【第64回臨床検査技師国家試験】PM30, 31, 32, 33, 34 35の問題をわかりやすく解説

MT国家試験

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国試かけこみ寺です!

平成30年2月21日(水)

に実施された

第64回臨床検査技師国家試験問題について

一部の分野をわかりやすく解説していきます!

問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています

※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp180511-07.html)で公開している問題を引用しています。

問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。

 

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MT64-PM30 酵素法が使用されない検査項目はどれか。

1.総蛋白
2.カルシウム
3.グルコース
4.総ビリルビン
5.HDL-コレステロール

各項目の検査法をどれだけ知っているかという問題です

しかしあくまで必要なのは定番知識ですから、整理していきましょう

 

1.総蛋白 ー酵素法がないためこれが正解

ビウレット法:Cu2+イオンがペプチド結合を認識する、できた錯体を545nmで測定

紫外部吸収:タンパク質の紫外部吸収波長である280nmで測定。波長の吸収は主にトリプトファンとチロシンに由来する。

ちなみに核酸(DNA, RNA)は260nmに吸収波長を持ち、遺伝子抽出後の純度を測るOD比(A260/280)はタンパク質のコンタミの目安である。

 

2.カルシウム

比色法:o-CPC法など。Caとのキレート化合物の吸光度を測定する。

酵素法:アミラーゼやホスホリパーゼDを用いる。これらの酵素は活性にCaイオンが必要である。これを利用して検体中のCaを利用して酵素活性を測ることで、Ca濃度を間接的に計測する。

 

3.グルコース

HK-G6PD法:ヘキソキナーゼ法。詳しい反応は省略。最終的にNADHの増加=340nmを測定

GOD法:グルコースオキシダーゼ法。SMBG(自己血糖)測定器で用いられる。

 

4.総ビリルビン

酵素法:ビリルビンオキシダーゼ法

化学法:バナジン酸酸化法

いずれも、ビリルビンを酸化してビリベルジンに変え、ビリルビンの吸光度450nmの減少を測定する

ちなみにHPLC法とドライケミストリ法ではδビリルビンの測定が可能

δビリルビンは血液中に長期存在する直接ビリルビンがアルブミンと共有結合したものである。HPLC法で初めに溶出される、次がγ,βビリルビン(=直接・抱合)、最後がαビリルビン(=間接・非抱合)

 

5.HDL-コレステロール:酵素法がある(国試的にはややマイナーなので解説省略)

 

 

MT64-PM31 アニオンギャップの計算に用いる陰イオンはどれか。

1.硫 酸
2.重炭酸
3.アルブミン
4.カルボン酸
5.スルホン酸

必要な陰イオンは重炭酸とクロールですね

アニオンは陰イオンカチオンは陽イオンのことです

アニオンギャップ(AG)は
[Na+] -([Cl-]+[HCO3-])
ナトリウムイオンー(塩化物イオン+重炭酸イオン)

で表されます(アニオンとカチオンの差=アニオンギャップ)

↓関連記事はこちらからどうぞ

 

MT64-PM32 血清トランスフェリンについて正しいのはどれか。

1.2価の鉄を含む。
2.総鉄結合能に比例する。
3.1分子は4個の鉄と結合できる。
4.健常者では 2/3 は鉄と結合している。
5.蛋白分画では α2 -グロブリン分画に含まれる

血清蛋白であるトランスフェリンについての問題です

アルブミンを始めとした血清蛋白についてはしっかり知識を整理しておいたほうが良いでしょう

 

1.2価3価の鉄を含む。

トランスフェリンは3価の鉄を2個運ぶことができます

他に、貯蔵鉄であるフェリチンも3価の鉄を含み、数千個もの鉄を貯蔵できます

ヘモグロビンはヘムを4分子=2価鉄を4分子含みます

 

2.総鉄結合能に比例する。○

総鉄結合能(TIBC)=血清鉄+不飽和鉄結合能(UIBC)

で表されます

血清鉄というのは鉄の結合したトランスフェリンです

不飽和鉄結合能は鉄の結合していないトランスフェリンです

このことからも、トランスフェリンが多いほど、TIBCは高くなり、比例関係にあると言えます

  

 

3.1分子は4個2個の鉄と結合できる。

解説は1に書いたとおりです

   

4.健常者では 2/3 1/3は鉄と結合している。

トランスフェリンのうち、鉄と結合しているものが3分の1

鉄と結合していないもの、すなわちUIBCが3分の2です

 

鉄(Fe) 側の視点から見ると、3分の2はヘモグロビンに

3分の1はフェリチンに、血清鉄は鉄の総量からするとほんの僅かです 

 

5.蛋白分画では α2 -グロブリンβ分画に含まれる

β分画でよく出てくるタンパク質は

トランスフェリンとヘモペキシンです

 

α2分画にハプトグロビンやセルロプラスミンがあります

   

MT64-PM33 血糖検査において測定値が高い順に並んでいるのはどれか。

1.動脈血 > 静脈血 > 毛細管血
2.動脈血 > 毛細管血 > 静脈血
3.静脈血 > 動脈血 > 毛細管血
4.静脈血 > 毛細管血 > 動脈血
5.毛細管血 > 動脈血 > 静脈血

酸素や糖は、動脈血に最も多く含まれています

そして、毛細血管で酸素や糖を組織に受け渡し

静脈血は酸素や糖をすでに運び終わったものです

 

このことから答えは、2.動脈血 > 毛細管血 > 静脈血 です

 

MT64-PM34 炭化水素鎖中に2つ以上の二重結合を持つ脂肪酸はどれか。2つ選べ。

1.オレイン酸
2.リノール酸
3.ステアリン酸
4.パルミチン酸
5.α-リノレン酸

この手の脂肪酸の問題は以下の記事にあるゴロで対応可能です!

バスおりれん~あら~

ゴロの音だけでは使えないため

↓ぜひこちらの記事を御覧ください

 

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MT64-PM35 リポ蛋白粒子のコア部分に多く含まれるのはどれか。2つ選べ。

1.リン脂質
2.アポリポ蛋白
3.トリグリセライド
4.遊離型コレステロール
5.エステル型コレステロール

 

リポ蛋白は脂っぽいものを中心に、

水に溶けやすいものを外側にして血液中に存在しています

リポ蛋白のイメージ

つまり、脂っぽい中性脂肪やエステルコレステロールを中心

水に溶けやすいリン脂質やアポ蛋白を外側にして

血液中で脂質を運んでいるということになります

↓リポ蛋白の基礎は以下の記事で解説しています!

 

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