【第69回臨床検査技師国家試験】AM49, 59, 61, 62, 66, 67 の問題をわかりやすく解説

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国試かけこみ寺です!

令和5年2月15日(水)に実施された

第69回臨床検査技師国家試験問題について

一部の分野をわかりやすく解説しています!

問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています

※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp230524-07.html)で公開している問題を引用しています。

問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。

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MT69-AM 49 甲状腺濾胞細胞で産生されるのはどれか。

  1. カルシトニン
  2. パラトルモン
  3. ソマトスタチン
  4. サイログロブリン
  5. 甲状腺刺激ホルモン

病理の問題ですが、臨床化学分野でもチェックしておきたいホルモンの問題です!

まずは選択肢のホルモンを産生する場所を整理していくと

  1. カルシトニンー甲状腺濾胞細胞(=C細胞)
  2. パラトルモンー副甲状腺(上皮小体)
  3. ソマトスタチンー視床下部・胃と十二指腸・膵臓ランゲルハンス島(D細胞=δ細胞)
  4. サイログロブリンー甲状腺濾胞細胞 これが正解
  5. 甲状腺刺激ホルモンー下垂体前葉

甲状腺からはカルシトニンと、サイログロブリン(サイロキシン=T4)が分泌されているのですが

傍濾胞細胞と、ただの濾胞細胞は違う細胞ですのでここは必ず区別できるようにしましょう

ソマトスタチンは分泌場所が複数あるホルモンで、ややマイナー気味ですがチェックしておきたいです

下垂体前葉は非常に多くのホルモンを分泌しています、以下の記事で解説していますので気になる方はぜひ御覧ください!

参考記事:下垂体前葉から分泌されるホルモンはどれか【キーワードは刺激と性と成長】

MT69-AM 59 正しいのはどれか

1.Bリンパ球は胸腺で成熟する。
2.髄外造血は胎生期に認められる。
3.免疫グロブリンは肝臓で合成される。
4.エリスロポエチンは骨髄で産生される。
5.トロンボポエチンは脾臓で産生される。

こちらは血球系の産生などの基礎知識問題です

1.BTリンパ球は胸腺で成熟する。

胸腺で成熟するのがT cellB cellは骨髄で成熟します

2.髄外造血は胎生期に認められる。◯正しい

髄外造血とは肝臓や脾臓など骨髄以外の場所で赤血球が作られることです。特に胎生期は卵黄嚢という組織で造血を行っています。出生後は基本的に髄外造血は行われなくなりますが、骨髄線維症などの疾患では病的な髄外造血が見られます

3.免疫グロブリンは肝臓で合成される。→免疫グロブリン(=抗体)はB細胞が産生します

4.エリスロポエチンは骨髄腎臓で産生される。→エリスロポエチンは造血ホルモンであり、腎臓から分泌されます。腎臓の血流量に応じて、血液が少ないと感じ取ると分泌されるようになります。

5.トロンボポエチンは脾臓肝臓(と腎臓)で産生される。→トロンボポエチンは主に肝臓(と腎臓)で産生される、血小板を増加させるためのホルモン

MT69-61 赤血球沈降速度が遅延するのはどれか。 2つ選べ。

1.関節リウマチ
2. 真性赤血球増加症
3. ネフローゼ症候群
4. 原発性マクログロブリン血症
5. 先天性無フィブリノゲン血症

赤血球沈降速度は増加するものと遅延するものを暗記してしまっても良いのですが、理屈を知っておくとわかりやすいです

まず、赤血球の表面はマイナスに荷電しています

そのため周りにプラス荷電した物が増えると、くっついて重くなり沈降速度が増加します

プラス荷電している主な物質はγグロブリン、フィブリノゲンなどです

すなわち、抗体が増える疾患は沈降速度が増加します

ということで、1.関節リウマチ(自己抗体)や、4.原発性マクログロブリン血症(γグロブリンの異常増加)は沈降速度増加です

次に、マイナス荷電の物が増えると、赤血球のマイナスと弾き合って、沈降速度が遅延します

主なマイナス荷電物質はアルブミンです、赤血球ももちろんマイナスです

そのため2.真性赤血球増加症ではマイナス荷電の赤血球が非常に増えるため、沈降速度が遅延します

3.ネフローゼ症候群は、低アルブミン血症のことです。つまり、アルブミンがなくなると、血中のマイナス荷電物質が少なくなる=赤血球は沈降しやすくなる、ということで沈降速度増加です

5.無フィブリノゲン血症ですが、フィブリノゲンはγグロブリンと同様にプラス荷電なので、プラスの荷電が少なくなる=赤血球が反発しやすくなり沈降速度が遅延します

以上のことから、答えは2.5となります

ちなみに、血中タンパク質の荷電は、電気泳動像をイメージするとよいです

アルブミンは最も陽極側に泳動されるためマイナスの荷電が強いのです

また、γグロブリンは陰極側なので、プラスの荷電が強い

フィブリノゲンはβ-γ分画に泳動されるのでプラス寄りです

ここをリンクさせておくと、応用が効きやすいのでおすすめです!

