医療系国家試験の解説サイト
国試かけこみ寺です!
平成29年2月22日(水)に実施された
臨床検査技師国家試験問題について
一部の分野をわかりやすく解説していきます!
問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています
※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp170425-07.html)で公開している問題を引用しています。
問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。
MT63-AM63 溶血性貧血で低下または減少するのはどれか。
1.血清 LD
2.網赤血球数
3.血清ハプトグロビン
4.血清間接ビリルビン
5.尿中ウロビリノゲン
溶血性貧血は体内で赤血球の溶血が起きている状態です、一つずつ選択肢がどうなるか考えていきます
1.血清 LD→LD, AST, CKは赤血球内に豊富な逸脱酵素です。逸脱酵素は溶血すると血中に増加します。
2.網赤血球数→溶血が起きると、赤血球を補充しようとするため、前段階の網赤血球は増加します
3.血清ハプトグロビン→ハプトグロビンは溶血の際にヘモグロビンを運搬し脾臓へ運びます。その際に、ハプトグロビンはヘモグロビンもろとも一緒に破壊されます。つまり、溶血するとハプトグロビンは消費されて減少するのです。よってこれが正解。
4.血清間接ビリルビン→間接ビリルビンは破壊されたヘモグロビンのヘムからできる物質です。そのため溶血が起きると、間接ビリルビンは増加します。
5.尿中ウロビリノゲン→ウロビリノゲンはビリルビンの代謝物のひとつですから、上記でビリルビンが増加しているため、ウロビリノゲンも同様に増加します
この問題は、溶血が起きた際に赤血球内から出てくる逸脱酵素(およびカリウム)の増加、放出されるヘモグロビンの代謝を理解しているか、という問題です。これは暗記ではなく、段階的に、しっかり説明できるレベルまで理解する必要があるでしょう。
MT63-AM66 DIC を合併しやすいのはどれか。
1.肺結核
2.薬剤性肝障害
3.大腿骨頸部骨折
4.急性前骨髄球性白血病
5.自己免疫性溶血性貧血
・DIC(播種性血管内凝固症候群)とは
出血がないのに全身の血管で凝固反応が起きる病気。結果的に、血小板や凝固因子が勝手に消費されて無くなってしまい出血が起こりやすくなる。さらに、凝固反応を終わらせるために、線溶も亢進する
※ただし、敗血症を原因とする場合、線溶系は抑制される(凝固は促進し、線溶が起こらないので非常に危険な状態である)
DICを引き起こしやすい病気は、
- 重症感染症(敗血症など)
- 急性白血病 などがあります
この問題の答えは 4.急性前骨髄球性白血病 になります
DICでは他に、凝固促進・線溶亢進のマーカーが重要になります、以下の記事で解説していますので勉強していきたい方はどうぞ!↓
MT63-AM67 末梢血塗抹標本で好中球の核の過分葉がみられた貧血患者に検査すべき項目はどれか。
1.鉄
2.亜 鉛
3.フェリチン
4.ビタミン B12
5.エリスロポエチン
好中球の過分葉というのが重要キーワードで、貧血の場合、悪性貧血・巨赤芽球性貧血を疑います
巨赤芽球性貧血はビタミンB12の欠乏によって起こります、巨赤芽球性貧血のうち、自己抗体である抗内因子抗体・抗胃壁細胞抗体が原因の場合を悪性貧血と言います
答えは4となります
ちなみに、自己抗体以外を原因とする巨赤芽球性貧血は、胃の全摘、単純なビタミンB12不足などが考えられます
MT63-AM68 ウイルスで正しいのはどれか。
1.核膜がある。
2.単細胞である。
3.有糸分裂する。
4.プラスミドを有する。
5.偏性細胞内寄生体である。
ウイルスについての基本知識です
正解からいうと、 5.偏性細胞内寄生体 です
ウイルスは細胞に寄生しなければ増殖することができません
以下の記事で、ウイルス・細菌・真菌の違いについて解説していますので、もし知識が曖昧であれば読んでみることをおすすめします
MT63-AM69 消毒用エタノールに対して抵抗性を示すのはどれか。2つ選べ。
1.ノロウイルス
2.ロタウイルス
3.C 型肝炎ウイルス
4.ヒト免疫不全ウイルス
5.インフルエンザウイルス
エタノール抵抗性のウイルスといえば、1.ノロウイルスが有名です
エタノールが効きにくいのは、エンベロープをもたないためです
もう一つ、エンベロープを持たないウイルスとして有名なものには、乳幼児下痢症を引き起こす2.ロタウイルスがあります
ノロやロタウイルスに対しては、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が有効です
ちなみにB型肝炎ウイルスはエンベロープをもつウイルスですが、アルコールが効きにくいとされており、同様に次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が有効です
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