MT66-AM89:肝炎ウイルスについて正しいのはどれか。2つ選べ。
1.A 型肝炎ウイルスは DNA ウイルスである。
2.B 型肝炎ウイルスは RNA ウイルスである。
3.C 型肝炎ウイルス抗体は中和抗体である。
4.D 型肝炎ウイルスは B 型肝炎ウイルスと重複感染する。
5.E 型肝炎ウイルスは経口感染が主体である。
肝炎ウイルスについてです
主な肝炎はA, B, Cであり、まずはこの3つの知識をつけるべきでしょう
D, Eについては余裕があれば覚えるという程度で大丈夫です
ところが、この問題の答えを先にいうと4,5なんですね
こうなると、やっぱりDとEの知識も必要じゃないか!
と思いがちですが、国家試験の問題というのは
定番知識を押さえておけば消去法で答えが残る問題も多いのです
今回の問題で言えば、A, B, C型の肝炎という
絶対に覚えるべきメジャーな知識があれば
1,2,3は明らかに間違いであるため、4,5が答えと導き出せるのです
それでは問題の選択肢を見ていきましょう
1.A 型肝炎ウイルスは DNA ウイルスである。✕
2.B 型肝炎ウイルスは RNA ウイルスである。✕
ウイルスは基本的にはRNAウイルスと、DNAウイルスに分けられますが
肝炎ウイルスの中で、DNAウイルスはB型だけです
これは確実に押さえておきましょう
3.C 型肝炎ウイルス抗体は中和抗体である。✕
中和抗体とはウイルスの感染を防ぐことのできる抗体です
すなわち、ワクチン(予防接種)などで予防できるかどうか
をベースに考えればいいんです
C型肝炎は現在ワクチンはありません、
C型肝炎ウイルスの抗体陽性は、
ウイルスに感染中であることを現しているにすぎません
現在ワクチン接種があるのは、A型肝炎と、B型肝炎です
B型肝炎ウイルス抗体には種類(HBs, HBc, HBe)がありますが、
中和抗体として機能するのはHBs抗体です
4.D 型肝炎ウイルスは B 型肝炎ウイルスと重複感染する。○
5.E 型肝炎ウイルスは経口感染が主体である。○
消去法でこの2つが残るため、どちらも正しい文章です。
余裕があれば覚えても良いですが、定番知識とはいえないため
まずは、肝炎ウイルスはA, B, Cについてまとめるのが良いでしょう
↓ウイルス関連で、DNAウイルスについての定番知識の語呂合わせ記事です
MT66-AM92:新生児マス・スクリーニングの対象疾患のうち、タンデムマス法が導入されて追加されたのはどれか。2つ選べ。
1.クレチン症
2.ガラクトース血症
3.プロピオン酸血症
4.ホモシスチン尿症
5.メチルマロン酸血症
新生児マススクリーニングとは、
新生児の微量血液から質量分析器を用いて、
先天性の代謝異常を検出する検査です
タンデムマス法が実施されるようになったのは2012年からで
それまでは以下の6種類が検査されていました
- ガラクトース血症
- フェニルケトン尿症
- メープルシロップ尿症(楓糖尿症)
- ホモシスチン尿症
- 先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)
- 先天性副腎皮質過形成
ゴロ合わせは「ほふく前進ガメ」
ほ:ホモシスチン尿症
ふ:フェニルケトン尿症
く:クレチン症
ぜん:先天性副腎皮質過形成
しん:新生児マススクリーニング
ガ:ガラクトース血症
メ:メープルシロップ尿症
一昔前はマススクリーニング対象疾患は
この6つを覚えるというのが定番でした
2012年からは新しい疾患を見つけることが可能になり
現在は19種類の疾患が対象になっています
しかし、新しい疾患を覚える必要はありません
この問題も結局は、これまで対象だった6種類を覚えていれば
消去法で消すことが可能です
よって答えは3,5になります
国家試験では定番知識を知っていれば
消去法で答えを導き出せる問題もある
ということは覚えておいて良いでしょう
MT66-AM100:分子の大きさを分離分画の原理とするのはどれか。2つ選べ。
1.逆相クロマトグラフィ
2.ゲル濾過クロマトグラフィ
3.アフィニティクロマトグラフィ
4.SDS-ポリアクリルアミド電気泳動
5.セルロース・アセテート膜電気泳動
タンパク質の分離法について
原理を知っているかどうかの問題です
分子の大きさで分離する原理を、分子ふるい効果と呼びます
この問題については原理を覚えるしかありません
各選択肢の分離原理は以下の通りになります
1.逆相クロマトグラフィ
極性(水への溶けやすさ)で分ける
順相:カラムの極性が高い、溶媒の極性が低い
逆相:カラムの極性が低い、溶媒の極性が高い
2.ゲル濾過クロマトグラフィ
分子量で分ける
分子量の大きなものほど先に溶出される
3.アフィニティクロマトグラフィ
アフィニティ=親和性 で分ける
抗体、タンパク質、核酸など目的に合わせて
親和性の高い物質を回収するのに適しています
4.SDS-ポリアクリルアミド電気泳動
分子量で分ける
SDSでタンパク質の立体構造を壊し、さらに
強制的に負に荷電させることで、分子量のみの条件で分離が可能になります
5.セルロース・アセテート膜電気泳動
いわゆるセア膜電気泳動
血清蛋白分画などでは定番です
セア膜電気泳動の原理は荷電(等電点)です
ということで答えは2,4になります。
第66回臨床検査技師国家試験 午前の解説はここまでです!
可能な限り正確な情報をお伝えするため、国家試験の全ての問題ではなく
分野を限定して解説しております
また、しっかり自信をもって解説できる問題は追加していきたいと思います
共に国家試験の勉強を頑張りましょう!
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