医療系国家試験の解説サイト
国試かけこみ寺です!
令和5年2月15日(水)に実施された
第69回臨床検査技師国家試験問題について
一部の分野をわかりやすく解説しています!
問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています
※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp230524-07.html)で公開している問題を引用しています。
問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。
MT69-PM 37 鉄代謝で正しいのはどれか。
1. 血清鉄は朝低い。
2. 食事による摂取では小腸で吸収される。
3. 血清ではセルロプラスミンと結合している
4. ヘモグロビンと結合しているのは3価の鉄である。
5. 鉄欠乏性貧血では不飽和鉄結合能 <UIBC> が低下する。
鉄に関する基礎知識を整理していきましょう、選択肢を見ていきます
1. 血清鉄は朝低い。→血清鉄は朝に高くなります。これから活動をするにあたって血液を作るイメージを持ちましょう
2. 食事による摂取では小腸で吸収される。→正解です。鉄は十二指腸~小腸で吸収されます。
3. 血清ではセルロプラスミンと結合している→鉄の運搬はトランスフェリンです
4. ヘモグロビンと結合しているのは3価の鉄である。→ヘモグロビンは2価鉄、トランスフェリンとフェリチンは3価鉄として結合しています。
5. 鉄欠乏性貧血では不飽和鉄結合能 <UIBC> が低下する。→UIBCとは、鉄と結合していないトランスフェリンのことです。鉄欠乏状態では、貧血を改善しようと、肝臓でトランスフェリンの合成を促進し、鉄を集めようとします。しかし、鉄が足りない状態ではUIBCが増加するのです。
MT69-PM 38 コレステロールの含有率が最も高いのはどれか。
1. HDL
2. IDL
3 LDL
4. VLDL
5. カイロミクロン
リポ蛋白の問題で、コレステロールが最も高いのはLDLです
ちなみに、TG含有量が高いのはカイロミクロン、アポタンパク含有量が高いのはHDLになります。
この問題はリポ蛋白の非常に基礎的な知識問題ですので、まだ覚えていないという人は、以下の記事も参考に勉強してみてください!
MT69-PM 39 血清中の半減期が最も短いのはどれか。
1. IgM
2. アルブミン
3. トランスフェリン
4. トランスサイレチン
5. レチノール結合蛋白
半減期の問題ですが、暗記するしかない知識です
半減期の短いタンパク質(RTP:rapid turnover protein)で栄養の指標として使われるものとして
トランスサイレチン:2日
レチノール結合タンパク:0.5日
この2つは必ず覚えましょう。
そして、アルブミンの20日(約3週間)も必ず覚えましょう!
ここからさらに知識を広げたい方は以下の記事を参考にしてみてください!
MT69-PM 40 血中 (1→3)-β-D-グルカンが高値となるのはどれか。
1. ムコール症
2. 溶連菌感染症
3. アスペルギルス症
4. リケッチア感染症
5. 新型コロナウイルス感染症
この問題は微生物と絡んだ問題で面白い問題です。
(1→3)-β-D-グルカンとは、真菌の細胞壁成分で、特に国試レベルではカンジダやアスペルギルスなどの真菌症で血中に増加します。答えは3となります。(ただしムコールは真菌ですが、β-Dグルカンを持ちません)
MT69-PM 41 肝臓の解毒機能の評価に用いられるのはどれか。 2つ選べ。
1. ICG 試験
2. 血清 ALT
3. 血中アンモニア
4. プロトロンビン時間
5. 血清コリンエステラーゼ
肝臓の機能試験としては、解毒機能・合成能・代謝能が主なところとしてあります
1. ICG 試験→○ 色素の排出能力を検査する解毒機能の試験です
2. 血清 ALT→ALTは肝機能を表す酵素で代謝能を反映します
3. 血中アンモニア→○ 血中アンモニアはまさに肝臓の解毒機能を反映します。肝機能が低下すると血中アンモニアを尿素に変える機能が低下し、血中アンモニアが増加します。
4. プロトロンビン時間→一見、肝臓と関係なさそうに見えますが、プロトロンビン時間は凝固因子の影響を反映します。凝固因子は肝臓で合成されるものもあるため、合性能の影響を受けます。
5. 血清コリンエステラーゼ→ChEはまさに肝臓の合成能を反映する酵素になります。
MT69-PM 42 下垂体後葉から分泌されるのはどれか。
1. 成長ホルモン
2 バソプレシン
3. プロラクチン
4. ゴナドトロピン
5. 甲状腺刺激ホルモン
下垂体後葉ホルモンは
- バゾプレシン
- オキシトシン
「後ろにオバちゃん」と覚えましょう!
以下の記事も参考にどうぞ!
下垂体後葉から分泌されるホルモンはどれか【覚えるのは2つだけ】
MT69-PM 43 生化学自動分析装置の終点分析法における2ポイント法で、影響を回避できるのはどれか。
1. 検体の色調
2. 校正のずれ
3. 第2試薬の着色
4. 光源ランプの劣化
5. 第1試薬の分注量不足
終点分析の2ポイント法とは、いわゆる、2ポイントエンドと呼ばれる方法です
自動分析装置での測定試薬には第一試薬と第二試薬があり、第二試薬を入れると反応がスタートするというのが基本的な流れになります。
そして2ポイント法とは
第一試薬を入れた段階の吸光度を①
第二試薬を入れて反応が終了した時の吸光度を②として、
②ー①とした吸光度を用いて濃度を出す方法になります
この方法では
試薬ブランク(試薬の色)の影響と検体の色の影響を回避できます
ということで答えは1になります
これは暗記してしまっても構いませんが、なぜそうなるのかを簡単に説明します
以下の文章を読んで、なんとなくでも「なるほど!」と思えると、分析法の問題が少しだけ解きやすくなるかもしれません
①と②の2つの吸光度を測った段階で、何が入っているかを考えます(※緩衝液も入ることがありますが省略)
①第一試薬+検体
②第一試薬+検体+第二試薬(→反応が起きる)
②から①の吸光度を引くということは、第一試薬と検体の色に由来する吸光度は引き算で影響がなくなると言えます
特に検体は、溶血や高ビリルビンなど、検体によって色調が異なることはよくあるので、検体の色調の影響が回避できることは大事なのです
MT69-PM 44 濃度を窒素量として表示するのはどれか。2つ選べ。
1. 尿酸
2. 尿素
3. アンモニア
4. ビリルビン
5. クレアチニン
こちらも知識として知っているかどうかの問題ですが、尿素とアンモニアは物質の量ではなく、窒素量で表す慣習があります。
尿素の分子量は60で窒素2分子を含むため、尿素の重量に28/60をかけると尿素窒素量となります。
アンモニアはNH3なので、14/17を掛け算するとアンモニア窒素量となります。
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