医療系国家試験の解説サイト
国試かけこみ寺です!
令和3年2月17日(水)に実施された
臨床検査技師国家試験問題について
一部の分野をわかりやすく解説していきます!
問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています
※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp210416-07.html)で公開している問題を引用しています。
問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。
MT67-AM29 血糖コントロールの指標について正しいのはどれか。
1.HbA1c は溶血性疾患で低値になる。
2.HbA1c は過去約2週間の平均血糖値を反映する。
3.グリコアルブミンは過去約2か月の平均血糖値を反映する。
4.1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)は腎性糖尿で高値になる。
5.1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)は過去約3か月の平均血糖値を反映する
HbA1c, グリコアルブミン, 1,5-AG の3つの項目が示されています
HbA1cへの疾患の影響についてまとめると
HbA1c の意義
低値:溶血性疾患、輸血など → 赤血球が急激に入れ替わり、糖化した赤血球の割合が減り、本来よりもHbA1cの割合は減る
高値:鉄欠乏性貧血、摘脾 → 赤血球が作りにくく(壊されにくく)なり、赤血球寿命が伸びる=糖化した赤血球が長く滞在することによって本来よりもHbA1cの割合は高くなる
以上のことから、1が正しいとなります
この問題は、2~5が定番知識なので、消去法で消していくのも有効です
2.HbA1c は過去約2週間1~2ヶ月の平均血糖値を反映する。
3.グリコアルブミンは過去約2か月1~2週間の平均血糖値を反映する。
4.1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)は腎性糖尿で高値低値になる。
5.1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)は過去約3か月数日の平均血糖値を反映する
血糖コントロール指標の期間の長さをまとめると
HbA1c(1,2ヶ月) > グリコアルブミン(1,2週間) > 1,5-AG(数日)
となります
1,5-AGは糖尿病で血中低値となります、これは高血糖になるとグルコースと一緒に尿中に排泄されてしまうためです
MT67-AM30 乳酸について誤っているのはどれか。
1.肝硬変で減少する。
2.筋肉で産生される。
3.低酸素血症で増加する。
4.血中では陰イオンとして存在する。
5.乳酸アシドーシスではアニオンギャップが増加する。
乳酸は、解糖系で作られたピルビン酸が、嫌気状態の場合に生成されます
ピルビン酸↔乳酸 の反応をする酵素がLDH(乳酸脱水素酵素)です
1.肝硬変で減少する。✕
乳酸の約7割は肝臓で代謝されることでエネルギーとされます
すなわち、肝硬変では肝機能低下から、乳酸が処理できず増加します
2.筋肉で産生される。○
激しい運動をすると、筋肉に乳酸が溜まる、というように筋肉で多く生成されます
3.低酸素血症で増加する。○
乳酸は低酸素状態で生成されやすいです
4.血中では陰イオンとして存在する。○
5.乳酸アシドーシスではアニオンギャップが増加する。○
アニオンギャップとは、代謝性アシドーシスの鑑別に用いられます
アニオンギャップが増大する疾患には、乳酸アシドーシスやケトアシドーシス、腎不全などがあります
↓アニオンギャップの参考記事です
MT67-AM31 ケトン体はどれか。2つ選べ。
1.胆汁酸
2.アセトン
3.ピルビン酸
4.アラキドン酸
5.3-ヒドロキシ酪酸
ケトン体とは以下の3つです
ケトン体
アセトン
アセト酢酸
3-ヒドロキシ酪酸(β-ヒドロキシ酪酸とも)
アセトンとアセト酢酸は覚えやすいですが、3-ヒドロキシ酪酸を見落とさないようにしましょう
MT67-AM32 ビタミン欠乏症と疾患の組合せで誤っているのはどれか。
1.ビタミン A ー夜盲症
2.ビタミン B1 ーWernicke 脳症
3.ビタミン C ー壊血病
4.ビタミン D ーくる病
5.ビタミン Kー 脚 気 ✕
ビタミンの基本中の基本のような問題ですね
ビタミンKは血液凝固因子の生成に必要です、そのため不足すると出血傾向を示します
特に、新生児では不足しやすく、ビタミンKの欠乏症による出血を新生児メレナといい、消化管出血などの症状が出ます
脚気はV.B1(チアミン)欠乏症です(B1欠乏症はかっけ、ウェルニッケ、音で覚えよう)
↓ビタミンと欠乏症については以下の記事でもまとめてあります
MT67-AM33 ヘキソキナーゼが作用する糖はどれか。2つ選べ。
1.リボース
2.リブロース
3.ガラクトース
4.キシルロース
5.フルクトース
ヘキソキナーゼといえば、解糖系の律速酵素であり、グルコースにリン酸を付加する解糖系の第一ステップです
しかし、このヘキソキナーゼは名前の通り、六炭糖(炭素数6の糖)であれば反応するという特徴があります
言い換えると、グルコース以外の六炭糖にも反応するので特異性が低いのです
選択肢の中で、六炭糖はガラクトースとフルクトースです
↓二糖類も重要です、糖類の分類はこちらの記事で解説しています
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