医療系国家試験の解説サイト
国試かけこみ寺です!
平成31年2月20日(水)に実施された
第65回臨床検査技師国家試験問題について
一部の分野をわかりやすく解説していきます!
問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています
※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp190415-07.html)で公開している問題を引用しています。
問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。
MT65-PM40 骨形成マーカーはどれか。2つ選べ。
1.オステオカルシン (OC)
2.デオキシピリジノリン(DPD)
3.骨型アルカリホスファターゼ(BAP)
4.I 型コラーゲン架橋 N-テロペプチド(NTX)
5.酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ活性(TRAcP-5b)
骨形成と骨吸収マーカーは近年の出題傾向が高い問題です!
まとめると以下のようになっており、
答えは1と3になります
骨形成マーカー
・骨型アルカリホスファターゼ
・オステオカルシン
・プロコラーゲン・プロペプチド
骨吸収マーカー
・デオキシピリジノリン
・酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ
・コラーゲン・テロペプチド
↓ 以下の記事でわかりやすく解説していますので、ぜひ勉強のお供にご覧ください!
MT65-PM41 バゾプレシンが低下するのはどれか。
1.脱水症
2.肝硬変症
3.腎性尿崩症
4.中枢性尿崩症
5.ADH 不適合分泌症候群 (SIADH)
バゾプレシンは抗利尿ホルモン(ADH, AVP)ともいい、下垂体後葉から分泌されます。役割は尿を出にくくする。すなわち、水の再吸収を促進して、尿量を減らすことです
これを踏まえて各選択肢を見ていきます
1.脱水症
脱水ではこれ以上水を外には出せないので
バゾプレシンの働きによって水の再吸収を高めると考えられます
2.肝硬変症
肝硬変では門脈圧亢進などにより、腹水が溜まります
お腹に水が溜まるため、腎血流量は低下し、
脱水と勘違いして、バゾプレシンが分泌されてしまう
という機序になっています
(そして余計、体内の水が過剰になるのが肝硬変の病態です)
3.腎性尿崩症
腎性尿崩症はバゾプレシン分泌は正常であるが、腎臓に働かなくなる
という状態です、バゾプレシンの分泌自体は正常です
4.中枢性尿崩症
中枢性尿崩症は、中枢、すなわち、
下垂体のバゾプレシン分泌の欠乏が原因です
このことから、バゾプレシンの低下となるので、答えは4です
5.ADH 不適合分泌症候群 (SIADH)
SIADHはADH(バゾプレシン)が不適合に分泌される病気、
=ADHが必要ないのに分泌されてしまう
=ADH(バゾプレシン)が過剰になる病気 といえます
↓ 以下の記事でも詳しく解説していますので、勉強のお供にどうぞ!
MT65-PM42 低栄養状態で高値を示すのはどれか。
1.レプチン
2.アルブミン
3.成長ホルモン
4.コリンエステラーゼ
5.遊離トリヨードサイロニン(FT3)
この問題のような質問の仕方は、国家試験に特徴的です
例えば
・糖尿病で低下する(普通は血糖などは高くなるのに、低下するもの→1,5-AG)
・食後に低下する(普通は血糖などは高くなる、低下するもの→遊離脂肪酸)
こういった問題もそうですね
このように国家試験では、例外的なものを問われる事が多いわけです
(もちろん、定番、定石通りの問題もあります)
さて、今回は、低栄養で高値(普通は低下するものが多い)です
低栄養状態では肝臓の合成能低下によって
2と4のアルブミン・コリンエステラーゼが低下します(低栄養を反映)
1.レプチンは飽食シグナルの伝達ホルモン
つまり、食べ過ぎを抑えるホルモンです
このことから低栄養では出す必要がありません
3.成長ホルモン
成長ホルモンは低栄養時に増加します
これは低栄養を補おうとポジティブフィードバックがかかるためです
よって答えは3になりますね
5.トリヨードサイロニン(T3)は、甲状腺ホルモンです
甲状腺ホルモンの役割は代謝の亢進です
低栄養時に代謝を亢進できないため、T3分泌は低下します
MT65-PM43 糖タンパク質ホルモンはどれか。2つ選べ。
1.サイロキシン
2.成長ホルモン
3.プロラクチン
4.黄体形成ホルモン
5.甲状腺刺激ホルモン
以前にこのような記事を書いています
この記事中では
- アミンは副腎髄質と甲状腺T4,T3
- ステロイドは、 オール・ステロ・ゲン
アミンとステロイドを覚えたら、あとはペプチド!
と書いたのですが、実はペプチドホルモンの中には
糖鎖のついた、糖タンパク質ホルモンもあります
それが以下の4つになります
LH:黄体形成ホルモン
FSH:卵胞刺激ホルモン
hcG:ヒト絨毛性ゴナドトロピン
TSH:甲状腺刺激ホルモン
(妊娠に関わりの深い3つ+甲状腺刺激ホルモン)
問題の答えは4,5になります
基本問題として、アミン・ステロイドを問われることもあるので
ホルモンの分類はざっくりでいいので覚えておきましょう!
MT65-PM44 血漿レニン活性が低値を示すのはどれか。
1.脱 水
2.Addison 病
3.利尿薬服用
4.腎血管性高血圧症
5.原発性アルドステロン症
レニンは血圧上昇に関与するホルモンですが
レニン単体で血圧をあげるわけではありません
レニン→アンジオテンシン→アルドステロン
という3STEPで成り立っています
↓ この仕組について詳しく勉強したい人はこちらから!
レニンが低値になるのはどういう場合か、考えていきましょう!
1.脱 水
脱水状態では血流量が減り、血圧を上げようとするので
レニンは上昇します
2.Addison 病
アジソン病は副腎皮質機能低下症、
副腎皮質ホルモンであるアルドステロンやコルチゾールが低下します
このことから、アルドステロンを増やそうと、上流にあるレニン活性は増加します
3.利尿薬服用
利尿薬にも種類が色々ありますが、尿量を増やすのが目的です
尿量が増え、体内の水分を外に出す方向に働きますので
その分、血圧を上げようとレニン活性が上昇すると考えられます
4.腎血管性高血圧症
腎血管性高血圧症とは
腎動脈などの閉塞によって、腎血流が低下した結果、腎臓が勘違いをして、レニン-アンジオテンシン系を亢進させてしまうことによって起こります
そのため、レニン活性は高値
5.原発性アルドステロン症
その名の通りアルドステロンの過剰症です
アルドステロンが過剰になるため、
これ以上、血圧を上げなくていいよという
ネガティブフィードバックによってレニン活性は低下します
今回はホルモン絡みの非常に重要な問題が多かったと思います
ホルモンは名前と組織・分類・役割についてしっかり整理しておきましょう!
それではまた!
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