臨床検査技師をメインとした国家試験の解説サイト
国試かけこみ寺です!
今回から、臨床化学のデータの読み方と病態についてシリーズ化して記事を書いていきたいと思います!
臨床化学は多くの人が難しいと感じる科目ですが、丸暗記だけで対応することはかなり難しいです
例えばなぜこの病気では高ナトリウムになるのか、高カリウムになるのか、など病気と検査値を結びつける必要があります
検査値と病態の結びつけが臨床化学攻略のカギになりますし
病院実習で、技師さんに聞かれた時にも、対応できる可能性が高まりますよ!
(あくまで、臨床検査技師国試でよく出る部分に対応しています!)
ということで今回は、電解質のNa, K編 いってみたいと思います!
基本事項は↓以下の記事で詳しく解説しています
ナトリウム-Naとカリウム-K
基準範囲 覚えやすいように丸めています、基準値は施設により異なる場合があります
基準範囲が非常に狭いのが電解質の特徴です。
- Na:135~145 mmol/L(=mEq/L)
- K:3.5~4.5 mmol/L(=mEq/L)
Na, Kの基準値は絶対覚えなくてはなりません。細胞外に多いのがNa、細胞外とはつまり血漿(血清)中ということです。幸い、出てくる数字はかぶっているので覚えやすいですね。
パニック値 ※施設により異なる場合があります
- Na:120未満、160以上
- K:2.5未満、6.0以上
チェックポイント ●重要度が高いものにマーカー
ナトリウムとカリウムは互いに濃度バランスを保っています、すなわち基本は
・高Naなら低K、低Naなら高K という関係性にあります(※例外あり)
・NaとKを調節しているのは腎臓です、腎臓の基本的な働きはNa再吸収、K排泄
・高Naかつ高Kになる原因は脱水=水がなくなり煮詰まったような状態
・低Naかつ低Kになる原因は水分過剰=血液に水ばかり増えて薄まる状態
高Na:要因とそのメカニズム
・原発性アルドステロン症ーアルドステロンの過剰によって、Na再吸収促進
・クッシング症候群ーコルチゾール過剰、Na再吸収促進、高血糖もあります
・尿崩症ーバゾプレシン(ADH)低下による水の再吸収抑制→水だけ外に出ていくので体液が濃くなる
・インスリン過剰ー実は腎臓のNa再吸収促進作用があります
低Na:要因とそのメカニズム
・腎不全ーNa再吸収機能の低下→尿中にNaが排泄される
・SIADH(ADH不適合分泌症候群)ーADH過剰により水が再吸収されすぎる→体内の水過剰
・アジソン病ー高Kとセットで以下に解説
高K:要因とそのメカニズム
・腎不全ー低Naと連動して高K
・溶血性疾患ー赤血球内のカリウムが流出
・心筋梗塞・横紋筋融解症ー筋細胞が壊れ、赤血球溶血と同様
・アジソン病ー副腎皮質機能低下=アルドステロン(およびコルチゾール) 低下によるNa低下、連動してK増加
・偽性高K血症ー採血時、採血後の影響(以下の記事で詳しく解説しています)
低K:要因とそのメカニズム
・原発性アルドステロン症、クッシング症候群ーNa増加に連動して、K低下
・利尿薬ー水・Na・Kを共に排泄させる、特にサイアザイド系という薬はNa再吸収を抑制し、Na・K共に排泄を促します。利尿薬の役割は、血圧を低下させることです。
他科目での関連知識
カリウムとナトリウムは特に心臓の電位にとって非常に重要ですね
心電図によく見られる波形としっかり知識を繋げましょう
高K血症の心電図
・高Kでは徐脈となる(心拍数低下)
・6.0を超えてくると、テント状T波の出現
・7.0を超えてくるとQRS延長、P波消失
・9.0以上で心停止、心室細動なども起こり得ます
低K血症の心電図
・U波の出現、ST下降が見られます
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