医療系国家試験の解説サイト
国試かけこみ寺です!
平成30年2月21日(水)
に実施された
第64回臨床検査技師国家試験問題について
一部の分野をわかりやすく解説していきます!
問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています
※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp180511-07.html)で公開している問題を引用しています。
問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。
MT64-AM19 フローボリューム曲線から得られる指標はどれか。2つ選べ。
1.1秒率
2.残気量
3.全肺気量
4.努力肺活量
5.ピークフロー
フローボリューム曲線とは以下のようなものを指します
これは縦軸に流速(吐くスピード)
横軸に肺気量(吐いた空気量)を表したものです
フローボリューム曲線で得られる指標は以下の2点
・努力性肺活量
・ピークフロー
努力性肺活量は、まさに吐いた空気量そのものです
ピークフローは最大呼気量速度とも言います
グラフでいう山の頂点が最も速い呼気、すなわちピークフローとなります
最初の1秒でどれだけの空気を吐けるのかが1秒量で
1秒量はスパイロメトリーによって得られます
1秒量を努力性肺活量で割ったものを1秒率といいます
よって、1秒率はフローボリューム曲線だけでは得られません
ちなみに、残気量と全肺気量(肺活量+残気量)は通常の呼吸検査ではわかりません
(機能的残気量・残気量・全肺気量はヘリウムガスを用いる方法などがあります)
MT64-AM20 肺胞気-動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)が増加しない低酸素血症を呈する病態はどれか。2つ選べ。
1.拡散障害
2.シャント
3.肺胞低換気
4.大気圧の低下
5.換気血流不均等分布の増悪
まず、肺胞気-動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)とは
肺胞内の酸素分圧と動脈血中の酸素分圧の差を表します
A-aDO2は通常10mmHg程度であり、肺胞の方が分圧が高いのです
A-aDO2=肺胞酸素分圧ー動脈血酸素分圧ですから
A-aDO2が増加するということは肺胞酸素分圧は変わらず
動脈血の酸素分圧(SpO2)が低下するということです
問題で聞いている、A-aDO2が増加しないというのは
肺胞の酸素分圧が足りなくなって、低酸素状態となる
といえます
このことから、
3. 肺胞低換気
4.大気圧低下
という答えを導くことができます
MT64-AM22 気管支喘息発作時の肺機能検査結果で増加するのはどれか。
1.V25
2.1秒量
3.残気量
4.努力肺活量
5.ピークフロー
※ V25とはフローボリューム曲線で呼出空気量の残り25%時の流速を指します
50%を表すV50もあり、臨床的にはV50/V25の比を用いることが多いです
喘息は閉塞性換気障害ですので
気道の閉塞で、吐き出す力が弱くなりますから
肺に残る空気=残気量が増えます
ということで答えは3になります
そして、ここは試験のテクニックとしてですが
肺機能検査で増加すると聞かれた時に、該当するのは
・残気量
・機能的残気量
・肺コンプライアンス
が定番です
※ 肺コンプライアンスは閉塞性では上昇、拘束性では低下します
そもそも、1秒量、肺活量、流速などは
呼吸に障害があるならば、肺活量や吐き出す量・速さが増加するはずありません
呼吸に障害が起きた時に、増加するのは肺に残る空気量ですよね
このように考えることもできますので、知識を忘れてしまっても冷静に考えることが大事です!
今回はここまでです!
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