医療系国家試験の解説サイト
国試かけこみ寺です!
令和2年2月23日(日)に実施されたPT国試の
基礎医学系の問題について解説していきます!
問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています
※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp200414-08_09.html)で公開している問題を引用しています。
問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。
PT55-PM93:多発性骨髄腫に特徴的でないのはどれか
1.貧血
2.腎障害
3.易感染性
4.病的骨折
5.低カルシウム血症
まずは多発性骨髄腫(MM:Multiple Myeloma)について
ざっくり、簡単に説明します
異常な形質細胞が、異常な抗体をたくさん作る病気
※形質細胞とは、抗体産生に特化したB細胞の進化系です
↓以下の記事でも解説しています
多発性骨髄腫でもう一つチェックしておきたいのは
骨髄の異常で、骨が溶けることです
これらを踏まえて選択肢を見ていくと
1.貧血→骨髄の異常なので有り得る
2.腎障害→多量の異常抗体が産生されるので有り得る
3.易感染性→異常抗体により、通常の免疫が機能しにくくなる
4.病的骨折→骨が溶けるので起こりやすい
5.低カルシウム血症→骨が溶けるため、高カルシウム血症になる
PT55-PM94:2型糖尿病患者における運動療法の効果で誤っているのはどれか
1.インスリン抵抗性の増大
2.血圧低下
3.血糖コントロールの改善
4.脂質代謝の改善
5.心肺機能の改善
生活習慣病である2型糖尿病は運動療法が必要です
冷静に、運動をすることで改善できそうかどうかを考えていきましょう!
1.インスリン抵抗性の増大
いきなりですが、この1番が誤りです
インスリン抵抗性が増えるということは
インスリンが効きにくくなるといえます
インスリンは血糖値を下げるホルモンですから
運動療法で、インスリンが効きにくくなる
というのは明らかにおかしな話ですよね
2,3,4,5は運動療法で効果が期待できますね
↓糖尿病については以下でも詳しく解説しています
PT55-PM95:骨粗鬆症の原因で誤っているのはどれか
1.安静臥床
2.胃切除後
3.糖尿病
4.ビタミンA欠乏症
5.副甲状腺機能亢進症
1つずつ、理由を解説していきます
1.安静臥床
簡単な言葉でいうと、寝たきりです
運動をしない(できない)ことにより、骨粗鬆症のリスクは高まります
2.胃切除後
胃の切除が起こると、カルシウムの吸収が低下します
そのため骨が脆くなります
3.糖尿病
糖尿病と骨粗鬆症は一見関係がなさそうに見えますが
実は、インスリンが骨形成に関与しています
そのため特に、インスリンが分泌されない1型糖尿病患者さんでは
骨粗鬆症のリスクが高まります
(Glycative Stress Research 2017; 4 (4): 267-274 より引用)
4.ビタミンA欠乏症
骨粗鬆症との関係があまりないのはこれです
ビタミンAの欠乏は夜盲症を引き起こします
↓ビタミンと欠乏症については以下で詳しく解説しています
5.副甲状腺機能亢進症
副甲状腺のホルモンといえば、
パラトルモン(パラソルモン)です
パラトルモンは血中カルシウムを上昇させるホルモン
すなわち、骨吸収(骨を溶かす)が亢進しすぎると
骨がすかすかになって、骨粗鬆症を引き起こします
↓以下でも解説しています
第55回理学療法士国家試験の
基礎医学的な問題の解説は以上になります!
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