ビタミンと欠乏症という記事の中で登場したビタミンB12と悪性貧血に関連した問題です
該当記事はこちらです
悪性貧血とビタミンB12
まず、おさらいですが
- 悪性貧血とはビタミンB12の欠乏で起きる貧血である
- ビタミンB12の吸収は胃の内因子が必要である
この2点を必ず押さえましょう!
胃での栄養素の消化・吸収で正しいのはどれか【PT】
- セクレチンは胃液分泌を促進する
- ペプシンは脂質を分解する
- 内因子はビタミンB6の吸収に関与する
- 胃内の停滞時間は糖類より脂肪の方が長い
- 胃液分泌の増加は食物が胃に到達して起こる
この問題は、消化器に関連した問題です
答えは4番になりますが、
誤った選択肢を正しい答えに訂正していきましょう
誤った選択肢にこそ重要な知識が含まれています
- セクレチンは胃液分泌を
促進する抑制する - ペプシンは
脂質を分解する タンパク質 - 内因子はビタミンB
6の吸収に関与する B12 - 胃内の停滞時間は糖類より脂肪の方が長い 正しい
- 胃液分泌の増加は
食物が胃に到達して起こる胃液の分泌は食べ物の匂いや味覚刺激など、最初の段階で増加する
1.セクレチンとは小腸から分泌されるホルモンです
小腸に食べ物がたどり着き、吸収が始まると、
もう胃液で消化をしなくてもいいよ~
というサインを出す、その役割がセクレチンです!
2.ペプシンは胃の消化酵素→酸性で活性化→タンパク質の消化!
3.胃の内因子はビタミンB12の吸収に必要です!(ちなみに吸収そのものは回腸で行われます)
4.胃の食物の停滞時間は、脂肪のほうが長い
おにぎりと天ぷらどちらが胃もたれしますか?

つまりはそういうことですね
脂っこいものは、胃の滞在時間が長い→胃もたれを感じやすくなる
5. 胃液分泌 は3相に分かれています
脳相
→胃相
→腸相
言い換えると
脳相(味覚や嗅覚、視覚の条件反射でも胃液分泌は増加する)
→胃相(実際に食物が胃に入り物理刺激を与え、胃液が出る)
→腸相(食物が十二指腸に到達すると、胃酸は不要なので抑制指令を出す、ここで出るホルモンがセクレチン)
手術後にビタミンB12欠乏症が生じるのはどれか【看護師】
- 胃全摘術
- 脾臓摘出
- 胆嚢摘出術
- 肝臓部分切除術
答えは言わずもがなでしょうか
1の胃の全摘ですね
ビタミンB12の吸収には胃の内因子が必要
胃を全摘すると貧血になってしまう、という意外な病態ですね
ちなみにですが、
ビタミンB12の吸収自体は小腸(回腸)ですので、腸の大部分を摘出した人も、吸収が難しくなり貧血になる可能性はあるのでそこは注意です
ちなみに他の選択肢で重要なポイントは
3.胆嚢の摘出
胆嚢の役割は、胆汁を溜めること
胆汁を作っているのは肝臓です
そのため、胆嚢をとっても、分泌自体には問題ありません
胆汁についてはこちらの記事にも問題があります
4. 肝臓部分切除術
肝臓というのは人間で最も大きな臓器のため
部分切除をしても大きな問題はさほどありません
ビタミンとの関連性としては
肝臓ではビタミンKが作られています
そのため、肝臓の機能が落ちると
ビタミンKが少なくなり、出血傾向になることがあります
この考え方は重要なので覚えておくとよいでしょう。
ではでは今回はこの辺で!
消化器についてはこんな記事も書いています
臨床検査技師国試用の詳しい解説
- 悪性貧血とはビタミンB12の欠乏で起きる貧血である
- ビタミンB12の吸収は胃の内因子が必要である
というように初めに説明しましたが、ビタミンB12の欠乏によって起こる貧血は巨赤芽球性貧血といいます
そして、巨赤芽球性貧血のうち、自己抗体である抗内因子抗体・抗胃壁細胞抗体を原因とするものを悪性貧血という
という細かい定義があるので注意してください
つまり、悪性貧血は自己免疫疾患のくくりに入っています
胃の切除や、単純なビタミンB12不足によるものは悪性貧血ではない巨赤芽球性貧血というように言うのです
また、巨赤芽球性貧血では、末梢血の塗抹標本で好中球の過分葉が見られます
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