【第69回臨床検査技師国家試験】AM37-44の問題をわかりやすく解説

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国試かけこみ寺です!

令和5年2月15日(水)に実施された

第69回臨床検査技師国家試験問題について

一部の分野をわかりやすく解説しています!

問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています

※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp230524-07.html)で公開している問題を引用しています。

問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。

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MT69-AM 37 塩基性アミノ酸はどれか。2つ選べ。

1. プロリン
2. アルギニン
3. ヒスチジン
4. メチオニン
5. トリプトファン

アミノ酸の分類は覚え得なので、絶対に覚えてしまいましょう!

塩基性アミノ酸のゴロあわせ

火蟻(ヒアリ)

ヒアリのイラスト

ヒ:ヒスチジン

ア:アルギニン

リ:リジン

他のアミノ酸のゴロは以下の記事から要チェックです!!

MT69-AM 38 溶液Aを30倍希釈して吸光度を測定したとき、 0.300であった。この物質の測定波長におけるモル吸光係数を6,000L・mol-1・cm-1とすると、溶液 Aの濃度は何mmol/Lか。ただし、使用した光路長は1.0cm とする。

1. 0.15
2. 1.5
3. 15
4. 150
5. 1,500

吸光度の計算問題です、モル吸光係数光路長というワードが出てきているので

ランベルト・ベールの法則を使います

ランベルトベールの法則

①A=εcl

②A=2-logT

Aは吸光度、ε:モル吸光係数、c:溶液濃度(mol/L)、l:光路長(通常は1.0)

Tは透過率(=透過光/入射光)、logの底は10

今回は①を使って、代入していくと

0.300=6000×c×1

c=0.3/6000

c=0.1/2000

c=1/20000

指数に直すと、c=0.5×10-4

希釈倍率が30倍なので、元の濃度はc=15×10-4

ただし、これはmol/Lであり、問題文はmmol/Lと書いてあるので103をかけると

c=15×10-1

よって、c=1.5で答えは2になります

・cの単位はmol/Lであり、問題文はmmol/Lになっている

という点を見逃さないようにしましょう

MT69-AM 39 MALDI-TOF-MSによる物質測定で正しいのはどれか。

1. 分子量の大きい物質ほど早く飛行する。
2. 飛行速度は物質の電荷の影響を受けない。
3. 測定対象物質は大気圧の空気中を飛行する。
4. イオン化はレーザーのパルス照射により行う。
5. タンデム質量分析装置は2台の質量分析部を並列に接続する。

こちらはMALDI-TOF-MSの知識問題で、知識を整理して覚えるしかないでしょう。

文章を訂正していきます

1.分子量の大きい小さい物質ほど早く飛行する。

2.飛行速度は物質の電荷の影響を受けない。

3.測定対象物質は大気圧の空気中真空中を飛行する。

4.イオン化はレーザーのパルス照射により行う。

5.タンデム質量分析装置は2台の質量分析部を並列直列に接続する。

特に1~4は常識的知識なので暗記しておきましょう

ちなみに、「タンデム」とはもともと直列に2頭を縦列した馬車を指す言葉です

MT69-AM 40 ALP アイソザイムについて誤っているのはどれか。

1. 胎盤型は耐熱性である。
2. 骨型は成人よりも小児で高い。
3. 小腸型は高脂肪食で上昇する。
4. 高分子肝型は閉塞性黄疸で上昇する。
5. 免疫グロブリン結合型は電気泳動で最も陽極側に検出される。

ALPのアイソザイム問題ですが、詳しい知識を要求されています

  1. 正しい。胎盤型は耐熱性があります。妊娠時の体内の高温下で働いていることをイメージするとよいでしょう。
  2. 正しい。骨型は骨の成長期に活性が上がるため、小児で高いという特徴があります。
  3. 正しい。ALPがリン酸モノエステルを分解することを考えると納得できます。エステル結合は脂質に多い結合です。
  4. 正しい。高分子肝型とは、ALP1のことで、代表疾患は閉塞性黄疸です(ただしALP2も上昇します)
  5. 誤り。免疫グロブリン結合型というのはALP6のことで潰瘍性大腸炎などで見られる特殊パターンですが、電気泳動では陰極側に泳動されます。ALPは陽極側から1,2,3,4,5,6の番号が付いています。

ALPについては以下の記事でも詳しく解説しているのでご参照ください!

MT69-AM 41 二重の膜構造を有するのはどれか。 2つ選べ。

1. 核
2. ゴルジ体
3. リソソーム
4. ミトコンドリア
5.ペルオキシソーム

二重の膜構造を持つのは、核とミトコンドリアですね。いずれも内膜と外膜が存在しています。

他に二重膜を持つのは、細胞膜でリン脂質の二重層と呼ばれます

MT69-AM 42 血中 LD/AST比が1のとき、最も考えられるのはどれか。

1. 白血病
2. 急性肝炎
3. 心筋梗塞
4. 多発性筋炎
5. 溶血性貧血

LD/AST比は臨床データを判断する時に用いられやすいですが、通常10:1程度です。

つまり、今回のケースでは比が1になっていますので、ASTの上昇(通常の10倍程度)が見られると考えられます。すなわち肝疾患を想定しますので、答えは2になります。

逆に、LDが増える可能性があるのは、2以外の疾患になります。

LDにはアイソザイムがありますので、各アイソザイムもチェックしておきましょう。

白血病ではLD2,3の上昇、心筋梗塞や溶血性疾患ではLD1,2の大きな上昇が見られます。

なお、ASTも逸脱酵素のため、溶血などでは増加しますが、LDの増加のほうが影響が大きいです。

更に勉強したい方は以下の記事をどうぞ!!

MT69-AM 43 欠乏すると巨赤芽球性貧血を引き起こすのはどれか。2つ選べ。

1. 葉酸
2. ビタミンB6
3. ビタミンB12
4. ビタミンC
5. ビタミンK

ビタミンの欠乏に関する非常にシンプルな問題です。ビタミンの欠乏症は得点源なので覚え得です!

正解は1,3です。

葉酸とビタミンB12は巨赤芽球性貧血です

また、巨赤芽球性貧血のうち、胃の内因子抗体を原因として引き起こされるビタミンB12の欠乏症を悪性貧血といいます

ビタミン欠乏症についてまだ覚えてない人はぜひ以下の記事をお読みください!!

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MT69-AM 44 ビタミンB6 の誘導体を補酵素とするのはどれか。

1. ALP
2. AMY
3. AST
4. LD
5. γ-GT

またまたビタミンに関する知識です

V.B6(=ピリドキサルリン酸)はASTとALTの補酵素です

よって答えは3

このような問題は暗記をするしかないのですが、国試かけこみ寺は臨床化学についての記事はかなり充実させてあるので、頻繁に読む癖をつけてもらえると少しずつ頭に定着していくと思います

ともに頑張りましょう!

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