【第69回臨床検査技師国家試験】AM29-36の問題をわかりやすく解説

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国試かけこみ寺です!

令和5年2月15日(水)に実施された

第69回臨床検査技師国家試験問題について

一部の分野をわかりやすく解説しています!

問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています

※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp230524-07.html)で公開している問題を引用しています。

問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。

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MT69-AM 29 グリコアルブミン 〈GA〉について正しいのはどれか。

1. 鉄欠乏性貧血で高値になる。
2. 基準範囲は6.2%以下である。
3. 約2か月間の血糖値の平均を反映する。
4. バリンに安定的に糖が結合したものである。
5. 透析患者の血糖コントロールの指標に適している。

グリコアルブミンについてのややマニアックな問題。

グリコアルブミンは糖尿病の診断ではなく、治療中の指標などに用いられます。

  1. HbA1cのことを言っています。鉄欠乏では赤血球寿命が延長し、HbA1cは偽高値となります。
  2. HbA1cの糖尿病診断基準は6.5%以上です。グリコアルブミンの基準値は11~15%程度で、HbA1cよりも割合は高いイメージを持っておくとよいでしょう。
  3. これもHbA1cのことを言っています。グリコアルブミンは2,3週間程度の血糖を反映していて、これはアルブミンの半減期20日程度のためです。
  4. 構造の問題で少し難しい知識ですが、これもHbA1cのことです。HbA1cはヘモグロビンのN末端のバリンに糖が非酵素的に結合したものです(アマドリ転位という)
  5. 5が正解です。(理由は覚えなくてもよいですが、透析患者さんでは数ヶ月よりも、数週間での短い変動を見る方がよいためです)

上記を見てみると、誤りの選択肢がHbA1cの特徴であるとわかります。グリコアルブミンは定番で聞かれるものではありませんが、HbA1cの知識をしっかり頭に入れて、選択肢を除外していくと答えにたどり着きやすくなります。

国家試験では、知らないことを聞かれたとしても知っている知識でまず正誤判断をするのが鉄則です

MT69-AM 30 血漿血糖値が高い順に並んでいるのはどれか。

1. 静脈 > 動脈 > 毛細血管
2. 静脈 > 毛細血管 > 動脈
3. 動脈 > 静脈 > 毛細血管
4. 動脈 > 毛細血管 > 静脈
5. 毛細血管 > 静脈 > 動脈

血管の大きな流れは動脈→毛細血管→静脈と流れていきますが、糖は静脈に行くに連れて消費されて減少していきます。

つまり、血糖が高い順だと、4が正解になります。

MT69-AM 31 アポリポ蛋白と主要機能の組合せで誤っているのはどれか。

1. A-I ― LCAT の活性化
2. B-100 ― VLDL の分泌
3. B-48 ―カイロミクロンの分泌
4. C-III ―LPLの活性化
5. E ―LDL 受容体との結合

誤っているのは、4です。

アポリポ蛋白の役割は覚えないとどうしようもないものですので、ポイントを絞って暗記してしまいましょう!

★ アポ蛋白の特徴

  • アポAⅠ:LCAT活性化。HDLに豊富
  • アポAⅡ:LCAT抑制。HDLに豊富
  • アポB48:小腸からの吸収に必要。カイロミクロンがもつ(分泌)
  • アポB100:LDL受容体への結合。LDL, IDL, VLDLがもつ(分泌)
  • アポCⅠ:LCAT活性化。
  • アポCⅡ:LPL活性化。
  • アポCⅢ:LPL抑制。
  • アポE:レムナント受容体&LDL受容体 への結合(リガンド)。

アポCⅠはアポAⅠと共通の役割。アポCⅡとアポCⅢはLPLの活性・抑制という部分が、少し覚えにくいポイントです。アポB48はカイロミクロンに関するものと覚えてしまいましょう。

さらにリポ蛋白の勉強をしたい人は以下の記事を参考にしてください!

