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国試かけこみ寺です!
今回は臨床検査技師に必要な知識として
栄養評価指標となるタンパク質がありますが
そこからどんどん知識を広げて、応用力をつけていきましょう!という記事になっています
この記事は以下のような人におすすめです
- 知識は暗記しているけれど応用に弱い
- 知識を病態と結びつけるのが難しい
栄養評価の指標となるタンパク質には、長期のものと短期のものがあります
また、長期の栄養指標を静的栄養タンパク
短期の栄養指標を動的栄養タンパク
ともいいます
そして、この長期、短期を決めるのはタンパク質の半減期です
栄養指標となるタンパク質の半減期の覚え方を紹介し
さらに、どんどん知識を広げていけるようわかりやすく解説します!
アルコリン・7トラ・2サイ・0.5日
栄養タンパク質の半減期
アルブミン:20日(≒3週間)
コリンエステラーゼ:10日
トランスフェリン:7日
トランスサイレチン(=プレアルブミン):2日
レチノール結合蛋白:0.5日
この中で静的栄養指標はアルブミンとコリンエステラーゼ
動的栄養指標はトランスフェリン・トランスサイレチン・レチノール結合蛋白となります
覚える時のポイント
- アルブミンの20日は暗記!
- コリンエステラーゼはアルブミンの半分
- トランスフェリンとトランスサイレチンの順番に注意
- レチノールはレーテンゴニチ
補足情報
これらは栄養指標となるタンパク質ですが
各タンパク質には国試でよく出る覚えるべき特徴があります
それも必ず一緒に覚えてしまったほうがよいです
以下に国家試験に重要な各タンパク質の情報をまとめてみましたので、参考にしてみてください!
(既に知ってるよ、という人も復習に使ってみてくださいね)
アルブミン
アルブミンの基本情報
・分子量約 66,000
・血中総蛋白の約半分を占める
・アルブミン濃度が高ければ膠質浸透圧も高くなる
(膠質浸透圧とは血管内に水を保持する力、つまり低アルブミンになると血管外に水が漏れ出し浮腫になる)
・等電点は約4.7(酸性寄り)、セア膜電気泳動では陽極側に泳動
・肝臓のタンパク合成を反映する、肝機能指標でもある
・急性炎症で低下する
運搬や結合に関して
・体内のカルシウムの半分はイオン型、約4割がアルブミンと結合している(タンパク結合型)
→そのため低アルブミン血症ではカルシウムの測定値が低値になる
・血中の甲状腺ホルモンも一部運搬する
・非抱合型(間接)ビリルビンも運搬する
・体内に長期滞留した抱合型(直接)ビリルビンとアルブミンが結合すると、δ-ビリルビンになる
・血中の遊離脂肪酸もアルブミンと結合して運ばれる
測定について
BCG(ブロムクレゾールグリーン)法 630 nmで測定(原理は蛋白誤差法)
※ BCG法は特異性は低い
これを改良したBCP(ブロムクレゾールパープル)改良法というのもある
コリンエステラーゼ
・コリンエステルを加水分解する酵素
・肝臓のタンパク合成を反映する、肝機能低下で低下する
国試チェックポイント
・検査法の詳細は省略するが、340nmの減少を測定
・有機リン中毒(農薬やサリン)で低下する→覚え方:有機リンコリン
・肝臓のコリンエステラーゼを偽性コリンエステラーゼともいう
・真性コリンエステラーゼは、アセチルコリンエステラーゼであり神経系や赤血球に存在
※ アセチルコリンは副交感神経の神経伝達物質、また筋接合部にも存在する。アセチルコリンに対する受容体に対する抗体=抗アセチルコリン受容体抗体は、重症筋無力症の原因である。受容体に結合できないアセチルコリンは真性コリンエステラーゼで分解されてしまう。
トランスフェリン
トランスフェリンの基本情報
・トランスフェリン1分子で、Fe3+を2個 運搬できる
※フェリチンもFe3+を貯蔵。ヘモグロビンはFe2+を4個もつ。
・血中トランスフェリンの1/3が鉄と結合している(これを血清鉄という)
・血中トランスフェリンの2/3は鉄と結合していない(これをUIBC=不飽和鉄結合能という)
・血中に存在する全てのトランスフェリンをTIBC=総鉄結合能という
・上記から、TIBC=血清鉄+UIBC で表すことができる
国試チェックポイント
・セア膜電気泳動ではβ分画に泳動される→他にβ分画にはヘモペキシン、補体C3,C4などがある
・急性炎症で低下する
・トランスフェリンは鉄欠乏性貧血で上昇する=UIBCは上昇 → 体内の鉄が足りないため鉄を集めようとして増える→ただし鉄自体はないのでUIBCが増える、結果TIBCも増える
トランスサイレチン(プレアルブミン)
基本情報・国試チェックポイント
・プレアルブミンの名前の由来は、電気泳動でアルブミンよりも陽極側に出るため
(プレ=前 という意味)
・甲状腺ホルモンT4および、レチノール(=ビタミンA)を運搬する
・急性炎症で低下する
レチノール結合蛋白
名前の通り、レチノール(ビタミンA)との結合に関与
半減期=0.5日 れーてんごにち
まとめ
アルコリン・7トラ・2サイ・0.5日
栄養タンパク質の半減期
アルブミン:20日(≒3週間)
コリンエステラーゼ:10日
トランスフェリン:7日
トランスサイレチン(=プレアルブミン):2日
レチノール結合蛋白:0.5日
この中で静的栄養指標はアルブミンとコリンエステラーゼ
動的栄養指標はトランスフェリン・トランスサイレチン・レチノール結合蛋白
真に重要なのは、各タンパク質について国試に出やすいチェックポイントを繋げていき知識を広げるように覚えることです
例えば、アルブミンという一つのタンパク質について、どれだけ知識を引き出していけるかが国家試験の応用問題へ対応するための鍵になります
今後もこのような形で国試チェックポイントをまとめた記事を発信していきたいと思います!
↓過去の関連問題はこちらです!
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