もし、理解の足りない分野がある場合
教科書などを読んで1から勉強することは得策ではありません
特に国家試験までの時間がない場合、
単元を1から勉強していては間に合いません
重要なことは、国家試験問題の選択肢から
重要なポイントをつかみとることです
国家試験の過去問を解きながら
わからない部分だけ教科書などで確認していくのが
効率のよい勉強に繋がります
それではやっていきましょう!
エネルギー代謝で誤っているのはどれか
- 筋はブドウ糖が枯渇するとグリコーゲンを消費する
- 糖は肝臓や脂肪組織で脂肪へ変換される
- タンパク質は予備エネルギーとして使われる
- 貯蔵エネルギーの大部分はグリコーゲンである
- グリコーゲンは肝臓と筋に貯蔵される
選択肢ごとにしっかり読み解いていきましょう
1.筋はブドウ糖が枯渇するとグリコーゲンを消費する
正しいです
ブドウ糖(=グルコース)を貯蔵する時の形がグリコーゲンです
そして重要ポイントは
グリコーゲンは肝臓と筋肉に豊富であるということ
筋肉では取り込んだグルコースを使い切った場合
次にグリコーゲンを分解してエネルギーとします
2.糖は肝臓や脂肪組織で脂肪へ変換される
正しい文章です
これはイメージ的にもその通りでしょうか?
甘いものを食べると太る、当たり前のことですね
糖はグリコーゲンとして貯蔵されますが、
グリコーゲンの貯蔵には限界があるため
ある程度を超えると脂肪に変換されるのです
3.タンパク質は予備エネルギーとして使われる
正しい文章
タンパク質というのは身体の材料として非常に重要なものです
筋肉、髪の毛、皮膚、などもほぼタンパク質でできています
しかし、栄養状態が低下してくると分解され予備エネルギーになります
そのため無理な絶食などをすると
筋肉も落ちるし、髪や皮膚もボロボロになってしまいます
4.貯蔵エネルギーの大部分はグリコーゲン脂肪である
この文章は間違いです
この問題は引っ掛けの要素が非常に強いと言えるでしょう
グリコーゲンが貯蔵エネルギーとして
肝臓や筋肉に豊富である、というのは重要事項です
しかしながら、身体の中に貯蔵されているエネルギーというのは
結局のところ大半が脂肪(=脂質)なのです
脂質というのは1gあたりの熱量も糖質より高く
非常にエネルギー効率の良い物質なのです
そのため、身体の中の貯蔵エネルギーの大部分
というと、脂質という答えになります
5.グリコーゲンは肝臓と筋に貯蔵される
これは先程述べた通り、正しいです
グリコーゲンはすぐに分解しやすくて
使いやすいけれど、大量に貯蔵はできない、という感じですね
●この問題のポイント
- グリコーゲンはブドウ糖の貯蔵形態
- グリコーゲンは筋と肝臓に豊富
- グリコーゲンには貯蔵限界がある
- 余った糖は、脂肪に変換される
- 貯蔵エネルギーとしては脂肪が最も多い
- タンパク質は最終手段的な予備エネルギー
エネルギー代謝について誤っているのはどれか。
- アミノ酸はグリコーゲンとして蓄えられる。
- ブドウ糖は解糖によりピルビン酸となる。
- 運動強度が上がると糖質の利用が高まる。
- 食物から吸収されたブドウ糖の一部は、肝細胞中にグリコーゲンとして蓄えられる。
- 高エネルギー化合物はアデノシン三リン酸(ATP)とクレアチンリン酸である。
1.アミノ酸グルコースはグリコーゲンとして蓄えられる。
いきなりですが、1番が誤っています
アミノ酸が繋がってタンパク質ができています
グリコーゲンに直接変換されるのは、グルコース=ブドウ糖です
2.ブドウ糖は解糖によりピルビン酸となる。
正しい文章
解糖=解糖系 のことで高校の生物でも習う部分ですね
解糖系は一言でいうと
1分子のブドウ糖を2分子のピルビン酸に分解する
といえます
解糖系の重要ポイントは、酸素を必要としないということです
ピルビン酸までの分解が行われた後、
- 酸素がある場合は、ピルビン酸はクエン酸回路へ
- 酸素がない場合は、ピルビン酸は乳酸に変化します
いわゆる、無酸素運動を繰り返すと乳酸が溜まりやすい
というのはこの点に由来します
3. 運動強度が上がると糖質の利用が高まる。
この文章は正しい
運動強度が上がると、糖質利用が高まる
エネルギーを使うので、当然ですね
糖質をある程度使うと、脂肪の分解も進んできます
4.食物から吸収されたブドウ糖の一部は、肝細胞中にグリコーゲンとして蓄えられる。
正しい文章
1問目を見てもわかるように
グリコーゲンについての知識は大事なんです
