【第69回臨床検査技師国家試験】AM79~89の問題をわかりやすく解説

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国試かけこみ寺です!

令和5年2月15日(水)に実施された

第69回臨床検査技師国家試験問題について

一部の分野をわかりやすく解説しています!

問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています

※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp230524-07.html)で公開している問題を引用しています。

問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。

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MT69-AM79 主要組織適合性遺伝子複合体〈MHC〉について正しいのはどれか。

  1. 第9染色体短腕上に存在する。
  2. ヘルパーT細胞はクラスI 分子と反応する。
  3. CD4 分子の結合部位はβ2 ドメインに存在する。
  4. クラスⅠ 分子の発現は抗原提示細胞に限局される。
  5. β2-ミクログロブリン遺伝子は多型性に富んでいる。

MHCについての基本的な問題ですが、案外こういう問題を難しいと感じることも多いですよね

こういった問題は専門用語を見慣れていくしかありません

各選択肢の用語を簡単に解説するので、なんとなくイメージを掴んでもらえればと思います!

 

1.第9染色体短腕上に存在する。

免疫に出てくる染色体でメジャーなものは以下を覚えると良いでしょう

MHC=HLA抗原:第6染色体短腕
Rh抗原:第1染色体短腕
血液型A, B抗原を作る糖転移酵素:第9染色体長腕
血液型H抗原を作る糖転移酵素:第19染色体

2.ヘルパーT細胞はクラスI 分子と反応する。

ヘルパーT細胞は抗原提示細胞(B細胞・マクロファージ・樹状細胞)の持つクラスⅡ分子を介して抗原を認識します

3.CD4 分子の結合部位はβ2 ドメインに存在する。

正しいです。ここでいうβ2ドメインというのはMHCクラスⅡの持つ、パーツ(分子)です。

4.クラス分子の発現は抗原提示細胞に限局される。

クラスⅠはすべての有核細胞クラスⅡは抗原提示細胞がもちます。抗原提示細胞といえばクラスⅡと覚えましょう。

5.β2-ミクログロブリン遺伝子は多型性に富んでいる。✕

β2ミクログロブリンはクラスⅠ分子を構成するパーツ(分子)です。すべての有核細胞が共通に持つもので多型性に富んでいるとは言えません。

免疫が苦手な人はこういった専門用語のひとつひとつを覚えるのがしんどいかもしれませんが、過去問を繰り返して、用語を見慣れていくしかありません

MT69-AM 80 B細胞はどれか。

  1. CD3 陽性細胞
  2. CD4 陽性細胞
  3. CD8陽性細胞
  4. CD19 陽性細胞
  5. CD56 陽性細胞

CD分類は非常に覚えづらいですが、国試レベルでメジャーなものを割り切って覚えてしまうのがよいでしょうB細胞の判別に使うのはCD19です。

ちなみに選択肢にあるものは非常にメジャーなので必ず覚えるべきでしょう

CD3:成熟T細胞

CD4:ヘルパーT

CD8:キラーT

CD56:NK(ナチュラルキラー)→殺(56)し屋で覚えよう!

 

MT69-AM81 間接 (受身) 凝集反応で検出できないのはどれか。

  1. HBs抗体
  2. HCV抗体
  3. HTLV-1 抗体
  4. マイコプラズマ抗体
  5. Donath-Landsteiner 抗体

この問題は、間接凝集と直接凝集の意味を理解することがスタートになります

直接凝集反応で確認できるパターンは2つです

  • 赤血球表面抗原に直接反応して凝集を確認できるもの
  • 細菌など病原体そのものの凝集を確認できるもの

赤血球(表面抗原)に対する抗体はすべて直接凝集反応で確認ができます(溶血性疾患の原因となる抗体のことです)

間接凝集とは、人工のラテックスビーズなどに吸着させた抗原に抗体を反応させ凝集を確認します

これを踏まえて選択肢を見ていくと

1~4はウイルスに対する抗体であることがわかります、ウイルスに対して直接凝集を確認することはできません

5のDonath-Landsteiner 抗体は発作性寒冷ヘモグロビン尿症の原因抗体であり、寒冷条件で赤血球に結合し溶血を引き起こします

正解は5になります

赤血球(表面抗原)に対する抗体は直接凝集反応で確認ができる

これをしっかり覚えておきましょう

MT69-AM 83 抗ミトコンドリア抗体が検出されるのはどれか。

  1. 重症筋無力症
  2. 慢性甲状腺炎
  3. Goodpasture 症候群
  4. 原発性胆汁性胆管炎
  5. 特発性血小板減少性紫斑病

各選択肢で出現する自己抗体をしっかり覚えているかどうかという問題です

4が正解

すべてよく出てくる疾患なのでしっかり覚えましょう

1. 重症筋無力症―抗アセチルコリン受容体抗体
2. 慢性甲状腺炎―抗サイログロブリン抗体、抗マイクロソーム抗体、抗甲状腺PO抗体、ただしこれらはバセドウ病でも出現の可能性があります。バセドウ病に特異性が高いのは抗TSHレセプター抗体があります。
3. Goodpasture 症候群―抗糸球体基底膜抗体
4. 原発性胆汁性胆管炎―抗ミトコンドリア抗体、以前は原発性胆汁性肝硬変と呼ばれていました
5. 特発性血小板減少性紫斑病―抗血小板抗体

MT69-AM 84 抗体を精製する方法でないのはどれか。

  1. 塩析
  2. ゲル濾過
  3. イオン交換クロマトグラフィ
  4. 塩化セシウム密度勾配遠心分離法
  5. アフィニティカラムクロマトグラフィ

抗体の精製とは、すなわちタンパク質の精製とも言えます。選択肢にある方法が何を分離するものか覚えることが必要です。

この中でタンパク質の精製方法は4以外になります(なので答えは4)

