【第63回臨床検査技師国家試験】PM35-40の問題をわかりやすく解説

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国試かけこみ寺です!

平成29年2月22日(水)に実施された

臨床検査技師国家試験問題について

一部の分野をわかりやすく解説していきます!

問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています

※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp170425-07.html)で公開している問題を引用しています。

問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。

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MT63-PM35 LDL 受容体のリガンドはどれか。2つ選べ。

1.アポ A1
2.アポ A2
3.アポ B100
4.アポ C2
5.アポ E

リガンドとは受容体(レセプター)に結合する物質のことです

アポ蛋白にはそれぞれ役割がありますが、まとめたものが以下になります

アポ蛋白の特徴

  • アポAⅠ:LCAT活性化。HDLに豊富
  • アポAⅡ:LCAT抑制。HDLに豊富
  • アポB48:小腸からの吸収に必要。カイロミクロンがもつ
  • アポB100:LDL受容体への結合。LDL, IDL, VLDLがもつ
  • アポC-Ⅱ:LPL活性化。LDLだけもたない。
  • アポC-Ⅲ:LPL抑制。LDLだけもたない。
  • アポE:レムナント受容体&LDL受容体 への結合(リガンド)。LDLだけもたない。

※ LCAT;レシチン-コレステロールアシルトランスフェラーゼ:遊離型コレステロールをエステルコレステロールにする酵素

※LPL;リポプロテインリパーゼ:カイロミクロン中の中性脂肪を分解する酵素

上記から、LDL受容体に結合するアポ蛋白は、3.アポB100と 5.アポ E になります

 

リポ蛋白は流れを1から知っておいたほうが覚えやすいです、リポ蛋白をいまいちよくわからないなぁという人は以下の記事を1度読んでおくことをおすすめします!

MT63-PM36 リポ蛋白分析法として用いないのはどれか。

1.沈殿法
2.HPLC 法
3.電気泳動法
4.超遠心分離法
5.ガスクロマトグラフィ

リポ蛋白の分析法を詳しく知らなくても明らかにおかしいものがひとつあります。5.ガスクロマトグラフィです

ガスクロマトグラフィは低分子で揮発性の物質に用います

リポ蛋白質はあくまで蛋白質を含みますから、高分子物質で、揮発性も低いです

脂質の中では、脂肪酸は低分子かつ揮発性があるため、ガスクロ分析が可能です

MT63-PM37 蛋白質の生合成で誤っているのはどれか。

1.転写は核内で行われる。
2.翻訳はリボソームで行われる。
3.プロモーター領域に転写因子が結合する。
4.アミノアシル-tRNA の生合成には ATP が必要である。
5.転写には RNA 依存性 DNA ポリメラーゼが必要である。

なんだか難しい問題のように見えるかもしれませんが、明らかにおかしな間違いを探すことに注力しましょう

1,2は正しいです、超基本知識なのでこれは大丈夫として、3,4,5の選択肢が少し難しそうです

3.プロモーター領域に転写因子が結合する。
4.アミノアシル-tRNA の生合成には ATP が必要である。
5.転写には RNA 依存性 DNA ポリメラーゼが必要である。

まずは、わかる単語から判別するのが基本です

3.プロモーター領域転写因子が結合する。
4.アミノアシル-tRNA の生合成には ATP が必要である。
5.転写には RNA 依存性 DNA ポリメラーゼが必要である。

キーワードを赤字にしてみましたが、この中で一番わかりそうな単語は「転写」ではないでしょうか

転写とは、核のDNAをもとにmRNAを作り出す過程です、となると、RNAを作りたいのに、DNAポリメラーゼはおかしいのではないか?と考えられれば、5が誤りではないか、ということに行き着くことができます。

実際に答えは5で、正しくはDNA依存性RNAポリメラーゼが必要、となります。これは核のDNAに依存してRNAを作り出す酵素、ということで転写の過程を表していますね。

