【第63回臨床検査技師国家試験】AM46, 59, 60, 61, 62の問題をわかりやすく解説

MT国家試験

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国試かけこみ寺です!

平成29年2月22日(水)に実施された

臨床検査技師国家試験問題について

一部の分野をわかりやすく解説していきます!

問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています

※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp170425-07.html)で公開している問題を引用しています。

問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。

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MT63-AM46 萎縮するのはどれか。

1.授乳期の乳腺
2.高齢者の前立腺
3.思春期以降の胸腺
4.腎摘出後の残存腎
5.スポーツ選手の心臓

病理学的な考え方を問う問題です、しかし実態はその組織の役割を考えると自ずと見えてきます

1.授乳期の乳腺は、当然ながら授乳のため肥大化します

2.高齢者の前立腺は、加齢によって過形成を起こしていきます、前立腺肥大は加齢に伴って増加します

3.思春期以降の胸腺、これが正解です。胸腺の成熟は思春期でピークを迎え、その後は萎縮していきます。

4.腎摘出後の残存腎、片側の腎臓を摘出した場合、もう片方に負担がかかります。その分、残った腎臓は肥大化していきます。

5.スポーツ選手の心臓 は、強靭な心肺機能を持っているなら、一般人よりも肥大化していくと考えることができます。

病理は一定の暗記が必要になりますが、役割を考え、推測することで答えに近づける問題もあるということで解説してみました

MT63-AM59 腎臓で産生されるのはどれか。

1.インターロイキン-3
2.エリスロポエチン
3.顆粒球コロニー刺激因子
4.単球マクロファージコロニー刺激因子
5.トロンボポエチン

それぞれ重要なサイトカインや因子ですので解説していきます

1.インターロイキン-3はT細胞から分泌され、白血球系の造血因子として働きます

2.エリスロポエチンが正解。腎臓から分泌される、造血ホルモンです。腎臓は血流量のセンサーとしての役割があり、血液量の低下を察知すると、造血を促します。エリスロポエチンの不足は、腎性貧血といいます。

3.顆粒球コロニー刺激因子:G-CSF、名前の通り、顆粒球系を活性化します。マクロファージなどから分泌されます。

4.単球マクロファージコロニー刺激因子:M-CSF、これも名前の通り、単球・マクロファージ系への分化を促す因子で、これもマクロファージなどが主に分泌します。

5.トロンボポエチンは血小板の増殖因子です、血小板の親玉にあたる巨核球の成熟促進作用があります。トロンボポエチンは肝臓で産生されます。肝機能低下による血小板減少は、トロンボポエチンの産生減少が原因というわけです。

選択肢はどれも造血に関与する重要な因子でした。

MT63-AM60 活性化プロテイン C が失活させるのはどれか。

1.第Ⅴ因子
2.第Ⅶ因子
3.第Ⅸ因子
4.第Ⅹ因子
5.第Ⅺ因子

プロテインCは、ビタミンK依存性の凝固因子です

活性化することで、第V(5)因子、第Ⅷ(8)因子を阻害し、凝固を阻害します

ちなみにプロテインSというのもあり、こちらもビタミンK依存性の凝固因子で、プロテインCと相乗的に作用すると考えてOKです

 

MT63-AM61 抹消血のフローサイトメトリでリンパ球ゲートを行い、抗 CD19-PE 標識抗体と抗 CD3-FITC 標識抗体で二重染色解析を行った。プロット図別冊No. 13を別に示す。T 細胞が現れる領域はどれか。

1.①
2.②
3.③
4.④
5.①と③

第63回臨床検査技師国家試験 別冊より引用

フローサイトメトリーの基本的な見方から解説すると、この場合、左上に寄っている細胞はCD19を発現している、右下に寄っている細胞はCD3を発現しているということになります

CD19はB細胞のマーカー

CD3はT細胞のマーカーです、さらに、CD4はヘルパーTCD8はキラーTというように分けることもできます

(国試レベルでは上記の4つと、NK細胞のCD56を覚えておきましょう。覚え方は56→殺し屋)

 

つまりこの問題は、各細胞の持っているCDマーカーを知っているか、という問題なのです

T細胞は右下側の④にいる細胞だということがわかります

 

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MT63-AM62 ビタミン K 欠乏症でみられるのはどれか。

1.PT 延長
2.血小板数減少
3.出血時間延長
4.D ダイマー上昇
5.フィブリノゲン低下

ビタミンKは血液凝固因子2,9,7,10(肉、納豆)の産生に必要です

そのため欠乏では、PT(およびAPTT)の延長が起きるので、答えは1となります

ちなみに、新生児のV.K欠乏症は新生児メレナといい、腸管などから出血してしまう病気です。一般的に、V.Kのシロップが提供され予防が行われます。

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