MT69-AM 32 Michaelis-Menten の式について正しいのはどれか。 2つ選べ。

ただし、[S]は基質濃度、 Vmax は最大反応速度、Km は Michaelis 定数とする。

1. Km値<< [S] のとき1次反応に近似する。
2.初速度法による [S] 測定は0次反応領域で行う。
3. Km 値が大きいほど酵素と基質の親和性は大きい。
4. Km 値は反応速度が Vmax の1/2を示す [S] である。
5.終点分析法による [S] 測定にはVmax が大きい酵素を使用する。

各選択肢を正しく訂正していきます。

1.Km<< [S] が非常に小さい場合を次反応といいます

2.初速度による [S] 測定は1次反応領域

3.Kmは小さいほど酵素と基質の親和性は大きい。

4.正しい。Kmの定義そのものです。

5.正しい。

ミカエリスメンテン式は理解をすると面白いのですが、国試のことだけを考えると苦手だなぁと感じる人は他の分野を先に勉強をするのもありかと思います。

ミカエリスメンテン式の意義については以下のTwitterの投稿を参考にしていただけると幸いです

MT69-AM 33 血中濃度が低下するとテタニーを生じるのはどれか。

1. Na+
2. Ca2+
3. Cl¯
4. HCO3¯
5. H2PO4

これはテタニーを知っているかの問題です。

テタニーとは低Ca血症によって引き起こされる手足の痺れのことです。よって答えは2になります。

MT69-AM 34 誤っているのはどれか。(糖の知識問題)

1. 妊娠糖尿病ではインスリン抵抗性が低い。
2. HbA1c の生成にはアマドリ転移が関与する。
3. 腎臓の糖排泄閾値は160~180mg/dL である。
4. ムタロターゼはグルコースのα型からβ型への変換を行う。
5.SGLT2〈Sodium-glucose co-transporter 2〉は近位尿細管に存在する。

若干マニアック気味な糖関連の知識問題です。

妊娠糖尿病は、妊娠時に軽い糖尿病(2型)のような症状が起こるもので、インスリン抵抗性は高くなります。(インスリンが効きにくくなり、血糖値が下がりにくくなる)

2-5は正しいです。

2.アマドリ転移はヘモグロビンやアルブミンに糖が非酵素的に結合する反応です

3.糖排泄閾値 というのは、血糖が180mg/dLを越えてくると、腎臓の閾値を越えて尿に糖が漏れてくる、という数値のことです

4.ムタロターゼはαグルコースをβグルコースに変換する酵素ですが、これは糖の測定法であるGOD(グルコースオキシダーゼ)法において、GODが作用するのがβグルコースのみであるため、変換する必要があるからです。

MT69-AM 35 グリセロール骨格構造を含むのはどれか。 2つ選べ。

1. レチノール
2. アラキドン酸
3. トリグリセライド
4. スフィンゴミエリン
5. ホスファチジルエタノールアミン

これも構造の基礎的な問題で覚えていないとどうしようもないものです。

正解は、3,5です。

トリグリセリドはグリセロール+脂肪酸3分子でできています、これは必修知識です。

5.ホスファチジルエタノールアミンは別名レシチンといい、グリセロリン脂質に分類されます。グリセロリン脂質とは、構造中にグリセロールを含むリン脂質で、ホスファチジル○○と名前につきます。(ただし、レシチン表記の方が多いです)

ちなみに、4.スフィンゴミエリンはグリセロールを含まない、スフィンゴリン脂質に分類されます。

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MT69-AM 36 実効線量を表す単位はどれか。

1. Bq
2. C・kg-1
3. eV
4. Gy
5. Sv

放射線は単位の暗記がメインですので、覚えるしかありませんね。

  1. Bq:放射能
  2. C・kg-1:照射線量 (C/kg とも)
  3. eV:放射線のエネルギー
  4. Gy:吸収線量
  5. Sv:線量当量

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