医療系国家試験の解説サイト
国試かけこみ寺です!
令和2年2月19日(水)に実施された
の臨床検査技師国家試験問題について
一部の分野をわかりやすく解説していきます!
問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています
※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp200414-07.html)で公開している問題を引用しています。
問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。
解説にある基準値は若干のぶれがありますのでご了承ください。
MT66-AM12:動脈血液ガス分析で、pH7.48、PaO2 98Torr、PaCO2 30 Torr、HCO3- 22 mmol/L であった。考えられるのはどれか
1.胃液吸引
2.急性膵炎
3.慢性肺気腫
4.過換気症候群
5.原発性アルドステロン症
この手の問題は、いきなり総合的に判断するのではなく
検査データに対して、一つ一つ選択肢を判断し
余計なものを消していくと整理しやすいです
- まず最もわかりやすい、pH7.48
血液pH基準値は7.35~7.45ですから、アルカリ性に傾いているとわかります
1.胃液吸引
胃液=酸を失うため、アルカローシスに傾くはず
2.急性膵炎
動脈血液ガス分析だけで膵炎を判断するのは難しいです
このようないまいち判断に困る選択肢はとりあえず置いておく
3.慢性肺気腫
肺気腫は空気の入れ替えが上手くできなくなりますから
CO2が溜まってしまい、アシドーシスに傾く、よって除外
4.過換気症候群
過換気はCO2が外に出ていってしまうので
アルカローシスに傾く
5.原発性アルドステロン症
アルドステロン症は高Na, 低Kが典型的な判断材料で
pHでの判断は難しそうなので置いておきましょう
ということで、考えられそうなアルカローシスは
1.胃液吸引
4.過換気症候群
この2つが残りました
勘のいい人はこの時点で、
この問題は「代謝性か呼吸性のアルカローシスを判断する」問題だ
ということがわかります
- PaO2 98Torr は正常で問題なさそうです
PaO2基準値はは80~100です
これは必ず覚えておきましょう
- PaCO2 30 Torr
PaCO2の基準値は35~45
血液pHの基準値、7.35~7.45とリンクさせると覚えやすいです
そしてこの問題のCO2は低下していますね
この時点で、この病態は呼吸性アルカローシスの可能性が高い
答えは4.過換気症候群 だろうと判断できるわけです
- HCO3- の基準値は22~26 Torrなので基準範囲内ですね
基準の下限ギリギリなのは、呼吸性アルカローシスを元に戻そうとして
代償的にHCO3- が低下しているとも考えられますが
今回の問題においては、pHとPaCO2だけを考慮しても
答えにたどり着けるでしょう
↓酸塩基平衡については以下の記事も参考にしてみてください!
MT66-AM13:1型糖尿病と関連のある自己抗体はどれか。
1.抗 GAD抗体
2.抗 SS-A 抗体
3.抗平滑筋抗体
4.抗リン脂質抗体
5.抗サイログロブリン抗体
自己抗体と疾患については
基本的には、組み合わせを覚えていくしかありません
ノートに一度まとめて整理してみることをおすすめします
まずはわかる選択肢を判断していくのが鉄則です
例えば、
2.抗SS-A抗体
SSというのは、Sjoegren Syndrome シェーグレン症候群
に特徴的な抗体で覚えやすいですね
5.抗サイログロブリン抗体
サイロ といえばサイロキシンなど甲状腺に関わることがイメージできます
甲状腺疾患、特に橋本病に特徴的です
(※バセドウ病でも出現することがある)
こうやって、とにかく言葉の端々からヒントを集めていくのです
この時点で、残りは3択です
これ以上わからなければ3分の1を選ぶしかありませんが
5択で勝負するよりは、1点を勝ち取れる可能性は高くなります
わからない問題も絶対に諦めず、とにかく選択肢を1つでも減らし
1点獲得の確率を上げることで国試合格に近づけます
3.抗平滑筋抗体は自己免疫性肝炎
平滑筋に対する抗体なのに、肝炎と関わるというのはちょっと不思議ですが
これはこういうものとして、覚えてしまいましょう
4.抗リン脂質抗体
代表的な疾患は、SLE:全身性エリテマトーデス
原発性抗リン脂質抗体症候群というのもあります(これは名前の通りです)
そして肝心の1型糖尿病に関わる抗体というのは
抗GAD抗体が答えになります
MT66-AM20:スパイロメトリで測定できる肺気量分画はどれか。2つ選べ。
1.残気量
2.全肺気量
3.1回換気量
4.最大吸気量
5.機能的残気量
肺気量分画の基本的な問題です
肺気量分画の問題は
図を書けるようにすると正解に近づきます
今回は雑な手書きの図で申し訳ないですが
必ず、教科書などを見ながら自分で書けるようにしましょう
スパイロメーターでは残気量は測れない
これを知っていれば、図と合わせて
1.残気量
2.全肺気量
5.機能的残気量
これらを測れないことがわかります
よって答えは3,4
↓こちらの記事でも解説をしていますので参考にしてみてください!
今回の問題解説は以上です!
1問1問をしっかり理解すれば、角度を変えた問題にも
対応して行くことが可能です。
絶対国試合格!
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