医療系国家試験の解説サイト
国試かけこみ寺です!
平成31年2月20日(水)に実施された
第65回臨床検査技師国家試験問題について
一部の分野をわかりやすく解説していきます!
問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています
※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp190415-07.html)で公開している問題を引用しています。
問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。
MT65-AM34 中性アミノ酸はどれか。
非常にシンプルな問題です!
1.リジン
2.アルギニン
3.ヒスチジン
4.アスパラギン
5.グルタミン酸
アミノ酸の分類で酸性・中性・塩基性を判断すればよいのですが
国家試験的には、酸性と塩基性以外は、中性と覚えてしまってOKです!
酸性アミノ酸は超簡単!!
グルタミン酸とアスパラギン酸
どちらも酸がついているのですぐにわかりますね
塩基性アミノ酸は
ヒスチジン、アルギニン、リジン
この3つで、頭文字をとって、ヒアリで覚えましょう!
以上のことから正解は、余りの4.アスパラギンになります。
↓以下の記事で、他のアミノ酸の分類について解説しています!
MT65-AM35 ビウレット法について正しいのはどれか。
1.尿蛋白の測定法である。
2.キレート呈色反応である。
3.呈色反応は強酸性下で行う。
4.測定試薬は無色透明である。
5.呈色はグリコシド結合の数に比例する。
検査法については、基本的には覚えるしかありませんので
わからなかったものはノートなどに情報をまとめていくと良いでしょう!
ビウレット法とは
ビウレット法とは総蛋白の検出法で、トリペプチド以上に反応する。アルカリ性下で銅イオンがペプチド結合を認識し、呈色する。
選択肢の修正をしつつ、ビウレット法についてまとめましょう!
1.血清尿蛋白の測定法である。
「蛋白」というワードで引っかかってしまうこともあるので注意しましょう!
尿蛋白と血清蛋白は別物ですね
2.キレート呈色反応である。○
正しいです。キレートとは金属イオンとの結合を意味します!
3.呈色反応はアルカリ強酸性下で行う。
これはアルカリ性が正解です
4.測定試薬は青色無色透明である。
測定試薬は、硫酸銅が入っているため青色に見えます
5.呈色はペプチドグリコシド結合の数に比例する。
ペプチド結合の数が多ければ色は濃くなります
MT65-AM37 血清亜鉛が高値を示すのはどれか。
1.褥 瘡
2.妊 娠
3.低栄養
4.味覚障害
5.溶血性貧血
まずは、体内における亜鉛(Zn2+)の役割についてまとめましょう!
・体内の亜鉛の80%は赤血球中に存在する
・ALP(アルカリホスファターゼ)の活性中心である
(ALPの活性化にはMg2+が必要)
・欠乏症で味覚障害は有名な話
最低限押さえておきたいのはこの3点でしょうか
さて、血清の亜鉛が高値になる場合というのは
サプリなどによる亜鉛の過剰摂取を除けば
赤血球が壊れて、流出したと考えるのが普通です
よってここでは5.溶血性貧血で即答できますね!
亜鉛の増加が問題になるのはそれ
くらいで
あとは欠乏や消費によって起こる、
亜鉛低値の病態のほうが多いことも知っておきましょう
MT65-AM38 HPLC 法による HbA1c 測定値が低下する要因はどれか。
1.尿毒症
2.乳び血症
3.溶血性貧血
4.アスピリンの大量摂取
5.アスコルビン酸の大量摂取
HbA1cについての基本情報はこちら
・グリコヘモグロビン、糖化ヘモグロビンともいう
・1~2ヶ月前の血糖値を反映する(赤血球寿命が120日であることから)
・測定法はHPLCによる陽イオン交換クロマトグラフィ法が主流
・ヘモグロビンβ鎖のN末端バリン残基にグルコースがアマドリ転位してできる
さて、今回の問題ではHbA1cの測定値が低下する場合ですが
HbA1cというのは、全ヘモグロビン中の糖化ヘモグロビンの割合といえます
HbA1c= 糖化ヘモグロビン/全ヘモグロビン
つまり、HbA1cが下がる場合は、
・糖化ヘモグロビンが低下する
・全ヘモグロビンが増加する
の、どちらかといえます。
糖化ヘモグロビンの低下は、赤血球の入れ替わりが激しい場合です
具体的には、新しい赤血球の産生が亢進しているか
赤血球が急激に失われてしまう状態
・大量出血
・鉄剤投与やエリスロポエチンによる造血が盛ん
このような場合が考えられます
全ヘモグロビンが増加する場合は、
溶血によるヘモグロビンの流出が最も考えられます
これらに着目すると
選択肢3.溶血性貧血が答えになるとわかりますね
1、2、4、5の選択肢でなぜ増加するのか?
というのは考え込むと沼にハマってしまうので今回は省略します。
MT65-AM39 血清クレアチニンが上昇するのはどれか。2つ選べ。
1.脱 水
2.妊 娠
3.尿崩症
4.うっ血性心不全
5.筋ジストロフィ
クレアチニンは、骨格筋のクレアチンリン酸が代謝された物質です
クレアチニンは基本的に、腎臓でろ過されて尿中に移行するため
腎機能を反映します(クレアチニンクリアランスなど)
これを踏まえて選択肢を見てみると
1.脱 水 ○
脱水では体内の血液が濃縮されるため(煮詰まるような状態)
基本的に血中の物質の濃度は上昇します
2.妊娠 ✕
妊娠時は排泄が促進され、血中は低下
3.尿崩症 ✕
尿崩症では尿量が増え排泄が促進され、血中は低下
4.うっ血性心不全 ○
うっ血とは血液が滞留する状態です
そのため血中の物質も溜まることになるため上昇する
5.筋ジストロフィ ✕
筋ジストロフィは筋肉量の低下、運動量も低下するため
血中のクレアチニンも低下します
臨床化学の問題は丸暗記ではなく、
体の状態 = 病態 を考えることが非常に重要です
~ということは、体は○○な状態だから、増加 or 低下するはずだ
と考えていくのが基本になります(もちろん例外はあります)
本日ここまでです、読んでくださいありがとうございます!
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