者血漿に正常血漿を混ぜたとしても、2時間後にはAPTTが延長していることがわかります

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: image-1.png

これは、患者血漿に凝固因子インヒビターが存在していることを意味します

このことから、答えは1.後天性血友病Aになります

先天性の血友病は凝固因子の欠損(活性低下)ですが、後天性の血友病は自己抗体(インヒビター)によるものであるというのがポイントです

凝固因子欠損パターンを示すのはV.K欠乏症や、VW病などがあります

凝固因子欠損パターンの場合は、時間が経ってもAPTTが延長するということはないです

ちなみに、混和直後からAPTTの延長が顕著に見られるものに、LA(ループスアンチコアグラント、抗リン脂質抗体症候群)があります(通常のインヒビターと違い延長が即時に現れる)

↓後天性血友病については過去に類似問題があります

MT67-AM68 原核生物の特徴で正しいのはどれか。

1.核膜を有する。
2.有糸分裂する。
3.環状の染色体を有する。
4.ミトコンドリアを有する。
5.細胞壁はセルロースからなる

 

1、2、4は真核生物の特徴です

正解は3.環状の染色体を有する です

また原核生物は、染色体とは別のプラスミドという環状DNAを持っています

プラスミドは接合伝達で他の細菌に渡したり、取り出したプラスミドを人の手で他の菌に取り込ませ形質転換をさせることなどができます

 

5.セルロースは植物細胞の細胞壁です

原核生物の細胞壁、すなわち細菌の細胞壁はペプチドグリカン層です

細菌の細胞壁はその構造でさらに、グラム陽性菌と陰性菌に分けられます

↓ややマニアックな記事ですが、rRNAの違いについて解説しています

MT67-AM70 細胞壁合成阻害薬はどれか。

1.コリスチン
2.ゲンタマイシン
3.バンコマイシン
4.レボフロキサシン
5.クロラムフェニコール

正解は3.バンコマイシンです

バンコマイシンはMRSAに有効な薬剤ですので出題頻度が高いです

それぞれの機序をまとめると

  1. コリスチンー細胞膜障害
  2. ゲンタマイシンー蛋白質合成阻害
  3. バンコマイシンー細胞壁合成阻害
  4. レボフロキサシンーDNA合成阻害
  5. クロラムフェニコールー蛋白質合成阻害

抗菌薬の名前と作用については覚えるしかないのですが、ある程度はゴロで対応できます

↓以下の記事を参考にしてください!

MT67-AM72 血中濃度モニタリングが必要な抗菌薬はどれか。

1.ペニシリン G
2.バンコマイシン
3.エリスロマイシン
4.テトラサイクリン
5.レボフロキサシン

なんとこの問題も答えがバンコマイシンです

バンコマイシンは先程述べた通り、MRSAに有効な細胞壁合成阻害薬です

と、同時にTDM(血中薬物モニタリング)が必要な薬剤でもあります

この2つは非常に重要な定番知識です

実際にこの知識で2点分の得点になるのは非常に大きいですね

中々このようなことはありませんが、地道に基本の定番知識を詰めていくことがいかに重要か実感させられますね

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MT67-AM73 消毒用エタノールに抵抗性を示すのはどれか。2つ選べ。

1.ノロウイルス
2.Candida albicans
3.Clostridioides difficile
4.Pseudomonas aeruginosa
5.Staphylococcus aureus

これもかなり基本的な問題です

正解は1,3です

ウイルスにアルコールが有効かどうか、というのは一般的にエンベロープの有無で決まります

アルコールが効かない(エンベロープを持たない)代表はノロウイルスやロタウイルスです

B型肝炎ウイルス(HBV)は例外的で、エンベロープを持ちますがアルコールの効果が薄いと言われています

アルコールが効かない菌は、芽胞を形成する菌(クロストリジウム属やバシラス属)です

最も代表的なのが、Clostridioides difficileClostridiumから表記が新しくなりました) です

他にはセレウス菌(Bacillus cereus)、枯草菌(Bacillus subtilis)などがメジャーなところです

 

上記の感染源を消毒するには、次亜塩素酸ナトリウムが有効です

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