3や4は正しいのですが、国試レベルではやや難の知識です。国家試験ではこのように、やや難の正しい選択肢をあえて入れて、他の明らかな間違いをカモフラージュする、ということが頻繁に発生します。

難しい単語があるからと言って動揺せず、まずはわかる単語を確実に判定していくことが重要です

MT63-PM38 骨格筋のエネルギー源はどれか。

1.グリシン
2.アルギニン
3.クレアチン
4.クレアチニン
5.クレアチンリン酸

選択肢にあるのは全てクレアチン代謝に関連する物質です

クレアチンはグリシン+アルギニンをベースにできるグアジニノ酢酸という物質から作られます

クレアチンは筋肉でリン酸を付加され、高エネルギー化合物であるクレアチンリン酸となります(ATPのエネルギーを一旦クレアチンに保存するイメージ)ということで答えは5になります

クレアチン+ATP ↔ クレアチンリン酸+ADP

※ 上記の反応を行うのがクレアチンキナーゼ(CK)です

クレアチンリン酸は、筋肉でエネルギーが必要な時に分解されて、ATP+クレアチンとなります。その後、クレアチンは不要となりクレアチニンとなって尿中に排泄されます。クレアチニンは基本的に尿中にほぼ排泄されますから、腎機能の指標ともなっています。

以上がざっくりですが、クレアチンからクレアチニンになるまでの代謝です

↓詳しくは下記の記事で更に詳しく解説しています!

MT63-PM39 間接ビリルビンで正しいのはどれか。

1.親水性である。
2.グルクロン酸とエステル結合している。
3.直接ビリルビンと比べて光で分解されにくい。
4.ジアゾ試薬との反応に反応促進剤を必要とする。
5.HPLC 法によって β ビリルビンとして検出される。

間接ビリルビン=非抱合型ビリルビンです

1.親水性である。→水に溶けやすいのは直接ビリルビンです

2.グルクロン酸とエステル結合している。→ グルクロン酸と結合している(=抱合している)のは直接ビリルビンです

3.直接ビリルビンと比べて光で分解されにくい。→ 間接ビリルビンの方が分解されやすいです。グルクロン酸に抱合されていないため、ビリルビンがむき出しなので光の影響を受けやすいのです。

4.ジアゾ試薬との反応に反応促進剤を必要とする。○ これが正解。ジアゾ試薬のみで直接反応するのが直接ビリルビン。ジアゾ試薬+反応促進剤で間接的に反応するのが間接ビリルビンです。

5.HPLC 法によって β ビリルビンとして検出される。→✕ 

HPLC法では溶出が早い方から δ→γ→β→α となり、水に溶けやすいものから溶出されます

δ-ビリルビン:ビリルビンが体内に長期滞留すると、アルブミンと結合します。これがδビリルビンで、通常の測定では直接ビリルビンとして測定されます。

γ・β:γはグルクロン酸が2分子結合、βは1分子結合した、直接ビリルビンです

α:最も溶出が遅いαが間接ビリルビンです

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MT63-PM40 血清 0.2 mL を使用し、10 分間の酵素反応を行ったところ、50 nmol の基質量が変化した。国際単位U/Lとして正しいのはどれか。

1. 5
2. 25
3. 50
4.250
5.500

1U とは 1分間で1μmol の基質を変化させる酵素量です

問題を見てみると、10分間 で 50nmol とあるのでここから直します

1分間で5nmol=5*10-3 μmol となります

この血清が今0.2mLありますから、これを1Lに換算にするには5000(5*103)倍します

以上より、 5*10-3 × 5*103 =25となり

血清1L 中に1分間で25 μmolを変化させる酵素量(=25 U/L)と言えます

答えは2となります

  

類似問題:MT67-PM40 血清 10 μL を使用して 10 分間の酵素反応を行ったところ、10 nmol の基質量が変化した。酵素量U/Lはどれか。

 

計算問題が苦手で、解説を読んでも理解に時間がかかるようであれば、飛ばしてしまってもOKです!その分、他の知識を頭にいれるために時間を使うのがおすすめです。気にせずいきましょう!

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