医療系国家試験の解説サイト
国試かけこみ寺です!
令和5年2月15日(水)に実施された
第69回臨床検査技師国家試験問題について
一部の分野をわかりやすく解説しています!
問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています
※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp230524-07.html)で公開している問題を引用しています。
問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。
MT69-PM 59 PT 正常、 APTT 延長のときに考えられるのはどれか。 2つ選べ。
1.血友病A
2. 重度肝障害
3. 第V因子欠乏症
4. ビタミンK 欠乏症
5. 抗リン脂質抗体症候群
この問題は、凝固カスケードを覚えるところからスタートです
凝固カスケードの覚え方は以下のサイトがおすすめです
基本的にPTの延長に関わるのは3と7のみ、8,9,11,12はAPTTのみ延長
10,5,2,1は両方の延長と考えるのが基本です
1.血友病Aは第8因子欠乏なので、APTT延長 PT正常(ちなみに血友病Bは第9因子欠乏です)
2. 重度肝障害 肝臓はタンパク質を合成していますが、凝固因子をタンパク質のため、凝固因子の合成も低下し、両方延長
3. 第V因子欠乏症 カスケードより両方延長が見られます
4. ビタミンK 欠乏症 ビタミンK依存凝固因子として第2,9,7,10の因子があり、両方延長
5. 抗リン脂質抗体症候群ではAPTT延長が見られます
抗リン脂質抗体症候群は凝固因子と直接の関係がないですが、2,3,4は両方延長なので、正解は1と、消去法で5を選べます
MT69-PM 60 末梢血検査で赤血球数300万/L、ヘモグロビン6.0g/dL、 ヘマトクリット22.5%であった。診断に最も有用な血液検査項目はどれか。
1. フェリチン
2. ビタミンB12
3. ハプトグロビン
4. エリスロポエチン
5. セルロプラスミン
赤血球の数が少ない、ヘモグロビン少なすぎ、ヘマトクリット低すぎということで、まず鉄欠乏性貧血を想定します(基準範囲はお手持ちの教科書などで確認しましょう)
そう考えると、答えは1.フェリチンとなります
フェリチンは貯蔵鉄と呼ばれ、鉄欠乏性貧血では低値になります。鉄が不足すると、貯めていた鉄を消費していくためです
2.ビタミンB12の欠乏は巨赤芽球性貧血・悪性貧血の診断に有効です
3.ハプトグロビンは溶血性貧血で低値となります。溶血が起きて放出されたヘモグロビンはハプトグロビンに運搬され脾臓で処理されるのです
4.エリスロポエチンは腎臓の造血ホルモンで、腎性貧血の診断に有効です
5.セルロプラスミンは銅の運搬蛋白ですが、実は銅は鉄代謝に関わっており、銅が欠乏すると貧血の原因となります
MT69-PM 62 放射線の影響を最も受けにくいのはどれか。
1.単球
2. 好酸球
3.好中球
4. 赤血球
5. リンパ球
放射線は基本的にDNAを傷つけるものであり、DNAは核に含まれますが
各選択肢の細胞について見てみると、赤血球のみ核がないことがわかります
よって、4.赤血球が最も放射線の影響を受けにくいと言えるのです
MT69-PM65 79歳の女性。 貧血と腰椎の溶骨性病変を指摘されて受診した。血清と尿の免疫固定法による蛋白電気泳動の結果 (別冊No. 11A、B) を別に示す。考えられるのはどれか。
1. 骨肉腫
2. 骨髄線維症
3. 多発性骨髄腫
4. 大顆粒リンパ球性白血病
5. 原発性マクログロブリン血症
(第69回臨床検査技師国家試験別冊より引用)
血液分野ですが、これは免疫の問題です。写真を見る前に問題文に大きなヒントがあります
・貧血と腰椎の溶骨性病変
骨が溶解、免疫電気泳動でIgGのκ鎖を尿中に確認
ということで、これは3.多発性骨髄腫です
ちなみにこの尿中に出現するIgGのL鎖(L鎖にはκ型とλ型があります)が、ベンスジョーンズ蛋白(BJP)です。(56℃前後で白濁し、100℃で再溶解する特徴を持つ)
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