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国試かけこみ寺です!
令和5年2月15日(水)に実施された
第69回臨床検査技師国家試験問題について
一部の分野をわかりやすく解説しています!
問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています
※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp230524-07.html)で公開している問題を引用しています。
問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。
MT69-PM 10 発現蛋白の機能亢進により発がん性を発揮するのはどれか。
- APC
- BRCA1
- MYC
- RB1
- TP53
がんに関連する遺伝子は、がん遺伝子とがん抑制遺伝子があります
がん遺伝子は発現が亢進するとがんを引き起こす
がん抑制遺伝子は発現が抑制するとがんを止められなくなって、がんが引き起こされる
という流れになっています
この問題は「がん遺伝子はどれか」と同じことを言っています
がん遺伝子とがん抑制遺伝子は覚えるしかありませんので、まずはメジャーなものから覚えることをおすすめします!
がん抑制遺伝子のほうが少ないのでまずは以下の3つを覚えることをおすすめします
- p53(TP53)
- RB1
- WT1
特にp53とRBはがん抑制遺伝子の中では超定番なので絶対に覚えましょう。
ただ、この知識だけでは今回の問題は4,5を選択肢から消すだけになってしまいます…
あとの選択肢の中にある、がん抑制遺伝子は1.APCと2.BRCAです
ということで、正解は3になります
覚えなければ解けない問題なので、がん抑制遺伝子は必ずチェックしておきましょう!
がん遺伝子、がん抑制遺伝子は覚えてしまえば解ける、覚え得の知識です、さらに詳しく覚えようと思う人は以下の記事をご参考ください!
試験に出る12の癌遺伝子 & 癌抑制遺伝子 の攻略法(どっとゼブラ先生のブログより)
病理や細胞診などの勉強をしたい方には特におすすめのブログになっています!
MT69-PM 11 ペルオキシダーゼに対する抗好中球細胞質抗体 が陽性となるのはどれか。
- Behçet 病
- 全身性強皮症
- 結節性多発動脈炎
- 顕微鏡的多発血管炎
- 多発性筋炎・皮膚筋炎
ペルオキシダーゼに対する抗好中球細胞質抗体とは、MPO-ANCAと呼ばれるものです
このアルファベットは見たことある人が多いのではないのでしょうか
国試レベルではMPO-ANCA陽性の疾患といえば、顕微鏡的多発血管炎になるのでこれは組み合わせとして覚えてしまいましょう
MT69-PM 12 急性期の過換気症候群で低下するのはどれか。
- HCO3-
- PaCO2
- 動脈血 pH
- 血清カリウム
- 血清ナトリウム
過換気症候群とはいわゆる過呼吸のことです
過呼吸とは、二酸化炭素を過剰に吐き出すことです
すなわち、答えは2となります
二酸化炭素を過剰に吐き出すことで、体内はアルカリに傾きます(pH増加)ので、過換気症候群はアルカローシスになります
アルカローシスやアシドーシス、代謝性か呼吸性かなど、もっと詳しく勉強したい方は以下の記事をどうぞ!
MT69-PM 13 深夜に血中濃度が高値を示すのはどれか。
- カテコールアミン
- 成長ホルモン 〈GH〉
- 副甲状腺ホルモン 〈PTH〉
- 卵胞刺激ホルモン 〈FSH〉
- 副腎皮質刺激ホルモン 〈 ACTH〉
深夜に血中濃度が増加するホルモンは、2.成長ホルモンです
時間によって変動のある項目でチェックすべきは以下になります
コルチゾールは副腎皮質ホルモンで、朝起きてから血糖値を上げる作用があります
ACTHはその副腎皮質ホルモンを刺激するホルモンです
また、ホルモンではありませんが、血清鉄は朝高いという特徴があるのでこれは要チェックです!
夜に分泌が増加するホルモンとして、
成長ホルモンはその名の通り、成長期に分泌され、骨代謝や血糖を上げる作用があります。成長期に夜更かしするのが良くないというのは成長ホルモンの分泌が弱くなってしまうためです
プロラクチンは母乳を分泌するホルモンで、睡眠時に分泌が増加するため、授乳期の女性は睡眠が重要となります
バゾプレシンは抗利尿ホルモンで、尿細管での水の再吸収を高め、尿を濃縮する作用があります。寝てる間にトイレに行かなくてよいのはこのホルモンのためで、朝一番の尿は濃縮されているため尿検査に適しているのです
MT69-PM 14 伝音性難聴を呈するのはどれか。2つ選べ。
- 中耳炎
- 耳垢塞栓
- 聴神経腫瘍
- 突発性難聴
- メニエール 〈Ménière〉 病
難聴には大きく分けると伝音性と感音性の2種類があり
・伝音性は外耳~中耳の音の振動が伝達阻害されている状態
・感音性は内耳、後迷路(内耳の更に奥)で発生し、音を感じる神経の障害
選択肢の中で、正解は1,2になります
中耳炎は中耳の細菌感染、耳垢塞栓は中耳までに耳垢が詰まってしまい、音の振動の伝達が阻害されることが原因です
MT69-PM 15 自己免疫疾患はどれか。
- Alzheimer 病
- 重症筋無力症
- Creutzfeldt-Jakob 病
- 進行性多巣性白質脳症
- 筋萎縮性側索硬化症 〈ALS〉
この中で自己免疫疾患は2.重症筋無力症です
自己抗体は抗アセチルコリン受容体抗体です
このような病気の問題は、病気の基礎的な知識を知っていることが何より重要です
今回の場合は特に選択肢の中で4以外は、非常にメジャーな病気ですので知っておく必要があります
Alzheimer 病:認知症の一つで、アミロイドβというタンパク質が脳に蓄積することが原因のひとつとされます
Creutzfeldt-Jakob 病:プリオンというタンパク質を原因とする脳疾患で、牛海綿状脳症(狂牛病)もほぼ同様の症状を呈する病気です。プリオンは通常のオートクレーブ条件では不活化できません。
筋萎縮性側索硬化症 〈ALS〉:原因不明の神経疾患で運動ニューロンの障害によって力が入らなくなり、全身の筋肉が弱ってしまう病気です
こういった病気の知識については、「臨床病態学」などの教科書で調べて、自分で納得・理解することが重要です!
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