血液基礎シリーズ
今回は血小板ちゃんです!!
(はたらく細胞でも有名ですね)
英語では Platelet (Plt)
もしくは Thrombocyte トロンボサイト
といいます
血小板関連で覚えるべきこと
基準値と細胞の大きさ
基準値:15万~30万 / μL
大きさ:約2 μm
赤血球の7~8 μm に比べると小さいです
ちなみに白血球(好中球)さんは約10 μm程度で
血小板ちゃんが小さくて可愛いことは明らかですね
血小板の寿命と血小板製剤
血小板の寿命は約8日程度
赤血球の120日と比べても非常に短いです
そのため
輸血に用いる血小板製剤の有効期限は
採血後4日間と非常に短いものとなっています
(ちなみに赤血球製剤は21日です)
さらに、血小板製剤は
- 保存温度20~24℃
- 振盪(しんとう)保存
※振盪保存は製剤が凝固しないように、機械で揺らしながら保存するということです
輸血の知識として看護師さん、臨床検査技師さんは覚えておきましょう!
役割
血小板の役割と言えば血液の凝固です
出血して血が止まるまでには
- 一次止血 – 血小板血栓ができるまで
- 二次止血 – 血小板血栓ができ、血液が凝固し、線溶するまで
の2つの段階があります
※線溶というのはそのまま固まった血栓が
詰まらないように溶かして行く作業のことです
今回はこの二段階の止血について簡単に説明します
一次止血は血小板血栓ができるまで
血管の出血が起こると、そこを防ぐために
血小板が集まってきます
これを一次凝集といいます
一次凝集を起こした血小板は
- α顆粒
- 濃染顆粒
という2つの物質を出します(脱顆粒といいます)
これらの顆粒に含まれる因子が作用して
血小板は完全に血栓を形成し
出血部分を塞ぐのです
これを二次凝集といいます
少し言葉を整理していきましょう
血管から出血する
↓
血小板が集まってくる(一次凝集)
↓
脱顆粒する
↓
顆粒内の因子によって、
血小板が固まって血小板血栓を作る(二次凝集)
↓
一次止血が完了
一次止血までの流れはこんな感じです
フィブリノーゲン→フィブリンができる過程を二次止血という
二次止血は血小板血栓ができたあとのお話で
血小板が直接関わるのは一次止血までです
二次止血とは
凝固カスケードと呼ばれる、
段階的なスイッチが作用し、最終的に
フィブリノーゲンがフィブリンになることです
このフィブリンのおかげで血液は固まるというわけです
このフィブリノーゲンをフィブリンに変えるスイッチとなるのが
トロンビンという凝固因子です
とりあえず今はこれを覚えておきましょう!
二次止血の流れをまとめると
様々な凝固因子にが段階的に作用していく
↓
最終的にはトロンビンが活性化する
↓
フィブリノーゲンがフィブリンに変化
↓
血液が凝固する
それでは実際の国試問題を見ていきましょう!
一時止血の過程で活性化されるのはどれか【DH】
- 血小板
- 好中球
- リンパ球
- マクロファージ
一次止血とは血小板が活性化して、血栓を形成することでしたね!
血液中の血小板について誤っているのはどれか【PT】
- 直径は2~5μmである
- 減少すると出血時間が延長する
- 骨髄系幹細胞から生成される
- 寿命は約120日である
- 20万/mm3 は基準範囲内である
1.直径は2~5μmである
正しい
2.減少すると出血時間が延長する
正しい
3.骨髄系幹細胞から生成される
骨髄系幹細胞とは、
血液系のあらゆる細胞に分化できる万能細胞です
4.寿命は約120日8~10日である
こちらが間違い
120日は赤血球です
5.20万/mm3 は基準範囲内である
基準値:15万~30万 / μL なので正しい
ちなみに 1 μL =1 mm3 (立方ミリメートル)です
血液凝固に関与する因子はどれか【PT】
- プラスミノゲン
- トロンビン
- ヘモグロビン
- エリスロポエチン
- プラスミン
1.プラスミノゲン
2.トロンビン
3.ヘモグロビン
4.エリスロポエチン
5.プラスミン
この中で血液凝固に関わるのは2のトロンビンです
・1と5について
プラスミノーゲン → プラスミン に変化することで
線溶が起こります
(線溶とはフィブリンが血管を詰まらせないように
溶かすための作業です)
・4について
4のエリスロポエチンは非常に重要なホルモンなので覚えておきましょう!
エリスロポエチンは
- 赤血球産生を促進させるホルモンです
- 腎臓から分泌されます
血液系は、はたらく細胞を見るともっと楽しくなりますよ♪
↓赤血球はこちらの記事で解説しています
血液の検査データについて
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