 

MT69-62 自動血球計数測定値の誤差要因とその影響の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

1. 寒冷凝集素 ― 赤血球数偽低値
2. 巨大血小板 ―血小板数偽高値
3.破砕赤血球 ―血小板数偽低値
4. 有核赤血球 ―白血球数偽低値
5. クリオグロブリン ―白血球数偽高値

まずは自動血球装置がどのような仕組みで血球を判別しているのかを知る必要があります

国試レベルでかなりざっくりいうと、自動装置はひとつの細胞の大きさと内部構造を判別しています

そのため、血小板が凝集してくっついたものは赤血球と誤判定したり、赤血球が凝集してくっついたものは白血球などと誤判定します

この観点で選択肢をみていくと

1. 寒冷凝集素 ― 赤血球数偽低値 

寒冷凝集素は低温で赤血球を凝集してしまいます、そのため、赤血球が本来よりも低値になり得ます。また凝集した赤血球は白血球などに誤判定されます。

2. 巨大血小板 ―血小板数偽

巨大血小板は赤血球や白血球と誤判定されるため、血小板の数としては偽低値になります

3.破砕赤血球 ―血小板数偽

破砕赤血球は壊れた赤血球の破片が血小板と誤判定されます

4. 有核赤血球 ―白血球数偽

有核赤血球は核がある白血球などに誤判定されます

5. クリオグロブリン ―白血球数偽高値 ◯

クリオグロブリンは低温で凝集する免疫グロブリンであり、凝集塊が血球と誤判定されることがあります。ちなみに白血球だけでなく、赤血球や血小板に誤判定される場合もあるようです。

MT69-AM 66 フィブリノゲンについて正しいのはどれか。 2つ選べ。

1 .急性炎症で上昇する。
2. 血中で最も高濃度な蛋白質である。
3.トロンビン時間法により測定される。
4. 3種類のペプチド鎖が3量体になった構造である。
5. プラスミンで分解されるとDダイマーが遊離する。

フィブリノゲンの基礎知識問題です

1 .急性炎症で上昇する。
2. 血中で最も高濃度な蛋白質である。✕→血中に最も多いのはアルブミンです
3.トロンビン時間法により測定される。
4. 3種類のペプチド鎖が3量体になった構造である。✕→フィブリノゲンはAα鎖、Bβ鎖、γ鎖の3種のポリペプチドからなるパーツが重合した2量体です
5. プラスミンで分解されるとDダイマーが遊離する。→プラスミンはフィブリノゲンもフィブリンも分解する酵素ですが、Dダイマーはフィブリンの分解産物です

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MT69-AM 67 正しいのはどれか。

1. ヘムには3価の鉄原子が含まれる。
2. 鉄は血漿中でトランスフェリンに結合している
3. 赤血球における ATP 供給はクエン酸回路による。
4. ヘモグロビンの酸素飽和性はpHが上昇すると減少する。
5. 健常成人のヘモグロビンの約50%をヘモグロビンA2が占める。

こちらも血液の基礎知識問題ですが、まんべんなく知識を網羅する必要がありますね

1. ヘムには32価の鉄原子が含まれる。→ヘムは2価鉄を4分子もっています
2. 鉄は血漿中でトランスフェリンに結合している ◯→トランスフェリンは3価鉄を2分子運搬します
3. 赤血球における ATP 供給はクエン酸回路解糖系による。→赤血球にはミトコンドリアがなく、解糖系に頼っています
4. ヘモグロビンの酸素飽和性はpHが上昇低下すると減少する。→pH低下で酸素飽和度低下と、同じ方向に動くと覚えてしまうとよいでしょう
5. 健常成人のヘモグロビンの約50%をヘモグロビンA2が占める。→HbはA, A2, Fがあり、成人の場合は96~97%以上がAで、A21%程度Fは1%以下です。一方で胎児ではFが8割以上を占めています。

一見難しい選択肢もあるように見えますが、答えは最も簡単な知識である2を選べば正解です

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