【臨床検査技師】アニオンギャップ(AG)国試でこれだけ覚える!【国家試験】

臨床化学

国家試験でよく見かける

アニオンギャップ という言葉

 

酸塩基平衡に関することはなんとなくわかるけれど…

実際のところ、どんな問題でどのように使えばいいのか

 

国試で必要な知識レベルで、わかりやすく解説します!

 

実際の国試過去問で、AGの使い方を実践的にも学べるよう解説していきます!

 

※ 基本事項として、酸塩基平衡の理解がまだイマイチな人は

以下の記事を読むことをおすすめします!

 

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AG:アニオンギャップ とは

マイナスイオンのイラスト

まずは言葉の整理ですが化学の用語で

アニオンは陰イオンカチオンは陽イオンのことです

アニオンギャップ(AG)は
[Na+] -([Cl-]+[HCO3-])
ナトリウムイオンー(塩化物イオン+重炭酸イオン)

で表されます(アニオンとカチオンの差=アニオンギャップ)


この計算式はアニオンギャップの問題を解くのに必須なので覚えたほうがよいです


しかし言ってしまえば、 陽イオンー陰イオンで覚えてしまえばよいのです

(カリウムも陽イオンですが、ナトリウムと比べると微量なため

計算上無視してもほとんど問題ないとされています)

 

 

アニオンギャップの実際の使用方法

アニオンギャップは代謝性アシドーシスの鑑別の手助けとなる指標です


すなわち代謝性アシドーシスの中で、

どんな病気かをある程度鑑別できるという意味です

 

AGの基準値は 12±2 mEq/L です


基本的にAGは

増大 or 変化しない

判別はこれだけです

 

具体的に、

AGが増する代謝性アシドーシスには


・乳酸アシドーシス

・ケトアシドーシス

・腎不全 などがあります

 

そして

AGが変化しない疾患には

・尿細管性アシドーシス

・下痢

これを覚えておくだけでも問題は解きやすくなります

 

今回はなぜAGが増大するのか

AGが変化しないのか、細かい理由については

ここでは解説を省略します

 

国家試験問題自体は、上記のルールを覚えてしまえば

答えに行き着くことが可能です

 

これらを踏まえて、問題を見てみましょう!

 

MT56-AM15:アニオンギャップが増加しないのはどれか


1.乳酸アシドーシス
2.尿毒症性アシドーシス
3.尿細管性アシドーシス
4.糖尿病性ケトアシドーシス
5.アルコール性ケトアシドーシス

先程とりあえず覚えておきましょうといったように
AGが変化しないのは

3.尿細管性アシドーシスです

 

 

MT64-AM14:動脈血ガス分析の所見を示す。考えられる病態はどれか。


pH  7.32
Na+ 142 mEq/L
Cl- 106 mEq/L
HCO3- 24 mEq/L

 1.尿毒症
 2.乳酸アシドーシス
 3.尿細管性アシドーシス
 4.原発性アルドステロン症
 5.糖尿病性ケトアシドーシス

本題はこのような問題ですね。
動脈血pH7.32からアシドーシスであるとわかります

(血液pH基準値:pH7.35~7.45 絶対覚えよう!)


選択肢にあるのはほとんどがアシドーシスです

では、どのアシドーシスなのか?

これをAGで鑑別するわけです

AGは陽イオンー陰イオンでした

これを計算すると
142-(106+24)=12

 
AGの基準値は12です。

つまり、AG変化なし=3.尿細管性アシドーシス

という答えに行き着くことが可能です 

 

MT65-AM14


pH 7.32
Paco2 27 Torr
HCO3- 13 mmol/L
Na+ 138 mmol/L
K+ 4.5 mmol/L
Cl- 102 mmol/Lであった。考えられるのはどれか。

 

1. 心不全
2.間質性肺炎
3.尿細管性アシドーシス
4.原発性アルドステロン症
5.糖尿病性ケトアシドーシス

 
1つずつデータについて見ていきましょう、


pHは7.32 アシドーシスに傾いています


ではAGはどうでしょうか

138-(13+102)=23
(カリウムは無視しても、結果はほぼ変わりません)


AG基準値は12±2

AGは23(Kを考慮しても19となり)増大しています

AG増大疾患は
・乳酸アシドーシス

・ケトアシドーシス

・腎不全 などです

このことから、5.糖尿病性ケトアシドーシスが正解となります

 

ちなみにPaCO2のデータも出ており、基準値35-45Torrを

下回っています

これは代謝によるアシドーシスに対する

呼吸性の代償が起きていると考えられます

(過換気でCO2を吐き出し、体内をアルカリに戻そうとしています)

 

他の選択肢の疾患もみていきましょう


そもそも前提として、こういった問題は、

データだけであまりはっきり言えないことは答えにならない

ということを覚えておくと、曖昧な答えは排除できます

 

1.心不全はエコーや心電図が確実ですが…

もし仮に血液で見るなら

BNP(ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド)などがマーカーとして挙げられます

 

2. 間質性肺炎は肺が固くなる、拘束性疾患です


拘束性肺疾患はアルカローシスに傾くと考えられますが

呼吸器検査の結果がなければ断定はできないでしょう

 

3.尿細管性アシドーシスはAG変化なし、

なので今回のデータでは ✕ です

 

4.原発性アルドステロン症は、アルドステロンが過剰になる病気で

高Na、低Kになると考えられるのでデータと一致しません

 

 

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まとめ

アニオンギャップ(AG)は
[Na+] -([Cl-]+[HCO3-])
ナトリウムイオンー(塩化物イオン+重炭酸イオン)

基準値は12±2 mEq/L

代謝性アシドーシスの原因疾患を見分ける時に使う

AGが増大するのは乳酸アシドーシス・ケトアシドーシス・腎不全

AGが変化しないのは、尿細管性アシドーシス・下痢

・実際の国試問題でアシドーシスのデータが出てきたら、とりあえずAGを計算してみよう!

 

ということで今回の解説は以上になります。

実際の臨床ではAG疾患によってどうなるのか、

原因と理由を結びつける事が重要ですが、

国試レベルで問題を解く分には、このように割り切って

疾患を覚えてしまうことも有用です

 

まずは国試に合格して、臨床的な勉強は現場で頑張っていきましょう!

ではでは!

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