【第67回臨床検査技師国家試験】AM51, 59, 60, 61の問題をわかりやすく解説

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国試かけこみ寺です!

令和3年2月17日(水)に実施された

臨床検査技師国家試験問題について

一部の分野をわかりやすく解説していきます!

問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています

※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp210416-07.html)で公開している問題を引用しています。

問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。

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MT67-AM51 肝硬変症の合併症として適切でないのはどれか。

1.黄 疸
2.腹 水
3.肝腫大
4.食道静脈瘤
5.女性化乳房

肝硬変・肝臓の機能についての重要問題です

まず肝硬変の合併症として、覚えるべきは

黄疸・腹水・食道(+胃)静脈瘤+脾腫の3つです

  • 黄疸は肝臓のビリルビン代謝がうまくできないために、直接ビリルビン・間接ビリルビンのいずれも上昇する可能性があります
  • 腹水は肝臓の血液の流れが悪くなり水分が貯留すること、もう一つはアルブミン合成ができなくなり膠質浸透圧が低下することによります。これらは漏出性の腹水です。
  • 食道静脈瘤が起こるのは、肝臓の血管が固くなり門脈圧が亢進して、食道静脈や胃静脈への逆流や滞留が起こるためです。他には、脾静脈も門脈に繋がるため、脾腫なども起こり得ます。

他には、腹水の原因である低アルブミン血症、尿素回路の機能低下によるアンモニアの増加が引き起こす肝性脳症など、肝臓は非常に多くの役割を持っていることから肝硬変の合併症はたくさんあります

 

さて、残りは3.肝腫大、5.女性化乳房についてです

肝硬変で女性化乳房というのはあまり聞き馴染みがないかもしれませんが、肝臓でのエストロゲン代謝が低下し、男性でもエストロゲン蓄積→女性ホルモンの影響が大きくなることがあります(日本消化器病学会雑誌, 88 (6) 1319-1327, 1991)

(国試レベルではややマニアックな知識かもしれません)

 

3の肝腫大は肝臓全体の容積が大きくなることです

肝硬変とはその名の通り、肝臓が硬くなる病変で、硬くなる原因は細胞の線維化です

このことから、肝臓が腫大していくというのはやや考えづらいのですが、臨床では左葉の腫大、右葉の萎縮を伴う(日本消化器病学会 肝硬変診療ガイドライン2015より)との表記もあり、微妙な問題です

肝臓全体が明確に腫大するのは、アルコール性脂肪肝などです

 

以上より、1,2,4,5は明確であることから、解答は3となっています

 

MT67-AM59 基準範囲に性差を認める血算項目はどれか。2つ選べ。

1.赤血球数(RBC)
2.網赤血球比率(Ret)
3.平均赤血球容積(MCV)
4.ヘモグロビン濃度(Hb)
5.平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)

正解は1と4です

女性に貧血が多いというのは有名ですが、これはHb濃度が男性よりも低い傾向にあるためです。赤血球産生にHbが必要ですから、赤血球数も低くなります

(上記の根本的な要因は、テストステロン=男性ホルモンにエリスロポエチン=造血ホルモンの産生を促す作用があるためと言われています)

しかし、赤血球そのもののクオリティに影響はありませんから、MCVやMCHCは同じです

網赤血球数は血算ではそもそも非常に低値ですから、差がほとんど見えません

 

MT67-AM60 発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の診断に用いられる抗体はどれか。

1.抗 CD4
2.抗 CD19
3.抗 CD34
4.抗 CD45
5.抗 CD59

正解は5、覚えておくしかありません

 

発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の特徴は以下です

  • 後天性の遺伝子異常(赤血球表面のCD55,CD59の欠損)により
  • 赤血球の補体感受性が亢進し、溶血が起きる
  • 特に睡眠中に発作を起こしやすい
  • その理由は、睡眠中は体内が酸性に傾き補体活性がより強くなるから

↓PNHに似た疾患、PCHと一緒にこちらで詳しく解説しています!

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MT67-AM61 血漿鉄消失時間の測定結果(別冊No. 9)を別に示す。考えられるのはどれか。

1.鉄欠乏性貧血
2.巨赤芽球性貧血
3.再生不良性貧血
4.二次性赤血球増加症
5.自己免疫性溶血性貧血

第67回臨床検査技師国家試験 別冊より引用

血漿鉄消失時間とは、血漿中から骨髄への鉄の移動を反映します

すなわち、血球の産生が亢進すると血漿中から鉄が消失していく(使われる)、と言えます

健常人では90分程度で50%が消失します

図を見てみると、患者検体では鉄の消失時間が大きく延長しているとわかります

これは、骨髄での血球産生がされていない、不良であると言えますので、答えは再生不良性貧血になります 

他の1,2,4,5は血球の産生が通常よりも亢進するので、消失時間は短くなります

  

今回は少なめですが、以上になります!

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