【第68回臨床検査技師国家試験】AM49, 54, 59, 60, 61の問題をわかりやすく解説

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国試かけこみ寺です!

令和4年2月16日(水)に実施された

第68回臨床検査技師国家試験問題について

一部の分野をわかりやすく解説しています!

問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています

※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp220421-07.html)で公開している問題を引用しています。

問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。

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MT68-AM49.後腹膜臓器はどれか。2つ選べ

① 胃
② 肝臓
③ 膵臓
④ 腎臓
⑤ 子宮体部

ゴロ合わせさえ覚えておけば1点が取れるサービス問題です!

©国試かけこみ寺

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MT68-AM54.虚血性心疾患はどれか。2つ選べ。

① 狭心症
② 心筋梗塞
③ 心内膜炎
④ 肥大型心筋症
⑤ 心室中隔欠損症

虚血性心疾患とは、心臓の冠動脈の虚血によって生じる疾患で
具体的には、狭心症心筋梗塞と思ってよいです

3,4,5はいずれも、虚血によって引き起こされる疾患ではありません

③ 心内膜炎ー細菌感染などによるものを感染性心内膜炎といいます

④ 肥大型心筋症ー心室に負荷がかかると引き起こされます

⑤ 心室中隔欠損症ー先天性で起こります

MT68-AM59.末梢血で過分葉核好中球がみられる場合に検査すべき項目はどれか。

① 鉄
② 鉛
③ 葉酸
④ フェリチン
⑤ エリスロポエチン

選択肢を見てみるとこの問題は、貧血に関するものであると推測できます

過分葉核好中球が出現する貧血といえば、巨赤芽球性貧血になります

巨赤芽球性貧血はビタミンB12および葉酸の欠乏ということで、答えは3になります

MT68-AM60.疾患と診断に用いる細胞表面マーカーとの組合せで誤っているのはどれか。

① 多発性骨髄腫 ―― CD38
② 急性骨髄性白血病 ―― CD33
③ 急性リンパ性白血病 ―― CD10
④ 慢性リンパ性白血病 ―― CD3
⑤ 成人T細胞白血病リンパ腫 ―― CD25

この問題はCD分類の前に、選択肢の左にある病気でどんな細胞が増えるのか、を考えるのが重要です

① 多発性骨髄腫は癌化した形質細胞が増える病態です
② 急性骨髄性白血病は幼弱な骨髄球が増える病態です
③急性リンパ性白血病、④慢性リンパ性白血病、リンパ性の白血病は基本的にはB細胞系の増殖が多いです
⑤ 成人T細胞白血病リンパ腫はT細胞が増える病態で、特に制御性T細胞(CD4+,CD25+)の増加が特徴です

これらを踏まえて、各CD抗原を持つ細胞は以下のようになります

  1. CD38-形質細胞
  2. CD33-骨髄球系
  3. CD10-B細胞系
  4. CD3-T細胞
  5. CD25-制御性T細胞(Treg)

選択肢と合わせて考えると、答えは4が誤り、となります

慢性リンパ性白血病(CML)ではB細胞系が異常増加するため、CD3(=T細胞マーカー)は不適となります

CD分類は単純な数字であるため非常に覚えづらいですが、以下に最低限覚えておくべきものを示します

  • CD3:T細胞
  • CD4:ヘルパーT
  • CD8:キラーT
  • CD19,20:B細胞
  • CD56:NK細胞

本当に最低限ですが、今回の問題の場合は

  • 慢性リンパ性白血病(CML)がB細胞が異常増加する病態であること
  • CD3はT細胞マーカーであること

この基礎的な知識があれば、4の答えに行き着くことができました

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MT68-AM61.クロスミキシング試験の結果(別冊No.11)を別に示す。考えられるのはどれか。

① 肝不全
② 後天性血友病A
③ ワルファリン服用
④ von Willbrand病
⑤ 播種性血管内凝固〈DIC〉

第68回臨床検査技師国家試験 別冊より引用

まず、クロスミキシングテストとは

APTT延長の原因

  • 凝固因子の欠損なのか
  • インヒビターなのか

を鑑別するために行うのが目的です(※ループスアンチコアグラントもありますが今回は割愛)

クロスミキシングの方法は、健常者血漿に対して患者血漿を混ぜ合わせAPTTの延長度合いがどうなるかを調べる試験です。詳しくは下記の画像をご覧ください

インヒビターがある場合患者血漿の割合が低くても阻害の影響が大きくなる、というのがポイントです。凝固因子欠損の場合は、患者血漿が増えれば単純に薄まっていくので徐々にAPTTが延長していきます。

これらを踏まえて問題に戻りましょう

問題の図のポイントは「処理後2時間,37℃」というところです。37℃で反応させると混合直後よりも、APTTの延長が大きくなっています。これはつまり、インヒビターが活性化して働いていることを表しています。

もし、凝固因子欠損であれば、37℃で反応させても、APTT延長の増強は見られないはずです。

選択肢の中で、インヒビターが存在すると考えられるのは

① 肝不全
② 後天性血友病A
③ ワルファリン服用
④ von Willbrand病
⑤ 播種性血管内凝固〈DIC〉

2の後天性血友病Aです。血友病Aは第Ⅷ因子が欠損する病気ですが、これは先天性の場合です

後天性血友病は、第Ⅷ因子に対する自己抗体(インヒビター)が後天的に生じてしまう病気です

これを知っているかどうかもこの問題のポイントになります

↓こちらに類似の解説もあるのでご参考ください

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