【第63回臨床検査技師国家試験】PM64, 65, 67, 68, 69の問題をわかりやすく解説

MT国家試験

医療系国家試験の解説サイト

国試かけこみ寺です!

平成29年2月22日(水)に実施された

臨床検査技師国家試験問題について

一部の分野をわかりやすく解説していきます!

問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています

※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp170425-07.html)で公開している問題を引用しています。

問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。

スポンサーリンク

MT63-PM64 検査所見と疾患の組合せで正しいのはどれか。

1.好塩基球増加 ー慢性骨髄性白血病
2.好酸球増加 ーCushing 症候群
3.好中球増加 ーウイルス感染症
4.単球増加 ー伝染性単核症
5.リンパ球増加 ー敗血症

慢性骨髄性白血病(CML)

フィラデルフィア染色体 t(9;22):9番と22番染色体の相互転座によって発生する、BCR-ABL遺伝子を特徴とする、国試頻出の絶対に覚えるべき白血病です。

顆粒球が異常に増殖します。特に、普段は数の少ない好酸球や好塩基球が異常に増えることが特徴的です。

上記のことより、正解は1になります。

他の選択肢でも白血球にどのような変化があるか見ていきます

2.Cushing 症候群は副腎皮質ホルモンのコルチゾールが過剰となる病気です。 Cushing 症候群 では一般的に好中球が増えリンパ球・好酸球は低下すると言われています。

3.ウイルス感染症では主にリンパ球が増加します。ウイルスに対しては好中球の貪食作用よりも、T細胞やB細胞などの獲得免疫が働く機会が多いからと考えられます。

4.伝染性単核症はEBウイルスによって発症します。単核とありますが、これはリンパ球のことです。EBVはB細胞に感染し、その後、異型リンパ球(幼若化したリンパ球)が増加します。

5.敗血症は細菌感染なので、主に好中球が増加すると考えられます。

 

MT63-PM65 PML-RARA 融合遺伝子がみられるのはどれか。

1.急性赤白血病
2.急性単球性白血病
3.急性巨核芽球性白血病
4.急性骨髄単球性白血病
5.急性前骨髄球性白血病

PML-RARA は t(15;17) の転座によって発生する遺伝子で、5.急性前骨髄球性白血病で見られるものです。

白血病は暗記をするしかないという側面もあります。、先ほど出てきた

慢性骨髄性:フィラデルフィア染色体 t(9;22):BCR-ABL

今回の急性前骨髄球性:t(15;17) PML-RARAは確実に覚えましょう

MT63-PM67 リンパ球で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.B 細胞は骨髄で産生される。
2.NK 細胞は免疫グロブリンを産生する。
3.成熟 T 細胞はトロンボポエチンを産生する。
4.成熟 B 細胞は細胞表面に補体レセプターを持つ。
5.健常成人の末梢血では T 細胞よりも B 細胞が多い。

血液分野ですが免疫知識も含まれる、血球の基礎的な問題です

しっかり選択肢の間違いを正して、覚えていきましょう

1.B 細胞は骨髄で産生される。→○正しい。赤血球、血小板、好中球などほとんどの血球は骨髄で造血幹細胞より分化しますが、T細胞は胸腺で分化します。

2.NK 細胞は免疫グロブリンを産生する。→✕ 免疫グロブリンの産生はB細胞です。B細胞が抗体産生能に特化したのが形質細胞です。

3.成熟 T 細胞はトロンボポエチンを産生する。→✕ トロンボポエチン(TPO)は血小板の増殖因子で、肝臓で産生されます。肝機能低下で血小板が減少するのはこのためです。

4.成熟 B 細胞は細胞表面に補体レセプターを持つ。→○正しい。B細胞と書いてありますが、白血球系、および赤血球にも補体受容体は存在します。特にB細胞にはCR2という抗体産生を促すための補体レセプターがあります。他の貪食系はCR1という認識でOKです。赤血球はCR1を経由して免疫複合体を脾臓や肝臓で処理することができます。

5.健常成人の末梢血では T 細胞よりも B 細胞が多い。 →末梢血リンパ球の8割方がT細胞です。

 

MT63-PM68 グラム陽性菌とグラム陰性菌に共通する細胞壁の構成成分はどれか。

1.タイコ酸
2.リン脂質
3.リポ多糖体
4.ペプチドグリカン
5.(1→3)-β-D-グルカン

グラム陽性菌と陰性菌に共通しているのは、4.ペプチドグリカン層です

  • ペプチドグリカン層が厚いから濃く染まる→グラム陽性
  • ペプチドグリカン層が薄いから染まらない→グラム陰性

グラム陽性菌の細胞壁は厚いペプチドグリカン+タイコ酸(→あつい太鼓)

グラム陰性菌の細胞壁は薄いペプチドグリカン+リポ多糖(LPS)+リポ蛋白+ポリン蛋白(→薄いリポリン)

こんな感じで頑張って覚えましょう!

ちなみに、真菌の細胞壁は(1→3)-β-D-グルカン+キチン です、覚えておきましょう!

 

スポンサーリンク

MT63-PM69 DNA ウイルスはどれか。

1.風疹ウイルス
2.デングウイルス
3.エボラウイルス
4.A 型肝炎ウイルス
5.B 型肝炎ウイルス

国試レベルで出るDNAウイルスはゴロで覚えましょう!

肝炎の中で、5.B型肝炎だけはDNAウイルスです

 

あのパパ、BB型で単純なサイトウさん

あの:アデノウイルス

パパ:パルボウイルスパピローマウイルス

※パルボはりんご病(伝染性紅斑)、パピローマは子宮頸癌の原因

B:EBウイルス(伝染性単核症=キス病=唾液感染)

B型:B型肝炎ウイルス(HBV)

単純:単純ヘルペスウイルス(いわゆる普通のヘルペス)

サイ:サイトメガロウイルス感染細胞にフクロウの目のような封入体

トウ:水痘・帯状疱疹ウイルス(水痘=みずぼうそう)

参照記事:DNAウイルスのゴロ【臨床検査技師・薬剤師 国試対応】

スポンサーリンク

コメント

タイトルとURLをコピーしました