国試かけこみ寺です!
今回は臨床検査技師・看護師などを目指す方が知るべき
・偽性高カリウム血症
・偽性血小板減少
について、具体的に
どのような場合があるのか
なぜ起こるのかについて
わかりやすく解説したいと思います!
国家試験でも問われる可能性がありますので
しっかり説明できるようにしましょう!
偽性高カリウム血症と高カリウム血症の違い
「偽性」高カリウムと、普通の高カリウム
その違いとは…
偽性高カリウム血症
採血時、もしくは採血後に原因があり、
測定時に高カリウムとなる(体内では普通の状態)ことです
具体的には、採血時の原因として
・駆血帯の締めすぎ
・クレンチング(グー・パーを繰り返す)
・針のゲージが細すぎる
こういったものがあります
(採血時の溶血による、赤血球内カリウムの流出)
保存条件の原因として
・全血の冷蔵保存
が、あります
全血で冷蔵保存した場合に高カリウムになるのは
低温でナトリウム-カリウムチャネルが機能しなくなるためです
(Na-Kポンプ停止による、赤血球内カリウムの流出)
もう一つ、非常に重要な生理的原因として
・血小板増加症
があります
特に、血小板増加症の場合、プレーン管採血
すなわち、抗凝固剤のない血清の場合に高カリウムとなります
これは多量の血小板がある場合に、
血液が固まる際の血小板の破壊が激しくなり
血小板内のカリウムが流出することが原因として挙げられます
これを防ぐには抗凝固剤を用いた採血で、血漿を測定します
真の高カリウム血症
一方で、真の高カリウム血症には
・心筋梗塞、溶血性貧血ー細胞の破壊による
・腎不全ーK排泄低下のため
・アジソン病ー副腎皮質ホルモン(=アルドステロン)分泌低下のため
などがあります(病態的には偽性よりもこちらの方がよっぽど重要です)
※アルドステロンは血圧を上げるホルモンであり、Na再吸収、K排泄を促す
↓アルドステロンの解説記事はこちらです
偽性血小板減少とは
偽性血小板減少も、偽性高カリウムと同様に
測定時に血小板が減少したように測定されることです
臨床的に重要なものとして
・EDTA依存性偽性血小板減少症
があります、
これはEDTAによって、血小板の凝集が起こってしまい
自動血球計数機に血小板としてカウントされない、というものです
(EDTAによる血小板凝集の原因ははっきりしていませんが、
免疫学的な理由によると言われています)
一方で、真の血小板減少として重要なのは
・特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
・血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
のような病態です(こちらの方が重要度は高い)
ちなみに簡単に病因を説明すると
ITPは血小板に対する自己抗体による、自己免疫性疾患
TTPはVWFの処理に必要な酵素の活性低下によるものです
まとめ
偽性高カリウム血症・偽性血小板減少の
「偽性」とは、採血時や測定時の原因によるものである
偽性高カリウムで臨床的に重要なのは
・全血の冷蔵保存ーNa-Kポンプ停止による
・血小板増加症ー凝固時の血小板崩壊による、血清のみ起こる
がある
偽性血小板減少は、
血小板が凝集することで、大きい細胞とみなされて
自動計数機で測定されないことで起きてしまう現象である
実際に現場で遭遇することも少なくありませんので
ぜひとも覚えておきましょう!
ではでは!
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