5.高エネルギー化合物はアデノシン三リン酸(ATP)とクレアチンリン酸である。
正しい文章
高エネルギー化合物にはいくつかありますが、
その中でも最重要なのはATPとクレアチンリン酸です
ATPは生物の使用するエネルギーそのものといっても過言ではありません
あらゆる生物は食事、栄養からATPというエネルギーを作り出し生きているのです
もう一つの、クレアチンリン酸というのは
筋肉に豊富で、グリコーゲンよりもさらに
即効性の高いエネルギー物質です
ちなみに、クレアチンリン酸は代謝されると
クレアチニンという物質(名前がとても似ている)
となり、尿中に排泄されます
これは腎機能の評価に用いられるのですが
筋肉量に比例するため、男性の方が基準値が高いです
●この問題のポイント
- グリコーゲンはブドウ糖の貯蔵形態
- ブドウ糖は解糖系で代謝され、ピルビン酸となる
- 高エネルギー化合物の代表は、ATPとクレアチンリン酸
- クレアチンリン酸は特に筋肉に豊富
糖質代謝について正しいのはどれか
- ビタミンCが補酵素として関与する
- 酸化的リン酸化によって乳酸を生じる
- 中枢神経は脂肪酸をエネルギー源とする
- 甲状腺ホルモンは糖質代謝には関与しない
- グルカゴンは糖新生系の生合成を促進する
この問題はやや複雑な知識が多いです
全てをしっかり理解しようとすると
覚えることも多く混乱してしまいます
このように情報量の多い問題は
一旦捨て置く、それも重要な選択肢の一つです
その分、専門分野に力を入れたほうが
得点アップにつながるケースも多いです
以下の解説は参考程度に読んでみてください
1.ビタミンCビタミンB1が補酵素として関与する
糖質代謝に重要なのはビタミンB1です
別名をチアミンといいます
ビタミンB1の欠乏症は、脚気とウェルニッケ脳症でしたね
このように知識を関連付けていきましょう
2.酸化的リン酸化によって乳酸を生じる
酸化的リン酸化とは、
電子伝達系でのATP産生を意味します
(詳細の解説はここでは省略します)
この文章を正しく直すのであれば
ピルビン酸が還元されて、乳酸を生じる
となります
3.中枢神経は脂肪酸グルコースをエネルギー源とする
中枢神経とは脳と脊髄です
脳の栄養源はグルコースだけです
勉強中の糖分補給は大事だということですね
4.甲状腺ホルモンは糖質代謝には関与しないする
甲状腺ホルモンは
- T3(トリヨードサイロニン)
- T4(サイロキシン)
ですね、そしてその役割とは
代謝の亢進です
代謝が亢進するということは
糖質代謝を含め、エネルギーの消費が大きくなります
なので思いっきり関与してるというわけですね
5.グルカゴンは糖新生系の生合成を促進する
正しい文章です
まず糖新生を簡単に説明すると
解糖系と逆に、ピルビン酸をグルコースに戻す反応
といえます
これは脂質やタンパク質から、ピルビン酸を経由して
グルコースを作り出せる、ということを意味します
余談ですが、ライオンのような肉食動物は、糖質をほとんど食事から取れませんが
糖新生によって、タンパク質からグルコースを体内で作り出しています
さて、次はグルカゴンについてです
グルカゴンはインスリンの対となるホルモンです
- グルカゴン:血糖値を上げるホルモン
- インスリン:血糖値を下げるホルモン
血糖値を上げる、とはどういうことでしょうか
血糖値とは血中のグルコース濃度です
つまり、グルカゴンは
- グリコーゲンを分解してグルコースが増える
- 糖新生を起こしてグルコースが増える
このような状態にするのがグルカゴンの役割です
逆に、インスリンは血糖値を下げる
- グリコーゲンを生成して、グルコースを減らす
- 糖新生を抑制して、グルコースを増やさない
このような作用があると言えます
●この問題のポイント
- ビタミンB1(=チアミン)は解糖系代謝に必要
- 酸化的リン酸化とは電子伝達系の反応のこと
- 脳のエネルギーはグルコースだけ
- 甲状腺ホルモンは代謝を更新させる(=血糖値を上げる)
- グルカゴンはグリコーゲン分解、インスリンはグリコーゲン合成
- グルカゴンは糖新生促進、インスリンは糖新生抑制
たった3問でしたが、重要なポイントを抜き出していくと
結構な数の知識が入っていることがわかりますね
国試勉強は過去問を解いて
これを繰り返すにつきるのです
解いた問題の数だけ点数の伸び率は上がります!
がんばっていきましょう!!
ではでは!!
コメント