医療系国家試験の解説サイト
国試かけこみ寺です!
平成29年2月22日(水)に実施された
臨床検査技師国家試験問題について
一部の分野をわかりやすく解説していきます!
問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています
※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp170425-07.html)で公開している問題を引用しています。
問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。
MT63-PM29 ATP 産生に関与しないのはどれか。
1.解糖系
2.β 酸化
3.尿素回路
4.電子伝達系
5.クエン酸回路
ATP産生のメイン経路は、解糖系・クエン酸回路・電子伝達系です
解糖系は糖(グルコース)を材料としますが、脂質を使う場合はβ酸化を行います
ATPの産生に関わらないのは、3.尿素回路です
尿素回路は別名オルニチン回路ともいい、その目的は有害なアンモニアを無毒な尿素に変換することです。アンモニアを無毒化するために、むしろATPを消費します。
↓解糖系やクエン酸回路に登場する物質などは以下の記事で解説しています!
MT63-PM30 アラニンとの等電点の差が最も小さいのはどれか。
1.リジン
2.ロイシン
3.アルギニン
4.グルタミン酸
5.アスパラギン酸
等電点はアミノ酸がイオン化した時に、荷電がゼロになるpHのことです。アミノ酸は等電点より低い溶液中ではプラスに荷電し、等電点より高い溶液中ではマイナスに荷電します。
国試レベルでは、等電点をそれほど正確に覚える必要はありません
重要なのはアミノ酸の分類で、塩基性アミノ酸と酸性アミノ酸を覚えることです
塩基性アミノ酸は等電点が塩基性寄り
酸性アミノ酸は等電点が酸性寄りです、それ以外は基本的に中性寄りと考えてOKです
さて、塩基性アミノ酸の覚え方は火蟻(ヒアリ)
- ヒ:ヒスチジン
- ア:アルギニン
- リ:リジン
酸性アミノ酸は、酸がついているのですぐわかります
- グルタミン酸
- アスパラギン酸
さて、改めて問題を見てみると、
アラニンとの等電点の差が最も小さいのはどれか。
1.リジンー塩基性
2.ロイシン
3.アルギニンー塩基性
4.グルタミン酸ー酸性
5.アスパラギン酸ー酸性
アラニンは中性寄りですから、同じ中性寄りのアミノ酸を探せばよいのです
そして、塩基性と酸性を分類すれば自ずと答えが導き出されるというわけです
↓アミノ酸の分類はこちらの記事でしっかり解説しています!
MT63-PM31 ビタミンとその欠乏症との組合せで正しいのはどれか。
1.ビタミンA ー皮膚炎
2.ビタミンB1 ーペラグラ
3.ビタミンB12 ー夜盲症
4.ビタミンC ー脚気
5.ビタミンD ー骨粗鬆症
ビタミンと欠乏症は定番問題で確実に押さえたいところです
選択肢を正しく直すと、
1.ビタミンA ー夜盲症
2.ビタミンB1 ー脚気・ウェルニッケ脳症
3.ビタミンB12 ー悪性貧血
4.ビタミンC ー壊血病
5.ビタミンD ー骨粗鬆症 ○これが正解
ビタミンに関しては頑張って覚えるしかありません…
↓勉強をしたい方はこちらの記事からどうぞ!
MT63-PM32 脱水時にみられるのはどれか。2つ選べ。
1.血圧上昇
2.尿量減少
3.レニン分泌低下
4.アルドステロン分泌亢進
5.バソプレッシン分泌低下
脱水というのは、当たり前ですが体内の水分量が減少することです
この問題は、血圧、血圧を調整するホルモン、について非常に重要な考え方を学ぶことができます
選択肢を見ていきましょう
1.血圧上昇 ✕→脱水状態というのは水道の水量が減った状態です。つまり水の勢い(血圧)は弱まりますので、水分量の低下は血圧低下です。
2.尿量減少 ○→脱水状態なのに尿が増えると干からびてしまいます。尿の再吸収を促進したり、水を外に出さないようにするホルモンが働きます。
3.レニン分泌低下 ✕→レニンは腎臓で分泌され、最終的にアルドステロンを分泌するためのホルモンで、アルドステロンは血圧を上げるホルモンです。脱水では血圧を上げたいですから、アルドステロンの分泌を上げたい=レニン分泌増加します。
4.アルドステロン分泌亢進 ○→上記で説明しました。アルドステロンはNa再吸収を促進して血圧を上げる方向に働きます。
5.バソプレッシン分泌低下 ✕→バゾプレシンは抗利尿ホルモンともいい、尿量を減らすホルモンです。その仕組は、水の再吸収促進です。よって、脱水状態ではバゾプレシン分泌は増加し、水を外に出さないようにするのです。
MT63-PM33 血清鉄 100 μg/dL、不飽和鉄結合能 150 μg/dL におけるトランスフェリンの飽和度%はどれか。
1.20
2.33
3.40
4.60
5.67
- 血清鉄とは鉄と結合しているトランスフェリン
- 不飽和鉄結合能(UIBC)とは鉄が結合していないトランスフェリン
- トランスフェリンの総量(TIBC)は血清鉄+UIBC
これが大前提です、ここさえ理解していれば後は簡単な計算です
トランスフェリンの総量は100+150
そのうち鉄と結合している血清鉄は100
すなわち、100/250=2/5
%表記に直すと、40%で答えは3です
MT63-PM34 糖尿病型であるかどうかの判定に用いないのはどれか。
1.HbA1c
2.随時血糖値
3.空腹時血糖値
4.グリコアルブミン
5.75 g 経口グルコース負荷試験2時間値
正解から言うと、4.グリコアルブミンです
グリコアルブミンは約2週間前の血糖値を反映する検査項目ですが、糖尿病の診断基準には含まれません。これは糖尿病患者の治療のモニタリングに使われるケースが多いです。
糖尿病の診断に用いられるのは、選択肢にある他の4つで
- 空腹時血糖値 126 mg/dL以上
- 随時血糖値 200 mg/dL以上
- 75 g 経口グルコース負荷試験2時間値 200 mg/dL以上
- HbA1c 6.5%以上
1項目で基準値を越えてしまうと、糖尿病型となります
そして、HbA1cが基準値以上 かつ 3項目のいずれかの血糖値が基準以上
この条件を満たすと、即、糖尿病と診断されるという決まりになっています
↓詳しくは下記の記事で解説しています!
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