肺は右が3葉、左が2葉になっています
専門用語をざっくり理解する
まずはこの図を見てください
これを肺気量分画といいます
ややこしい言葉がたくさん載っていますが
ざっくりした言葉で解説します
肺気量分画:肺の中の空気の量をグラフにしたもの
- 上向きは息を吸う
- 下向きは息を吐く
ことを表しています
1回換気量:安静時の普通の呼吸による空気量
肺活量:最大まで吸って、最大まで吐いた空気の量
残気量:これ以上吐けないところまで吐いて、肺に残った空気量
※肺の中を空っぽにするのは不可能なので絶対に空気は残る、それが残気量
肺活量+残気量=全肺気量:肺に溜められる最大空気量
※全肺気量は普通の肺活量検査では測定できない
予備吸気量:最大吸気量ー1回換気量
予備呼気量:最大呼気量ー1回換気量
※普通の呼吸から深呼吸をするとして、あとどれだけ余分に吸ったり吐いたりできるのか(=予備)という空気量
機能的残気量:普通に息を吐いたところから、肺に残っている空気量
予備呼気量+残気量=機能的残気量
機能的残気量の詳しい話
機能的残気量というのは
普通に呼吸をして
息を吐いた時に
残った肺の空気量です
普通に呼吸をしてみましょう
次に、普通の呼吸で息を吐いたところから
更に息を吐き出してみましょう
そうすると、苦しくなってきますよね
これは意識的に呼吸筋に力を入れないとできないことです
※これを努力呼気といいます
普段の呼吸というのは、当たり前ですが肺に負担をかけないようにしています
つまり、機能的残気量というのは
普通の呼吸をしてる中で、肺に一番負担がかからない空気量
とも言えるわけです(肺のリラックス状態)
例えば麻酔をかけた時などは機能的残気量は減少します
全身麻酔の時には機械により呼吸をすることになりますが
普段と同じ空気量を想定すると、肺に負担がかかってしまうんです
そのために手術前検査では呼吸器検査を行い
肺活量や機能的残気量を把握し、機械による呼吸量を調節する必要があったりします
※機能的残気量の測定にはヘリウムガスを使います
努力性肺活量・1秒量・1秒率
大きく息を吸って吸って吸って吸って~!!
一気に吐いて~吐いて吐いて吐いて~~!!
呼吸機能検査室で聞こえてくる掛け声です笑
努力性肺活量とはその名の通り、
患者さんの努力によって検査の精度に差が出ます
最大まで吸って、最大まで吐く
これをしなければ正確な値が測定できないのです
この検査で得られるグラフを
フローボリューム曲線といいます
縦軸に空気を吐くスピード(リットル(L) / 秒(sec))
横軸に吐いた空気量をとります
フローボリューム曲線で得られる指標は以下の2点
・努力性肺活量
・ピークフロー
努力性肺活量は、まさに吐いた空気量そのものです
ピークフローは最大呼気量速度とも言います
グラフでいう山の頂点が最も速い呼気、すなわちピークフローとなります
閉塞性肺疾患と拘束性肺疾患の鑑別に重要になるのは1秒率です
最初の1秒でどれだけの空気を吐けるのかが1秒量
1秒量を努力性肺活量で割ったものを1秒率といいます
1秒量は初めに解説したスパイロメトリーで得られた肺気量分画
努力性肺活量は、フローボリューム曲線から得られます
1秒率の基準値:70%
とりあえずはこれを覚えておけばOKです
これらは、閉塞性肺疾患と拘束性肺疾患の鑑別に重要です
閉塞性と拘束性の違い、代表疾患については別の記事で解説を書きたいと思います
今回は呼吸機能検査の基本的な解説記事でした
呼吸器に関して、あまりよくわかっていない人は
こういった基本的な知識を頭に入れたほうがよいと思います
原理や仕組みを知っていれば、暗記しなくても
考えて解ける場面が出てくるからです
暗記で丸覚えするものと
原理と仕組みをしっかり理解するもの
使い分けることが重要です
時間がなかったとしても
しっかり基礎を固める必要がある部分はあるということですね
がんばっていきましょう!ではでは!
呼吸器は酸塩基平衡においても重要です
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