【第65回臨床検査技師国家試験】AM30, 31, 32, 33の問題をわかりやすく解説

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国試かけこみ寺です!

平成31年2月20日(水)に実施された

第65回臨床検査技師国家試験問題について

一部の分野をわかりやすく解説していきます!

問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています

※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp190415-07.html)で公開している問題を引用しています。

問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。

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MT65-AM30 ヘキソキナーゼ・グルコース リン酸脱水素酵素法を用いた血清グルコース測定における反応終結時の試薬対照における吸収スペクトル別冊No. 4を別に示す。主波長 340 nm と副波長 400 nm による二波長法で測定した場合、患者血清のグルコース濃度mg/dLはどれか。


1.120
2.160
3.200
4.240
5.280

二波長法による測定では

主波長の吸光度ー副波長の吸光度

を計算します

図を見てみると

200mg/dL 標準液

主:0.75、副:0.00

吸光度は0.75-0.00=0.75

・患者血清

主:0.85、副:0.25

吸光度は0.85-0.25=0.60

 

このことから標準液から血清のグルコース濃度(x) を比で求めると

200 mg/dL:xmg/dL=0.75:0.60

0.75x=200×0.60

x=120/0.75 =160 mg/dL

答えは4.となります

 

MT65-AM31 イオン選択電極法による測定で、血清 Na 140 mmol/L、血清 Cl 125 mmol/L であった。考えられるのはどれか。

1.嘔 吐
2.尿崩症
3.臭素中毒
4.Addison 病
5.Cushing 症候群

 

イオン選択電極法はひとまず置いておいて

血清 Na 140 mmol/L、血清 Cl 125 mmol/L

この情報だけで選択肢を見ていきましょう

基準値はNa 135-145、Cl 100程度 です

高クロール血症であると言えます

 

1.嘔 吐

嘔吐では胃酸(HCl) が外に出ていきますから

クロールは低下のはずです


2.尿崩症

尿崩症は水分ばかりが外に出てしまい

血液が濃縮され高Na血症になるはずです


3.臭素中毒

これは現状よくわからないので置いておきましょう


4.Addison 病

別名:副腎皮質機能低下症です

低アルドステロンにより、低Na、高Kとなります


5.Cushing 症候群

クッシング症候群では高血圧を呈し、高Naとなります

 

以上を見てみると、1,2,4,5はいずれもNaに変化がある病態です

しかし、問題ではNa正常値なんですね

このことからも消去法で3が答えと導き出すことができます

 

では3はどういう状態なのかというと

臭素(Br)中毒は体内にBr- が増えるわけですが

クロールのイオン選択電極法では

同じハロゲン元素の、Br(臭素)や I(ヨウ素)で

正誤差が発生するんですね

その結果、臭素中毒で Cl は偽高値と測定されたんです

 

しかし、この問題はイオン選択電極法を知らなくとも、

国試によく出る選択肢、1,2,4,5の病態を説明することができれば

答えに行き着くことができるんです

 

このことからも、国試でよく見かける疾患の

病態を説明できることは非常に重要なんです

MT65-AM32 患者血清の LD アイソザイムパターン別冊No. 5を別に示す。考えられるのはどれか。2つ選べ。

 

1.急性肝炎
2.心筋梗塞
3.溶血性貧血
4.横紋筋融解症
5.急性リンパ性白血病

LD(乳酸デヒドロゲナーゼアイソザイムとは

LDはH(心臓:heart)とM(筋肉:muscle)のサブユニットからなる四量体で構成されます。HとMというパーツから4つを組み合わせて、5種類のアイソザイムができるわけです。

LD1:H4心臓・赤血球に多い陽極(+)に泳動される

LD2:H3M1ー心臓・赤血球

LD3:H2M2

LD4:H1M3

LD5:M4骨格筋・肝臓に多い陰極(-)に泳動される

 

LDアイソザイムでまず覚えるのはLD1とLD5です

上記2種の特徴は必ず覚えるようにしましょう!

これを踏まえて改めて問題を見てみると

 

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1.急性肝炎
2.心筋梗塞
3.溶血性貧血
4.横紋筋融解症
5.急性リンパ性白血病

 

まずは電気泳動像を見る時には、必ず+と-が右か左か確認しましょう

というのも、特に左がプラスとかマイナスとかが決まっていないないので

左右が教科書と逆になっている、なんてこともあるからです

今回の図では、+が右側ですから、右からLD1になります

バンドが濃くなっているのはLD1とLD2であるといえます

バンドが濃くなっているということは、

対応するアイソザイムが多い組織の炎症や破壊を意味します

1.急性肝炎

肝臓に多いLD5が増加します


2.心筋梗塞

心筋の壊死により、LD1,2が増加します


3.溶血性貧血

溶血により、赤血球に多いLD1, 2が増加します


4.横紋筋融解症

骨格筋に多い、LD5が増加します

 

5.急性リンパ性白血病

悪性リンパ腫や白血病ではLD2,3が優位になると言われますが

まずはLD1, LD5をしっかり覚えましょう

 

以上から、答えは2,3ですね!

 

 

 

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MT65-AM33 吸光度が 0.903 の透過率%はどれか。


ただし、log 2=0.301 とする。
1.10.0
2.12.5
3.20.0
4.25.0
5.50.0

吸光度(A)はLambert–Beer(ランベルトベール)の法則に基づき求められますが

基本的な公式は3つあり

1.A = -log(透過光/入射光)=log(入射光/透過光)

2.A = εcl (モル吸光係数×モル濃度×光路長)

3.A= 2-logT (Tは透過率)

 

今回は透過率という言葉が出てくるので3を使います

 

0.903 = 2-logT が成り立ちます

Tを求めるために、全ての項をlogに直しましょう

(ランベルトベールに出てくるlogは自然対数、すなわちlogの底は10です)

log 2=0.301なので、0.903 = 3log 2 =log 2^3 = log8

(^は、べき乗です、2^3= 2の3乗)

2は log 10^2 = log100

以上より 0.903 = 2-logTに代入すると

3log 2 = log100-logT

移項、整理して

logT = log100 – log8

logT = log100/8

よってlogを取り払うと

T =100/8 =12.5%

と答えが出ました!

結局のところこの問題は、

logの方程式を上手く整理できるかの問題なんですね

はっきり言ってしまうと、高校でいまいちlogが理解できていないのであれば

飛ばしてもいい問題なのかな、と思ったりもします

計算問題は1点を得るためのコスパが悪いのも事実ですから

時には、割り切ることも必要でしょう

(もちろん、絶対に取るべき計算問題もありますよ!)

 

今回は臨床化学系の問題を中心に解説しました!

ではでは、国試合格目指して、過去問を頑張っていきましょう!

  

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