【内分泌】甲状腺ホルモンT3,T4,TSHって何?【バセドウ病・橋本病】

ホルモン

今回は甲状腺ホルモンについてです!

 

甲状腺のイラスト(人体)

甲状腺は気道よりも前側にあります

 

 

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 甲状腺ホルモン T3:トリヨードサイロニンとT4:サイロキシン

甲状腺から分泌されるホルモンは

 

T3

T4 

 

(※もうひとつカルシトニンがありますが

カルシトニンは役割が異なるため、

副甲状腺と一緒に解説します)

  

 

甲状腺ホルモンの名称

T3はトリヨードサイロニン

T4はサイロキシン(チロキシン)

 

 

 

 

トリヨードサイロニンの名前にも入っていますが

T3,T4ともにI(ヨウ素)を含んでいるのが特徴です!

 

 

 

 

 

甲状腺ホルモンの役割:代謝の亢進

甲状腺ホルモンの効果・役割は

 

 

 

 一言でいうと

 

 

代謝の亢進

 

です

 

 

 

つまり、

  • 汗をかきやすく心臓の鼓動も早くなる
  • エネルギー消費が大きくなり
  • 血糖値を上昇させようとする

 

軽く運動したような状態に近いです

 

 

 

 

 

 

 

甲状腺のフィードバック機構

ホルモンで重要なのはフィードバック機構です

 

つまりは、

出過ぎた時に抑える(ネガティブフィードバック)

 

足りない時に出す(ポジティブフィードバック)

 

その仕組みのことですね

 

 

甲状腺ホルモンは

視床下部:甲状腺ホルモン刺激ホルモン放出ホルモン

下垂体前葉:甲状腺ホルモン刺激ホルモン(TSH)

甲状腺:T3(トリヨードサイロニン),T4(サイロキシン)

 

 

 

このような3段階構造です

T3 , T4が出すぎている場合

 

 

上の組織に

 

もういらないです

 

という報告をします

 

 

このしくみがネガティブフィードバックです

その結果、

 

ネガティブフィードバックによって

 

 

甲状腺刺激ホルモンTSH低下

TSH放出ホルモンも低下します

 

 

 

 

バセドウ病 と 橋本病

甲状腺に関して、最も重要な病気が

バセドウ病=甲状腺機能亢進

橋本病=甲状腺機能低下

 

この2つです

 

日本語名から分かる通り

 

甲状腺の機能が

過剰になるか、低下になるか

そういった病気です

 

 

 

 

これら2つの病気は「自己免疫疾患」と呼ばれます

 

 

自己免疫疾患とは

 

自分の免疫細胞や抗体が、自分の細胞を攻撃してしまうことで起こります

 

自分の細胞や組織に対してできた抗体を自己抗体といいます

 

(詳しくは免疫の基礎医学記事で書く予定です)

 

 

 

 

バセドウ病の原因は抗TSHレセプター抗体

 

甲状腺ホルモンを出すための

 

スイッチを押すのは

 

甲状腺刺激ホルモンTSHです

 (下垂体前葉から分泌)

 

 

TSHが甲状腺の受容体(レセプター)に結合

甲状腺ホルモンを出すスイッチを押すのです

 

   

 

 

ところが

 

 

  

バセドウ病の患者さんでは

 

TSHレセプターに対する抗体(=抗TSHレセプター抗体)が作られ

 

この抗体がTSH受容体のスイッチを

常に押している状態になってしまいます

 

 

結果として

甲状腺はホルモンを出し続けます

 

甲状腺ホルモンが出すぎなので

 

  

ネガティブフィードバックをして

TSHは低下します

 

  

↓甲状腺刺激ホルモンTSHについてはこちらの記事でも解説しています

 

 

 

しかし、

抗体がスイッチを押し続けているので

 

 

甲状腺ホルモンの出すぎが中々治まらないのです

 

 

 

 

甲状腺ホルモンの役割は

代謝の亢進でした

バセドウ病では代謝が常に亢進し

 

  • 動悸、頻脈(疲れやすい)
  • 眼球突出
  • 手指振戦 (手や指先の震え)

 

 

などの主症状が起こります

 

 

疲れている子供のイラスト(男の子)

 

 

 

橋本病は 代謝の低下

橋本病の原因はよくわかっていませんが

自己抗体が自分の甲状腺を攻撃してしまうことによります

橋本病の症状はバセドウ病とは逆で

  • 徐脈
  • 体温低下
  • むくみ

過労のイラスト(女性・スーツ)

など、代謝が悪くなっていることが想像できるでしょう

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甲状腺ホルモン 国試問題つめあわせ

甲状腺機能低下症の所見として正しいのはどれか【PT】

  1. 動悸
  2. 食欲増加
  3. 血中コレステロールの低下
  4. 低体温
  5. 眼球突出

  

 

 

 

 

 

  

 

1,2,5は代謝の亢進

つまり、バセドウ病の症状

だとすぐわかるかと思います

 

3の血中コレステロールの低下

というのは代謝が亢進し

体内のコレステロールも代謝されていると考えるのが妥当です

 

 

ということで甲状腺機能低下症=橋本病の所見は

4の低体温です

 

 

 

 

 

Basedow病(バセドウ病)による甲状腺機能亢進症において低下するのはどれか【MT】

  1. T3
  2. T4
  3. TSH
  4. ALP
  5. サイログロブリン

  

  

 

 

 

 

 

バセドウ病ではT3, T4は増加します

 

そのせいで、ネガティブフィードバックが発動し

 

 

T3, T4の1段階上の

 

TSHの分泌が下がるというわけです

(ただしバセドウの場合、TSHが下がっても、T3,T4が下がるわけではありません

スイッチは自己抗体によって押されたままだからです)

 

 

 

ちなみに5の選択肢、サイログロブリンとは

 

T3やT4を血中で運んでいるタンパク質のことです

 

 

 

 

 

甲状腺機能亢進症の症状はどれか【Ns】

  1. 眉弓部の膨隆
  2. 眼瞼下垂
  3. テタニー
  4. 動 悸
  5. 便 秘

 

 

 

 

 

 

答えは4

 

 

 

甲状腺ホルモンの分泌が亢進した状態の身体所見について正しいのはどれか 【Ns】

  1. 徐 脈
  2. 便 秘
  3. 眼球突出
  4. 皮膚乾燥
  5. 手指振戦

 

 

 

 

 

答えは3,5

 

 

 

甲状腺機能低下症の所見はどれか

  1. 眼瞼浮腫
  2. 眼球突出
  3. 心悸亢進
  4. 発汗過多

 

 

 

 

 

 

浮腫とは”むくみ”のことです

2~4はバセドウ病の症状ですね

 

 

 

 

 

甲状腺ホルモンT3,T4の解説でした

 

ではでは!

 

 

 ↓ホルモンについての基礎的な記事です

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