医療系国家試験の解説サイト
国試かけこみ寺です!
令和2年2月19日(水)に実施された
臨床検査技師国家試験問題について
一部の分野をわかりやすく解説していきます!
問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています
※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp200414-07.html)で公開している問題を引用しています。
問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。
MT66-PM58 腫瘍と免疫組織化学的マーカーの組合せで正しいのはどれか。
1.肺 癌ー エストロゲン受容体ER
2.乳 癌 ーAFP
3.消化管間質腫瘍 ーc-kit
4.大腸癌 ーPSA
5.B 細胞リンパ腫 ーCEA
いわゆる腫瘍マーカーですね
これは基本的にノートなどにまとめて
覚えていくしかありません!
今回はとりあえず選択肢にあるものを見ていきましょう
(特に出現頻度が高めのものには赤線を引いています)
1.肺 癌 のマーカーは癌の種類にもよりますが
CEA 、CYFRA、Pro-GRPなどがあります
ただし、肺癌マーカーの特異性は低く他の癌でも見られます
エストロゲン受容体(ER)はその名前の通り
乳癌や子宮体癌などに多いです
2.乳 癌
乳がんのマーカーにはCA15-3があります
さらに乳がんで重要な指標はHER2という遺伝子です
全ての乳がんに陽性となるわけではありませんが
ハーセプチンという抗癌剤はHER2を標的としています
AFP(アルファフェトプロテイン)
は肝細胞癌などに見られます
3.消化管間質腫瘍 c-kit
この問題の正解は3.になります
c-kitとは 消化管間質腫瘍(GIST)の診断に用いられます
GISTとは胃や腸(消化管)の壁に発生する腫瘍です
4.大腸癌マーカーはCEAやp53が挙げられますが
これらのマーカーの特異性はそれほど高くありません
PSAは前立腺癌です
出現頻度は高いので覚えましょう
5.B 細胞リンパ腫のマーカーはCD20、CD79aなどがあります
CEAは特異性が低く、先程書いたように
肺癌、大腸癌などで見られます
MT66-PM62 過分葉好中球が認められる欠乏症はどれか。
1.ビタミン B1
2.ビタミン B6
3.ビタミン B12
4.ビタミン C
5.ビタミン K
過分葉とは核がいくつものパーツに別れたように見えることです
(実際の写真は教科書やググって確認してみてください)
このような細胞の核の形成に関わるビタミンは
ビタミンB12や葉酸です
これらのビタミンの役割はDNAの合成です
これによって核の形がおかしくなってしまうのですね
さらにビタミンB12や葉酸の欠乏は悪性貧血を引き起こします
悪性貧血は巨赤芽球性貧血に分類されます
↓詳しくは以下の記事で解説しています
MT66-PM64 血小板顆粒に含まれ、血管の収縮作用をもつのはどれか。
1.セロトニン
2.P-セレクチン
3.フィブリノゲン
4.トロンボスポンジン
5.β-トロンボグロブリン(β-TG)
血小板顆粒に含まれている物質について
まとめていきましょう!
選択肢にあるものは
全て血小板顆粒に含まれる物質です
血小板の顆粒には2種類あります
・濃染顆粒
・α顆粒
この顆粒の中に含まれる物質をまとめていきます
濃染顆粒に含まれる物質とその役割
・セロトニンー血管の平滑筋収縮作用、血小板凝集惹起
・ATP, ADPー血小板凝集の惹起
・Caイオンー凝固因子
α顆粒に含まれる物質とその役割
・フィブリノゲン、第Ⅴ因子ー凝固因子
・β-TG、PF4ー血小板の固有タンパク質
(凝固亢進→血小板の崩壊に伴って見られると考えれば良い)
・VWF(フォンヴィルブランド因子)、P-セレクチン、トロンボスポンジン(TSP)
ー血小板の粘着性糖タンパク質=血小板凝集に必要な因子
・PDGFー血小板由来成長因子
・アルブミンー全身に存在するタンパク質
特に重要なものにはラインを引いていますが、
まずは濃染顆粒に含まれるものを覚えましょう
濃染顆粒に含まれるセロトニンやADPが血小板凝集を惹起します
そしてセロトニンには血管の収縮作用もあるため
問題の答えは1となります
血小板顆粒の問題は出題頻度が高いので覚えるようにしましょう!
↓類似問題です
MT66-PM66 赤血球に出現する封入体はどれか。2つ選べ。
1.中毒性顆粒
2.Döhle 小体
3.Russell 小体
4.好塩基性斑点
5.Schüffner 斑点
血球に特徴的な構造物・封入体について
選択肢にあるものをまとめていきたいと思います!
1.中毒性顆粒
炎症性疾患で、好中球に見られる
2.Döhle 小体(デーレ小体)
好中球に見られる好塩基性斑点
骨髄異形成症候群;MDS などで出現
3.Russell 小体(ラッセル小体)
形質細胞に見られる
多発性骨髄腫などで出現
4.好塩基性斑点
赤血球に見られる青い斑点
鉛中毒などで出現
5.Schüffner 斑点
赤血球に出現し、疾患は三日熱マラリア
出現頻度は高いです、覚えましょう!
今回は血液系メインでした!
読んでいただきありがとうございます!
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