【第63回臨床検査技師国家試験】AM14, 15, 19, 20, 21の問題をわかりやすく解説

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国試かけこみ寺です!

平成29年2月22日(水)に実施された

臨床検査技師国家試験問題について

一部の分野をわかりやすく解説していきます!

問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています

※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp170425-07.html)で公開している問題を引用しています。

問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。

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MT63-AM14 ヘリコバクター・ピロリ感染症の検査の検体として誤っているのはどれか。

1.胃液
2.血清
3.呼気
4.尿
5.便

ピロリ菌は胃癌原因菌ということが明らかになっていて、ピロリの感染を検査し除菌を行うことが有効な対策となっています

■
  • ヘリコバクター・ピロリとは

ヒトのに存在するらせん型グラム陰性微好気性細菌です

本来であれば胃酸で殺菌されるはずですが、ピロリはウレアーゼという酵素をもちます

 

ウレアーゼ尿素を加水分解し、アンモニアと二酸化炭素にする酵素です

※ウレアーゼは血中の尿素窒素 BUN の測定にも用いられます

すなわち、ピロリはアンモニアを発生させ胃酸を中和することで、胃で生息することができるのです

  

さて、問題の正解は1.胃液です。胃液ではピロリの検査はしません。そもそも胃液を取るというのは非常に侵襲性が高く、胃潰瘍の精密検査として検査はありますが、現在ではほとんど行われません。

さて、ピロリ菌を検出できる検査を見ていきますと

2.血清血中抗ピロリ抗体を検出します
3.呼気→尿素呼気試験と言って、ピロリ菌の出すウレアーゼの存在を検出します。尿素を含んだ検査薬を飲み、ウレアーゼが作用すれば呼気にアンモニアが検出されるというわけです。
4.尿→尿中抗ピロリ抗体を検出します
5.便→便に含まれるピロリの抗原を測定します

ピロリ菌検査は今や常識レベルで普及していますから、今後これら検査の違いを問う問題が出る可能性もあります

例えば、ヘリコバクター・ピロリの検査について

  • 抗体を検出するのはどれか?→血中と尿
  • 抗原を検出するのはどれか?→便

などと言った具合ですね

MT63-AM15 尿試験紙法の検査でビタミン C 服用者の検体で偽陰性となるのはどれか。

1.ウロビリノゲン
2.ケトン体
3.蛋 白
4.白血球反応
5.ブドウ糖

ビタミンC=アスコルビン酸で偽陰性、というのは国試で非常によく出るパターンなので必ず覚えましょう!

選択肢の答えは5.ブドウ糖です

ビタミンC(=アスコルビン酸)で偽陰性となる尿試験紙項目

  • 潜血
  • ビリルビン
  • 亜硝酸塩

尿糖と尿潜血の検出原理は、酸化反応です

ビタミンCには抗酸化作用=還元作用がありますから酸化反応で陽性となる→還元されると偽陰性となる、ということになります

(ビリルビン・亜硝酸塩の原理はジアゾ反応ですが、これも酸化によって偽陰性化します)

 

ちなみに、酸化作用のある物質としてよく出てくるのが、

酸化剤である、さらし粉(=カルキ)、次亜塩素酸です

これらは酸化作用があるため、尿糖・尿潜血を偽陽性にします

 

MT63-AM19 血流依存性血管拡張反応(FMD)で血管内皮から放出されるのはどれか。

1.CO
2.CO2
3.N2
4.NO
5.O2

血流依存性血管拡張反応(FMD)とは

血管内皮機能の異常を調べる検査です。すなわち、動脈硬化の進行具合を計る検査とも言えます。上腕動脈を駆血し、開放した時に放出されるNOによる動脈経の拡張を計測します。

NOとは一酸化窒素であり、血管拡張作用があります。

動脈の圧迫によって、血管内皮細胞はNOを放出し、血管を拡張しようとします。動脈硬化が進行していると、NOの放出が悪くなり血管も拡張しにくくなります。すなわちFMDは低下すると言えるのです。

 

MT63-AM20 スパイログラム別冊No. 4を別に示す。A が示すのはどれか。

1.残気量
2.一回換気量
3.最大吸気量
4.予備呼気量
5.機能的残気量

安静吸気ー安静呼気が通常の呼吸量=一回換気量です

第63回臨床検査技師国家試験 別冊より引用

手書きで見づらく恐縮ですが、重要な部分を抜き出した図を見てみると

答えは、4.予備呼気量になります

今回の問題の図では残気量が示されていません、残気量とは最大まで息を吐いても肺の中に残ってしまう空気量のことです

↓残気量・機能的残気量は非常に重要な考え方です。もっと知りたい方はこちらの記事で詳細を解説しています!

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MT63-AM21 フローボリューム曲線別冊No. 5を別に示す。考えられるのはどれか。

1.肺線維症
2.気管支腫瘍
3.気管支喘息
4.慢性閉塞性肺疾患
5.びまん性汎細気管支

第63回臨床検査技師国家試験 別冊より引用

答えから言うと、この問題の答えは1.肺線維症になります

実はこの図、第65回の問題でも出ています

MT65-PM21 フローボリューム曲線(別冊No. 3)を別に示す。
肺線維症はどれか。

第65回臨床検査技師国家試験 別冊より引用

この問題に出てきている、A~Eのフローボリューム曲線は国試で覚えるべき超重要なものです!

  • A:健常者
  • B:気管支喘息など
  • C:肺線維症
  • D:COPD
  • E:上気道狭窄(気管狭窄)

肺線維症は拘束性疾患であり、肺活量の低下する疾患です

(喘息やCOPDは縦軸の1秒率が低下する、閉塞性疾患です)

 

↓他の図について、なぜこのような図になるのか、解釈の仕方を下記の記事で詳しく解説しています。各疾患のフローボリュームパターンをしっかり勉強したい方はこちらへどうぞ!

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