4. 塩化セシウム密度勾配遠心分離法というのは、DNAの精製方法です。

一応各方法の簡単な原理と仕組みも解説しておきます

1. 塩析―タンパク質が溶けた溶液に塩類を大量に加えると、タンパク質が沈殿することを利用した方法です。昔ながらのシンプルな方法で、硫酸アンモニウムがよく用いられます。
2. ゲル濾過―分子量でタンパク質を分離する方法で、クロマトグラフィのカラムとしても用いられます
3. イオン交換クロマトグラフィ―荷電でタンパク質を分離する方法で、陰イオン交換と陽イオン交換があります。ちなみにHbA1cの測定として陽イオン交換が用いられることもあります。
5. アフィニティカラムクロマトグラフィ ―アフィニティとは親和性のことで、目的の蛋白質と親和性の高い抗体などを用いて、目的のものだけをキャッチして精製する方法です

MT69-AM 85 受血者と供血者の血液型を以下に示す。

輸血を行った場合、受血者が産生する可能性のある不規則抗体はどれか。

1.抗 c、抗 Jkb、抗 Fyb、抗 Dib
2.抗 C、抗 Jka、抗 Fya、抗 Dia
3.抗 C、抗 Jkb、抗 Fyb、抗 Dia
4.抗 D、抗 Jka、抗 Fya、抗 Dia
5.抗 E、抗 Jkb、抗 Fya、抗 Dia

考え方としては、受血者が持っていない(マイナス)の抗原が供血者が持っている場合に不規則抗体ができる可能性があります

Rhについては小文字と大文字で持っていない方の抗体ができるため、受血者でできる可能性があるのは

C、Jkb、Fyb、Dia で、供血者ではこれらが全てプラスになっていますので、答えは3になります

MT69-AM 86 緊急輸血が必要な患者が搬送された。血液型の確定ができない状況下で使用する輸血用血液製剤と血液型の組合せで正しいのはどれか。

  1. 赤血球製剤 A型 RhD陽性
  2. 赤血球製剤 O型 RhD陽性
  3. 赤血球製剤 AB型 RhD 陽性
  4. 血漿製剤 B型RhD陰性
  5. 血漿製剤 O型 RhD陰性

緊急輸血で血液型検査ができない場合の基本的な考え方は、以下です

血球の場合→O型、RhD陰性

血漿・血小板→AB型、RhD陽性

O型血球はA抗原もB抗原も持っていないため、理論上はどの血液型にも輸血可能です

AB型血漿はA抗体もB抗体ももっていないため、理論上はどの血液型にも輸血可能です

この考え方からいくと、正解として選べるのは2のみとなります

ただし、2の血球はRhDが陽性です。

本来であれば、RhDは陰性の血球が望ましいですが、緊急であること、RhD抗原に対する抗体を持っている人が少ないこと、RhD陰性の輸血血球を用意することが難しい状況から、止む無く輸血をすることを想定しているのかと思います。

RhD陽性の血球を輸血した場合に問題になるのは、患者がRhD抗体を持っている状況であり、RhD抗体を持っているということは、RhD陰性の人が、過去にRhD陽性の血球を輸血されたり、Rhの不適合妊娠等による場合で、確率としては低いものと考えられます。

MT69-AM87 輸血検査の内部精度管理で、確認する必要性が低い項目はどれか。

  1. 検査室気圧
  2. 検査室室温
  3. 検査室湿度
  4. 恒温槽の温度
  5. 判定用遠心機の回転数

答えは1です。通常、輸血検査において影響与えるレベルで気圧が変化することはまずないので必要性が低いです。

室温、湿度は検査室がエアコン管理もされている通り、基本的に一定に保たれるのが常識です。恒温槽や遠心機は輸血検査にダイレクトに影響するので管理されるのは当然です。

MT69-AM 88 ABO血液型について誤っているのはどれか。

  1. ABO 血液型は Landsteiner の法則に従う。
  2. ABO 遺伝子は第9染色体長腕に存在する。
  3. 新生児や乳児の ABO 血液型抗原量は少ない。
  4. 抗Aおよび抗B抗体の産生は胎児期に始まる。
  5. 獲得性BはA抗原が後天的に変化したものである。

ABO血液型の基礎的な知識で、しっかりチェックしていくべきです

  • 1~3は正しい
  • 4.抗Aおよび抗B抗体の産生は胎児期に始まる。誤り
    →抗Aや抗Bは自然抗体ですが、生まれた時から持っているわけではなく、出生後6ヶ月程度から産生が始まると言われます。また、3の選択肢にあるように、抗原の量も少ないです。
  • 5.獲得性BはA抗原が後天的に変化したものである。正しい
    獲得性B(後天性B)とは、ある種の細菌感染によりA抗原の構造が変化し、B抗原に類似することで、抗B試薬とも反応してしまうという現象です。つまりA型の人に起こり、AB型と誤判定される可能性があります。

ABO血液型についての基本的知識ですのでしっかり覚えましょう

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MT69-AM 89 Th2 細胞が産生するサイトカインはどれか。 2つ選べ。

  1. インターロイキン 2
  2. インターロイキン 4
  3. インターロイキン 10
  4. インターロイキン 12
  5. インターフェロンγ

正解は2,3です

インターロイキンの分泌や役割を覚えることはなかなか大変ですが、ひとまずはメジャーなものを覚えましょう

Th-1:IL-2、IFN-γ

Th-2:IL-4・5・10・13

マクロファージ:IL-1・6・8、TNF-α(←これらは炎症性サイトカインと呼ばれる)

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