国試で問われる貧血の問題について解説していきます!
大球性貧血、正球性貧血、小球性貧血の意味がよくわからない人におすすめの記事です
貧血の定義・○球性とは
貧血の定義はヘモグロビンの低下
貧血の定義は
ヘモグロビン量(=血色素)の低下した状態
基準値は覚えてしまいましょう!
男性:13 g/dL未満
女性:12 g/dL未満
このように女性の方が低いというのも特徴です
ヘモグロビンが1ケタの場合はかなり貧血が重いと思ってもらえればOK
貧血が起きると
赤血球の形が不揃いになり
大きくなったり、小さくなったり、薄くなったり
といった症状が起きてきます
それぞれ貧血の原因によって
赤血球の形が変わってきます
これが〇〇球性とよばれるもので以下で解説していきます!
大球性はビタミンB12の欠乏!(悪性貧血)
大球性とは大型の赤血球が出現してくる貧血
若い赤血球も巨大なものができてしまうため
巨赤芽球性貧血とも呼ばれます
大球性はビタミンB12や葉酸の欠乏
代表疾患は:悪性貧血です
※悪性貧血の定義は自己抗体である抗内因子抗体、抗壁細胞などの存在です。単純に胃の摘出などで、ビタミンB12が欠乏した場合は、巨赤芽球性貧血といいます
小球性は鉄欠乏!
最も患者数が多く、特に女性に多いのがこれ
鉄欠乏性貧血
まさに鉄の不足からくる貧血で
赤血球が小型になってしまいます
鉄欠乏性貧血に見られる主症状は
- 匙状爪(スプーン爪)
- 動悸・めまい
鉄剤の摂取が主な治療法です
鉄欠乏性貧血とHbA1c
鉄欠乏性貧血では鉄(≒ヘモグロビン)が足りないために赤血球が作りにくくなります
そのため、体内の赤血球を長持ちさせるため、赤血球寿命が延長します
そのため、それだけ赤血球が長く滞在し、糖に触れる時間も長引くため
鉄欠乏性貧血ではHbA1cは偽高値となるのです
ただし、鉄剤投与による治療の回復期では新規の赤血球(糖化していない赤血球)の割合が増えるため、偽低値となります
正球性は溶血と骨髄疾患!
正球性は赤血球の大きさは正常で
貧血が起きるパターン
赤血球が上手く作れない、もしくは壊れるなどして起こる貧血です
赤血球を作る過程には問題がないので、赤血球の大きさは普通です
すなわち
- 溶血性貧血
- 骨髄疾患(再生不良性貧血、白血病)
ということになります
末梢血に大型の赤血球が出現するのはどれか【PT】
- 再生不良性貧血
- 消化管出血
- 鉄欠乏性貧血
- 葉酸欠乏性貧血(悪性貧血)
- 溶血性貧血
- 再生不良性貧血→再生不良、骨髄疾患→正球性
- 消化管出血→下で解説します
- 鉄欠乏性貧血→鉄が足りないのは小球性貧血
- 葉酸欠乏性貧血(悪性貧血)→悪性貧血は巨赤芽球!→大球性
- 溶血性貧血→血が壊れるのは正球性
・消化管出血による貧血
消化管や、月経によって
多くの出血があると
体内の鉄が、外に流れ出てしまうので
鉄欠乏性貧血となります
つまり、小球性貧血ですね
貧血で正しいのはどれか【Ns】
1. 溶血性貧血では直接ビリルビンが増加する。
2. 鉄欠乏性貧血では血清フェリチンが増加する。
3. 悪性貧血では通常赤血球以外の血球系は保たれ
4. 再生不良性貧血では易感染性がみられる。
1. 溶血性貧血では直接間接ビリルビンが増加する。
溶血性貧血で増加するのは間接ビリルビンです!
直接ビリルビンと間接ビリルビンについて
詳しい解説はこちら!
2. 鉄欠乏性貧血では血清フェリチンが増加する。低下
鉄に関する2つの重要なタンパク質を覚えておきましょう
- フェリチン = 貯蔵鉄
- トランスフェリン = 輸送鉄
それぞれ日本語で表すと、その役割は明白です
鉄が欠乏すると、貯蔵鉄であるフェリチンも減少していきます
3. 悪性貧血では通常赤血球以外の血球系は保たれる。
悪性貧血は巨赤芽球性貧血で、ビタミンB12と葉酸の欠乏
一見、赤血球の異常だけに見えますが
ビタミンB12と葉酸は、体中の細胞のDNAの合成に必要なビタミンで
不足すると白血球や血小板など他の血球系にも影響を及ぼします
このように、血球系全体が減少してしまうことを
汎血球減少といいます
4.再生不良性貧血では易感染性がみられる。
再生不良性貧血は、骨髄で細胞がうまく作れなくなる病気です
再生不良性貧血でも汎血球減少が見られます
易感染性とは、感染し易い状態=免疫能の低下 といえます
汎血球減少により免疫系細胞も減少するため
この選択肢は正しいと言えます
最低限覚えよう!貧血のまとめ
- ヘモグロビンの基準値は男13、女12 (g/dL)
大球性貧血
- 大球性は巨赤芽球貧血
- 代表疾患は悪性貧血!→ビタミンB12・葉酸欠乏
小球性貧血
- 小球性は鉄欠乏性貧血!
- 出血で血が失われることでも鉄欠乏になる
- 貯蔵鉄フェリチンも減少
- 爪の形にも影響(匙状爪)
- ヘモグロビンが足りないので心臓に負担=動悸がする
正球性貧血
- ヘモグロビンが足りていても、血球が壊れて貧血になる
- = 溶血性貧血
- 骨髄性疾患で汎血球減少を起こすことにもよる=再生不良性
以上、貧血についてのまとめでした!
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